博報堂プロダクツ 統合クリエイティブ事業本部 ウラワザチームのデザインエンジニアの小林 幹太さんが、2025年度グッドデザイン・ニューホープ賞(主催:公益財団法人日本デザイン振興会)の「仕組みのデザイン」カテゴリーで入選しました。

グッドデザイン・ニューホープ賞とは?
2022年にスタートした「グッドデザイン・ニューホープ賞」は、将来のデザイン分野を担う新世代の活動を支援することを目的に、大学や専門学校などに在学中の学⽣や卒業・修了直後の新卒社会人による優れたデザインを表彰。受賞者には、経験や知識の蓄積、活躍の場を提供するプラットフォームとして研修や共創機会も用意されています。
公式サイトはこちら https://newhope.g-mark.org/
入選作品紹介
作品名:Capture Session
https://newhope.g-mark.org/award/2025/25NHA040016.html
概要:スマートフォンの内側カメラと外側カメラを同時に起動し、リアルタイムに合成するカメラアプリケーション。「撮る側」「撮られる側」の関係性を揺さぶる新しい撮影体験を生み出します。


入社1年目でグッドデザイン・ニューホープ賞に入選!小林幹太さんインタビュー
入選の喜びと周囲の反応
── 入選を知ったときの気持ちと、周りの反応は?
小林:自分で応募したものの、まさか入選できるとは思っていませんでした。
制作当初は『これがデザインなのか』という感覚もなく、完成後に周囲の仲間の反応を見てようやくデザインだと実感し、試しに応募しました。だからこそ、自分が一番驚いていますし、グッドデザインという形で評価されたことが素直に嬉しかったです。周りの人もとても喜んでくれました。
入社1年目の挑戦と成長
── 小林さんは今年入社で1年目とのことですが、入社後はいかがですか?
小林:とても楽しいです。自分はまだまだだなと感じることの連続で、付いていくのに精一杯ですが、職種として求められていることや動き方が少しずつ分かってきて、現場業務が増える中で仕事がどんどん楽しくなってきています。
理想にはまだ届いていませんが、このまま頑張れば近づけるかもしれないという感覚も芽生えてきました。最近は先輩の背中を見ながらも、自分で主体的に動く機会が増え、責任をひしひしと感じながら取り組んでいます。
アイデア誕生のきっかけと着眼点
── アイデアはどのように生まれ、「内側カメラと外側カメラの同時起動」を選んだ理由は?
小林:きっかけは、渋谷スクランブル交差点や電車での体験でした。歩いているときに前方からスマホを向けられると、絶対に自分が映っているなと感じ「これに映らずに通りきることは不可能だな」などと思いながら歩いていて、撮る側・撮られる側の境界が曖昧になっていることに気づきました。
また、学生時代から日常生活に溶け込んだ“当たり前”の技術に興味があり、スマートフォンの普及や一眼レフ並みのカメラ性能の進化を問い直し、ひねりを加えた作品をつくりたいという思いが出発点でした。
作品の見どころとこだわり
── 見どころやこだわったポイントは?
小林:体験の新しさが最大の見どころです。東京藝術大学大学院の修了制作として展示した際、来場者が予想外の使い方をしたり、保存された写真に驚いたりする様子が新鮮で、体験が広がっていくことに面白さを感じました。技術面では、単純な画像の重ね合わせでは違和感があったため、試行錯誤の末、RGB値を比較して、より自然な見え方を追求しました。数値的な正しさよりも見た目の心地よさを重視し、何度も実験を重ねたことがポイントです。当初は映像作品として構想していましたが、直接体験してもらう方が面白さが伝わると考え、アプリ化に挑戦しました。

デザインエンジニア/小林 幹太
開発で苦労したこと
── 開発で苦労した点は?
小林:アプリ開発は本当に苦労しました。何をすればよいか全く分からず、情報もなく、手探りで調査しながら進めるしかありませんでした。仕組み自体はシンプルですが、新しい発想だったため参考になる情報がなく、自分で試行錯誤して、調べながら効率的な方法を見つけていくプロセスが結果的に重要であることを痛感しました。
ものづくりで大切にしていること
── 作品づくりで特に意識していることは?
小林:考えるだけでなく、実際に手を動かして試作することを大切にしています。頭で考えすぎる傾向があるため、まずつくることを意識し、トライ&エラーを繰り返すことで“手触り”のある体験を形にしています。
今後の展望と目標
── 今後の展望について教えてください。
小林:リアルタイムで起こることがダイレクトに体験に反映される仕組みにとても興味があります。過去のプロジェクトでもリアルタイム性を重視し、試行錯誤を重ねてきました。今後も、既存のインタラクションが溢れる中で、まだ誰も見つけていない新しい体験を生み出し、『その手があったか』と思わせるようなアイデアを追求していきたいです。
また、一人前のテクニカルディレクターとして、体験設計を通じて自分のアイデアから誰かが楽しい思いや驚きを感じる瞬間を生み出したいと考えています。小さな発想が連鎖して大きなムーブメントになるような仕組みをつくることが目標であり、それができるのはウラワザチームの活動だと感じています。

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プロフィール

- 小林 幹太
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統合クリエイティブ事業本部 ウラワザ
2025年、東京藝術大学大学院映像研究科メディア映像専攻を修了後、博報堂プロダクツに入社。学生時代は「日常に溶け込んだ技術」への関心を起点に、アプリケーション、映像、Webサイトなど形式を問わず制作に取り組む。現在はデザインエンジニアとして日々勉強しながら、テクノロジーを生かしたアイデア作りや体験設計に携わっている。
本記事では、2025年度グッドデザイン・ニューホープ賞に入選した「Capture Session」と、その開発者である小林 幹太さんの想い・挑戦を紹介しました。今後も新しい体験を生み出す若手クリエイターの活躍に注目です。
