社会的ニーズを背景に、企業活動において重要化する“脱炭素”。ものづくりからコミュニケーション設計まで、幅広いソリューションを提供する博報堂プロダクツの4名が、総合制作事業会社としての姿勢、事業本部横断で取り組む脱炭素ビジネスのあり方を語ります。

※この記事は、博報堂プロダクツが掲げるP+ESGを実践する社員一人ひとりにスポットを当てる「P+ESG ACTION interview」の連載企画です。P+ESGとは、ESG(環境・社会・ガバナンス)に、ものづくりへのこだわりを意味する「P(プロダクト)」を加えた博報堂プロダクツ独自のサステナビリティ指針です。
- 専門チーム「SUSTAINABLE ENGINE」に、社内のノウハウを結集
- 課題抽出からものづくり、PRまで、統合的に脱炭素ソリューションを展開
- 変化する顧客課題に対応する、クリエイティブの専門知識
- 主体性を尊重する風土だからこそ、個々の専門性で社会に貢献できる
- カーボンニュートラルな未来を目指し、強固な共創関係を構築
- プロフィール(取材時)
専門チーム「SUSTAINABLE ENGINE」に、社内のノウハウを結集
サステナビリティの浸透とともに、企業の社会的責任として重要化する脱炭素の取り組み。情報開示の強化などが進むとともに、生活者の共感や事業成長につなげる試みも活発化しています。
こうした中、博報堂グループは各社の専門性を結集し、脱炭素領域における統合型ソリューション「サステナクリエイティビティ for Carbon Neutral」の提供を開始。戦略策定から社会実装までを⼀気通貫で支援する、グループ一体の体制を整備しました。
このソリューションの一翼を担う博報堂プロダクツでは、2023年に「SUSTAINABLE ENGINE(サステナブルエンジン)」を発足。部門を横断して人材を集め、サステナビリティに特化したチームを構成することで、企業のパーパス構築、コミュニケーション設計、具体化アクションを支援しています。脱炭素領域においても、多数のソリューションを開発してきました。
事業企画室の石田眞規は、「脱炭素ビジネスにおける社会的ニーズは、いっそう高まっている」と、近年の動向を説明します。
石田:カーボンニュートラルに向けた変革は加速しており、企業や市場における脱炭素の取り組みは世界的に広がっています。今年開催されたCOP30(国連気候変動枠組条約第30回締約国会議)は、各国の進捗確認や次期目標の調整を行う場として、国際的な気候政策の方向性を示す重要な節目となりました。こうした国際的な議論の積み重ねは、政策や規制の強化、投資判断を通じて、社会全体の脱炭素への関心をさらに高める要因となっています。顧客企業の脱炭素ビジネスを支援する機会は、博報堂グループでも着実に増えてきました。これまではソリューションの開発とノウハウの蓄積に注力してきたSUSTAINABLE ENGINEも、企業ニーズをキャッチしながら、最適な提案をしていくフェーズに入ったと捉えています。
顧客ニーズを的確に把握すべく、現在SUSTAINABLE ENGINEでは営業部門との連携を強化しています。プロモーションプロデュース事業本部の香取史生は、日々の業務においてクライアント課題と最前線で向き合っています。
香取:サステナビリティ情報開示の義務化が進むなど、脱炭素ビジネスは企業価値にも直結します。近年はサステナビリティ部門にとどまらず、広告や販促の領域でもニーズが高まってきました。当社はこれまでも脱炭素関連プロジェクトを多数手掛けてきましたが、“点”だったソリューションをSUSTAINABLE ENGINEとして統合することは、強みを発揮する機会の創出につながっています。
課題抽出からものづくり、PRまで、統合的に脱炭素ソリューションを展開
SUSTAINABLE ENGINEで取り組むべき課題の一つが、ものづくりを通じた脱炭素の実現です。インセンティブプロモーション事業本部の村田聡一は、環境負荷の低いノベルティやパッケージの開発に従事してきました。
村田:ものづくりの領域では、脱炭素とともに生態系保全やアップサイクルも求められるなど、クライアントのニーズもさまざまです。多様な要望に応えられるよう、私たちの部門では環境マネジメントシステムの国際規格「ISO14001」認証を取得し、課題抽出から製造までを担う体制を整えました。また、排出CO2相当量の削減率を可視化する「デカボスコア付きプロダクト」や、イベント領域のCO2排出量を可視化する「SUSTAINABLE ENGINE CARBON SIMULATOR」など、商品開発やPRにも寄与するソリューションも用意しています。

PR領域の脱炭素ソリューションも、SUSTAINABLE ENGINEの強みです。デジタルプロモーション事業本部の松永風馬は、クリエイティブディレクターとして企業と生活者のコミュニケーションを強化しています。
松永:積極的な情報開示が進む一方で、社会全体への発信やブランドイメージ構築においては、課題を抱えているクライアントも多いです。脱炭素ビジネスが普及する中、クライアントの取り組みを際立たせるためには、緻密なクリエイティブ設計が求められます。多彩な専門人材を備える博報堂プロダクツでは、マス広告やイベント、デジタルなど、複数のソリューションを組み合わせて課題解決にあたっています。
関連SOLUTION
変化する顧客課題に対応する、クリエイティブの専門知識
脱炭素ビジネスに取り組む企業は、具体的にどのような課題に直面しているのでしょうか。現場で動く3人は、ニーズの変化を感じているようです。
香取:脱炭素ビジネスは、取り組みの必然性が高まる一方で、プロモーションの現場には多くの障壁が存在します。例えば、サステナブルな素材は環境価値と引き換えにコスト負担を伴うことも多く、品質や売上との両立が困難なケースもある。理想と現実のギャップを超えるためには、ものづくりの専門知識が必要です。

村田:ものづくりの現場でも、2〜3年前までは費用で頓挫するプロジェクトは多かったです。一方、最近では、企業全体のサステナビリティ意識の高まりと共に、実施率は確実に上がっています。また、メーカー系のクライアントに対して、廃棄物置場を実際に視察し、再利用の方法を提案するなど、製造プロセスに深く関わる機会も増えてきています。
松永:サステナビリティと事業成果の結びつきが、現場で実感する機会が増えています。これまで“義務”だった取り組みが、よりポジティブな“チャンス”として捉えられているのかもしれません。これまで、PR領域では、脱炭素分野は“きれいな部分”を打ち出す手法が主流でしたが、近年は各社の“独自性”が重要化しています。企業が持つフィロソフィを、どのようにナラティブに変換していくか。そのプロセスにおいて、ストーリー構築に強みを持つ当社は、大きな力を発揮できます。なぜなら、情報を単なる事実として伝えるだけでは、共感や理解、記憶、行動につながりにくいからです。情報をストーリーとして紡ぐことで、生活者の視点を起点に、企業理念を“自分ごと化”し、共感を生む物語へと昇華させることができます。これは「生活者発想」を起点にコミュニケーションに携わっている我々にとって非常に高いプライオリティがあると実感しています。
香取:アイデアやデザインを担うクリエイターが在籍しながら、ものづくり、情報設計などとも連携し、実装までを手掛けられる企業は、業界でも非常に限られています。こうしたプロフェッショナル人材が集まることで生まれる発想力と実現力を融合させることで、複合的な施策をワンストップで提供できる体制を整えている博報堂プロダクツだからこそ、確固たる脱炭素ソリューションとして打ち出せると思っています。
主体性を尊重する風土だからこそ、個々の専門性で社会に貢献できる
脱炭素ソリューションを本格化させる上では、社内の意識改革も重要です。関連案件が増加する中、博報堂プロダクツにも変化が生じているようです。
松永:「SUSTAINABLE ENGINEに参加したい」と手を挙げる若手がいるなど、ポジティブな変化は現れ始めています。博報堂プロダクツは個々の“好き”を、仕事を通じて実現していく集団です。技能や専門性を、脱炭素というテーマに生かしていくマインドは、顧客課題の解決力にもつながります。自由な発想で楽しみながらアプローチする風土こそ、強みになるのではないでしょうか。
石田:自分の力を社会貢献に活かしたいというモチベーションは、確実に高まっていると感じます。博報堂プロダクツは、ESG(環境・社会・ガバナンス)に、ものづくりへのこだわりを意味するプロダクトのPを加えた「P+ESG」を掲げ、サステナブルな社会づくりに貢献していきます。この「P+ESG」の考え方が、制作現場での具体的なアクションを重視する姿勢に表れています。こうしたアクションは、当社のケイパビリティにも直結し、企業価値の向上と持続可能な成長を支えるものでもあるので、社員一人ひとりが「自分ごと化」できる環境づくりにも力を入れていきたいです。

村田:社内の意識が醸成されると、サステナビリティとは無関係の案件でも、社会課題解決の視点を取り入れるなど、提案の幅が広がります。「できるだけ環境負荷を下げられる方法はないか?」と試行錯誤する空気は、社内にも定着してきました。こうした提案がクライアントに付加価値として受け入れられる事例も、着々と増えています。
香取:クライアントに直接対峙している営業の視点でいうと、実績が蓄積された当社のソリューションを、どのように周知していくかは課題だと感じています。特にサステナビリティ関連のプロモーションは、効果の可視化が難しい。どのように価値を提示していくかを、フロントに立つ営業が考えていかなければなりません。SUSTAINABLE ENGINEや広報部門との連携を強化しながら、社内外への発信を強化したいですね。
カーボンニュートラルな未来を目指し、強固な共創関係を構築
ビジネスのスタンダードとして、普及しつつある脱炭素のアクション。今後、どのような動きを活発化させていくべきなのでしょうか。
松永:脱炭素のプロモーションは今のところ、Webサイト制作やイベント開催など、単発の施策で終始してしまう案件が多いです。しかし、Webサイト制作を一つ作ればサステナビリティの課題が解決されるかというと、そんなに甘い領域ではないはずです。複合的・長期的に課題へアプローチするためには、統合型のソリューションが欠かせません。博報堂プロダクツも総合制作事業会社として、ノウハウを総動員していくべきだと思います。

石田:プロモーション施策の存在意義を突き詰めると、それ自体が必要不可欠なわけではありません。イベントやノベルティも単体で見れば、脱炭素と逆行してしまう側面もあるでしょう。しかし、こうした施策がきっかけとなり、人々の意識や行動が変わることがあります。直接的な効果は小さくても、全体としては大きな循環を生み出す可能性がある。
企業活動も同様で、脱炭素という未来を見据えた時、初めて一つひとつの施策に意味が生まれるはずです。クライアント、サプライチェーン、そして社内のすべてにおいて、長期的なトータルバランスの視点に立ちながら、未来を共創する関係性を育むことが、何よりも重要ではないでしょうか。
【P+ESG ACTION interview連載記事】
「すきにすなおにすすもう。」今、わたしたちが目指すアクション
誰もが心地よく働くためには? 映像制作メンバーが考える働き方と未来
“違い”を強みに変える障がい者雇用。インクルーシブな職場づくりを目指して
制度ではなく関係性で育つマネジメント。管理職研修と現場の声から見える人材育成のかたち
男性育休を、あたりまえの選択肢に。両立を支える企業制度とチームのあり方とは?
プロフィール(取材時)

- 村田 聡一
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自動車メーカー・生命保険・飲料メーカー・ファストフード等の得意先でノベルティ・資材の企画・生産管理を担当の後、品質保証責任者として製造品のリスクアセスメント、サンプル評価、CSRチェック、ユーザー問い合わせや不具合の解析等の業務に従事。
持続可能な消費と生産を実現するために、ものづくりに関わる約50のソリューションを準備しSDGs達成に向けて取り組む企業を支援しています。

- 松永 風馬
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デジタルプロモーション事業本部
PRプロデュースチーム2005年プロダクツに入社以来、PR畑を中心にキャリアを積む。自動車、金融、飲料など各業界で日本を代表するクライアントのPR戦略立案に携わる一方で、古くはCSRに始まり、CSV、SDGs、サステナビリティと社会の課題意識がダイナミックに変化していく様を目の当たりにし、広告業の神髄は「社会課題解決の機運を創ること」だとの想いを育んできました。現在は企業と生活者がサステナビリティの観点でどう価値を共創するかの問いを模索中。

- 香取 史生
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プロモーションプロデュース事業本部
プロデュース1部 部長入社以来、博報堂に常駐し、BDと連携しながら幅広い業務領域に携わる。携帯メーカー・携帯キャリア・自動車メーカー・飲料など多様な得意先において、ブランドの体験設計から商品購買体験プロセスのデザインまでを推進。直近ではデジタルマーケティング領域の実践にも取り組み、今期よりプロモ代表としてサステナエンジンチームとの連携強化を進めています。

- 石田 眞規
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事業企画室事業企画部
入社以来、デジタル領域を中心に、プロモーションの企画プランニングから制作ディレクション、実施プロデュースまで一貫して携わる。プロモーションプランナーとして、メディアや施策を立体的かつ横断的に設計するプランニングを強みとする。加えて、システム開発におけるベトナム拠点の立ち上げにも参画。2024年度より事業企画部門へ異動し、現在はサステナブルエンジンの推進支援にも取り組んでいる。

事業本部横断のサステナブル専門チーム
SUSTAINABLE ENGINE
広告・プロモーション領域の専門性と実施力に加え、
サステナブル領域の知識と実績を兼ね備えた専門プロジェクトチーム
