Products、Professional、Playful、Personal、Pride…
そんな、博報堂プロダクツの多彩な「P」をお届けする公式YouTube「Close Up!P Value」シリーズと連動したインタビュー記事を公開中。17事業本部・100職種以上のプロフェッショナルたちが、それぞれの“専門性や提供価値”を、お届けしています。
Vol.22では、デジタル、リアルのさまざまな空間でインタラクティブな顧客体験を展開する、デジタルプロモーション事業本部の熊谷 周太、統合クリエイティブ事業本部の浦井 彈が登場。体験型プロモーションの最前線、実装に至る緻密な設計を紹介します。
デジタルとリアルをシームレスにつなぎ
記憶に残る体験を設計する
――企業と生活者の接点を生み出す上で、存在感を高める体験型のプロモーション。博報堂プロダクツはデジタルとリアルの両領域で、インタラクティブな顧客体験を創出している。幅広い案件の設計を担うのが、テクニカルディレクター/クリエイティブディレクターの熊谷だ。
熊谷:Webサービスやアプリなどのデジタル空間、イベントや常設施設などのリアル空間、双方が連動するプロジェクトにおいて、ユーザーエクスペリエンスを提供しています。私たちが目指すのは、一方的に“受ける”プロモーションにとどめず、“触る”“話す”“動かす”といったアクションを伴わせ、商材やブランドの価値を生活者の記憶に残すこと。AI、XR、CG、ゲームといったテクニカルな手法も取り入れながら、クライアントの課題にアプローチしていきます。

――市場トレンドや生活者心理、企業のニーズを分析しながら、最適な体験を設計していく熊谷。求められる体験の形も、アップデートされているという。
熊谷:10年単位で見るならば、体験が求められるシーンは明らかに増えました。コロナ禍以降は、デジタル空間ではカバーできないリアルエクスペリエンスが重要化しています。それを再びSNSで共有するトレンドも、いまだ根強いといえるでしょう。他方、テクノロジーの中心にあるAIですが、単に「AIだから体験したい」という、技術そのものを楽しむフェーズは終わりつつあるのかもしれません。企業が持つアセットと組み合わせながら、独自性の高い体験に昇華させることが必要です。
――体験というソリューションは、生活者との長期的な関係構築にも貢献すると、熊谷はつづける。
熊谷:インパクトが求められる一過性のキャンペーンのみならず、ファンサイトやECなどを通じて関係性を強化する上でも、体験は有効です。そうした場面では、話題性や興味に加えて、実用性や機能性も重視されます。認知、検討、理解、定着と、フェーズに合わせて体験を設計するのも、私たちの役割です。
――テクノロジーの発達とともに、エンターテインメントやアートの領域でも、体験を伴うコンテンツは浸透している。企業のコミュニケーションを機能させるには、生活者視点に立った戦略が必要だが、そこで生かされるのが博報堂プロダクツの総合力だという。
熊谷:私たちはデザインなどによるコミュニケーションを重要な領域のひとつとして位置づけています。企業と生活者をつなぐ課題解決の設計力にこそ、強みがあると考えています。生活者の行動は多様化していますが、いまやデジタルとリアルの世界を明確に分けて捉えている人は少ないはずです。例えば、イベントをWebで見つけて、実際に足を運び、会場ではスマートフォンと連動したコンテンツに触れながら、商品やサービスの魅力を体感する。こうした一連の体験には空間設計、ビジュアル表現、コピーライティング、UI設計、さらには先端技術の活用など、さまざまな専門的な知見が欠かせません。各分野のプロフェッショナルを擁する博報堂プロダクツは、領域横断的な連携によってシームレスなカスタマージャーニーを構築し、体験価値の最大化を実現します。
――テクノロジーを駆使しながらも、ユーザーの行動心理を重視する熊谷。人やその心を動かす体験を設計するため、何を心掛けているのだろうか。
熊谷:常に自問するのは、「そのテクノロジーを使う意義は何か」です。プロジェクトの本質を熟考し、技術が目的化しないように注意を払います。そして実装時も、ユーザーがテクノロジーを極力意識しないように設計する。情報量を最小に抑えつつ、ワクワクや驚きを最大化するのが、体験型プロモーションのひとつのセオリーです。
――10年以上前、体験型プロモーション に魅了された熊谷は、キャリアを通じてユーザーエクスペリエンスを追求しつづけてきた。情報が飽和する現代において、体験がもたらす真の価値は、「距離感を近づけること」だと語る。
熊谷:体験を通じて何かを感じ取れるのは、人間の特権だと思います。企業やブランド、生活者といった立場を超え、一つの感情を共有できる媒介になってくれるのが、体験の素晴らしさではないでしょうか。その力を駆使すれば、世界的な課題解決にも役立てられるかもしれません。常に真新しさが求められる体験ですが、全ては小さなトライアンドエラーから始まります。多くの企業が魅力的な体験をつくり、世の中に届ける。そのプロセスを今後も支援していきたいと思っています。
プロトタイプの実験室から生まれる
新感覚のテクノロジー体験
――体験プロモーションにおけるテクノロジーの特徴は、アイデア一つで全く異なるアプトプットが生まれることだ。テクニカルディレクター/デザインエンジニアを務める浦井は、自ら手を動かしながら、新しい体験の開発に取り組んでいる。
浦井:テクノロジーを違った角度から見つめ直し、新しい用途を試していく。私が所属する体験型プロモーションの専門チーム「ウラワザ」では、実験的な活動を通じ、これまでにない体験をつくり出すことに挑戦しています。私自身も、光ファイバーのモジュールを用いた新しい視覚体験、製品にオリジナルの絵柄をプリントできるAIツールなど、さまざまな手法を試みてきました。

――多様化するテクノロジーを使いこなすため、ウラワザチームが注力しているのは、プロトタイプの制作だ。
浦井:実装の有無にかかわらず、日頃から試作を行い、社内で展示会を開催して社員に体験してもらっています。「ウラワザ」メンバーの得意分野は、体験システムやLED演出、サイネージ、AI、ロボット、CGなどさまざま 。UIの心地良さや映像の美しさを追求するソフトウェア系エンジニアと3Dプリンタやロボットアームで装置をつくるハードウェア系エンジニアが、日々お互いの発見や構想を共有しながら、新しいものづくりに取り組んでいます。
浦井が手掛けた試作品の一つ、「ひとらしいひも」。“現実空間の紐がディスプレイに引き込まれ、いつの間にか人が歩き出している“視覚体験を味わえる
浦井が手掛けた試作品の一つ、「Glowing Animated Sculpture」。箱の中を馬が走る立体的な映像が、光によって映し出される
――実験室のようなウワラザの活動は、プロジェクトの企画や実施時に力を発揮する。アイデアや技術を蓄積しておくことで、クライアントから相談を受けた際、幅広い提案をスピーディーに行うことができるからだ。
浦井:案件にマッチするプロトタイプを、打ち合わせの席に用意することも可能です。企画と開発が一体となる博報堂プロダクツの強みは、企画の全体像だけでなく、体験のコア技術を同時に提案できること。まずはクライアントに魅力を感じていただくことで、課題に対して最適なソリューションかどうかを検証できます。
――開発された技術はプロトタイプを超え、イベントやポップアップストア、ショールームなどの空間で実装されていく。実験的なインタラクティブコンテンツがもたらすのは、来場者にとっての新鮮な体験だ。

浦井が参加した、JPタワー商業施設「KITTE」のクリスマスイベント「WHITE KITTE」(2020年)。ツリーの粒は一つ一つが水引の形をしており、来場者が床を踏むとLEDが連動して光る
https://www.h-products.co.jp/topics/entry/2020/12/04/140000_1
浦井:例えば会場にデジタルサイネージを置くにしても、一方的にコンテンツを放映するだけでなく、生成AIがユーザーのオリジナリティを反映したり、スマートフォンで操作できる仕組みがあることで、来場者の満足度はより高まります。こうした体験では、来場者の能動性や創意工夫が重視されますが、自由度が高すぎる設計にしてしまうと、意図しないアウトプットが生まれるリスクもあります。来場者が自然な動線の中で、心地良く、本来の意図通りに体験できるよう、設計のバランスには徹底的にこだわっています。
――学生時代からUIデザインに没頭してきた浦井は、プライベートでも創作活動に打ち込むほど、生粋の“ものづくり好き”だ。
浦井:AIのように移り変わりの激しい技術のノウハウ は、都度勉強しなければなりませんが、それもやりがいの一つです。“7割を仕入れた知識、3割を自分が持つ技術”にすると、新しいものがつくれると思っています。仕事における最大のモチベーションは、作品を誰かに体験してもらうこと。特に子どもが楽しそうに遊んでくれているのを見ると嬉しい気持ちでいっぱいになります。
熊谷: その体験が生活者にとってどのような価値を持つのか、何が嬉しく、何が便利なのか、何を届けるべきか、を徹底的に問う姿勢を大切にしています。その本質を見極めることで、これまでにない新しい体験価値を創出できると確信しています。
イベントや空間設計、Webやアプリなどオンライン・オフラインを問わない体験設計全般において、その質を高めたいとお考えの際は、ぜひ一度ご相談ください。
博報堂プロダクツ 公式YouTubeチャンネルでは、今回登場した2人のインタビュー紹介動画も公開しています。こちらもあわせてご覧ください!
【Vol.22】YouTube動画はこちら

