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博報堂プロダクツの各コア事業が追求している専門技術を駆使した新しい取り組み、
最新ソリューションおよびプロフェッショナル人材などを紹介します。

顧客接点の総合力で実現する ビジネスプロセスの変革【 Close Up!P Value Vol.19 ビジネスプロセスサービス編】

Products、Professional、Playful、Personal、Pride… 
そんな、博報堂プロダクツの多彩な「P」をお届けする公式YouTube「Close Up!P Value」シリーズと連動したインタビュー記事を公開中。17事業本部・100職種以上のプロフェッショナルたちが、それぞれの“専門性や提供価値”を、お届けしています。 

 

Vol.19では、BPSプロデュース事業本部から、ビジネスプロセスサービス(BPS)について西口 一郎、カスタマーサクセスプロデュースチームの臼井 潤、VOCマーケティングを担当する杉林 正浩が登場。BtoC領域のプロフェッショナルによる新しい形のBPS、カスタマーサクセスの取り組みを紹介します。

 

3人のインタビュー動画はこちらからご覧ください!

Close Up! P Value vol.19 インタビュー動画のサムネイル

 

きめ細やかな提案と多彩な専門性で
顧客満足度の向上に上流から取り組む

――専門的知見やデジタル技術の活用によって、業務プロセスの可視化から設計、実装までを遂行し、クライアントのビジネスを成功へと導くBPS(ビジネスプロセスサービス)。ノンコア業務のアウトソーシングを中心とするBPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)から発展して業務プロセスの最適化まで支援するBPSだが、博報堂プロダクツにおいてはさらに独自の価値を提供していると西口 一郎は語る。

 

西口:BPSでは一般的に、クライアントのビジョンや経営戦略に寄り添ったサービスの提供がポイントになります。私たちのチームは顧客接点の運用、設計のプロであるとともに、総合制作事業会社として各事業本部の機能を掛け合わせた価値も提供できる。そのため、業務プロセスから収益モデルまで、クライアントの目線に合わせた根本的なビジネス変革に貢献できると考えています。

 

BPSプロデュース事業本部の提供領域

 

――コンタクトセンターをはじめ、ロジスティクス、バックオフィス、営業代行と多岐にわたる事業ドメインを一貫する強みが、柔軟な提案力だ。

 

西口:私たちが大切にしているのは“きめ細かさ”です。与えられた課題に答えを出すのは当然として、クライアントの課題を細やかに汲み取り、答えのバリエーションを用意する。様々な解決の可能性からクライアントに最適な答えを選んでもらうことで、より本質的な解決を目指します。

 

――“きめ細かさ”は施策の実施にも反映される。生産性の向上は小さな改善の積み重ねから導き出されるためだ。

 

西口:たとえばコンタクトセンターの場合、オペレーターが受電結果をシステムに入力する際のフローを見直すことで、一回の通話における生産性が5~10%改善されることがあります。1件あたりは5秒の短縮でも、年間50万件の受電があれば約700時間といった膨大な時間の削減につながる。業務プロセスの改善は“チリも積もれば”の世界ですね。

 

――公共、民間問わず対応できるBPO業務のバリエーションを増やすため、「計画的に資格取得を推進している」と語る西口。チームは多彩な専門性を持つメンバーたちによって構成されている。

 

西口:個人情報を扱う個人情報保護士やプロジェクトマネジメント、COPC(コールセンターの品質規格)の認定資格を持つメンバーのほか、一風変わったところだと、行政書士や健康経営エキスパートアドバイザー、精神保健福祉士もいます。幅広いジャンルの有資格者が在籍しているのがBPSプロデュース事業本部の特徴です。

 

――BPSの知見と、業務領域を越境する対応力を土台に、新たに注力しているのがカスタマーサクセスだ。

 

西口:これまで私たちが手掛けてきた業務領域は、中流から下流が中心でした。しかし、もっと上流から関わることで、顧客満足度やロイヤルティの向上に根本から貢献できるのではないか。そのような考えから、カスタマーサクセスの専門チームを新たに立ち上げました。

 

――生産性の向上が付加価値に直結する中流~下流のプロセス改善と異なり、上流では生活者の心を動かし、LTVを最大化するための戦略的な設計が求められる。しかし、それこそがまさに博報堂プロダクツの得意とする領域だと西口は語る。

 

西口:クライアントが抱える課題は、突き詰めればクライアントの商品・サービスを利用するユーザーからの評価に集約されます。カスタマーサクセスはファクトベースで課題を洗い出し、顧客の声や思いを可視化する取り組み。チームとしては新しいですが、顧客と向き合ってきた実績とノウハウを豊富に持つ私たちならではの価値を提供できる領域だと考えています。

 

BPSプロデュース事業本部
カスタマーマネジメント部長 兼 BPSオペレーション部長  西口 一郎

 

――西口が目指すのは、対応力のさらなる向上だ。

 

西口:BPS領域は今まさに成長市場ですから、今後も対応できる業務のバリエーションを増やすことに注力していきます。BPSの実装は、私たちが持つ強みやリソース、パートナー企業との連携といった“パーツ”をいかに組み合わせるかという仕事。このパーツを磨き上げるために、常に新しい技術やトレンドを積極的に取り入れ、事業成長のパートナーとして、クライアントにとって第一の選択肢となるような存在になっていきたいと思っています。

 

“売って終わり”からLTVの最大化へ
BtoC領域で挑むカスタマーサクセス

臼井:カスタマーサクセスは、既存顧客を優良顧客へと成長させる取り組みです。カスタマーサポートと混同されやすいですが、目的も手段も異なります。

 

カスタマーアクセスのアプローチ領域のピラミッド図

 

――カスタマーサクセスチームを率いる臼井 潤は、カスタマーサクセスの役割を次のように説明する。

 

臼井:カスタマーサポートは問い合わせなどを受けてから対応する、いわば受動的な業務です。一方、カスタマーサクセスは顧客満足度やロイヤルティの向上を図る能動的アプローチ。実は新規顧客の獲得にかかるコストは既存顧客を維持するコストの5倍かかり、解約率を5%削減すると売上が25%向上するともいわれています。この観点に立てば、コストセンターであるカスタマーサポートとは対照的に、カスタマーサクセスはプロフィットセンターとしての役割を担うともいえるのです。

 

――なぜ今、企業はカスタマーサクセスに注目しているのか?

 

臼井:元々はBtoB領域で広く行われてきた手法でしたが、ECやサブスクリプション型ビジネスの普及により、近年はBtoC領域でも取り組みを始める企業が現れ始めました。ただ、BPSとしてBtoCのカスタマーサクセスを提供するサービスはまだ多くありません。

 

――空白の市場に飛び込み、新しい価値の提供を試みるのが臼井たちのチームだ。

 

臼井:BtoCのカスタマーサクセスでは、BtoBではとらえきれない生活者視点のコミュニケーション設計やマーケティング視点が強みになる。そこで、多様な顧客接点に強みを持つ私たちと、カスタマーサクセスのノウハウを持つ会社でタッグを組み、カスタマーサクセスの総合支援サービスを立ち上げました。

 

――サービスではコンサルティングから実際の運用まで、全方位で対応する。中でもポイントとなるのが成功の定義設定だ。

 

臼井:カスタマーサクセスはその名の通り、顧客を“成功体験”に導く取り組みです。ここでいう成功体験とは、商品やサービスを通じて顧客が期待以上の価値を得ることをさします。しかしBtoCでは、成功の形がBtoBと比べて多様で複雑になります。例えば、カフェチェーンにおける「顧客の成功」とは、ただ単においしいコーヒーを提供されるだけではなく、居心地の良い空間=“サードプレイス”としての役割を果たすことであり、ブランド体験を通じて心地よい時間を過ごすことなど、複数の要素が絡み合って成り立っています。そのため、どのような顧客がどのような価値を求めているか、成功体験の解像度を高め、定義する必要があります。

 

――「顧客の成功を定義する上でデータによる可視化は欠かせない」と臼井は語る。

 

臼井:ファーストパーティデータをはじめ、ヘルススコアやVOC(Voice of Customer)といったデータを活用しながら、顧客のLTVやロイヤルティの度合いに応じた施策を打ち出します。入会して間もない顧客を対象に、お友達紹介キャンペーンのような施策を打っても効果は期待できませんが、ロイヤルティの高い顧客であればサービスを紹介してもらえる可能性は高いですよね。カスタマーサクセスでは、データを起点に、コストを最小化しながら効果の最大化を図るのです。

 

BPSプロデュース事業本部
チーフカスタマーディレクター 臼井 潤

 

――施策の設計・運用では、コンタクトセンターやSNS、コミュニティサイトなど、多様なチャネルへの対応が求められる。

 

臼井:私たちには、あらゆる顧客接点に対応できるノウハウがあります。また、オンオフのチャネルを横断して施策を検証できるのも私たちが提供するメリットの一つです。インハウスでカスタマーサクセスを行う場合、それぞれの顧客接点が別々の部署で管理され、費用対効果の検証が不十分ということも珍しくありません。あるチャネルで集客に成功したものの、実はその後の定着には結びついていなかった――こうしたありがちな失敗も、私たちが外部から統合的に状況を把握することで未然に防ぐことができます。

 

――BtoC領域におけるカスタマーサクセスはこれから認知が広がる段階。臼井はカスタマーサクセスに対する理解促進から、活用の輪を広げていきたいと語る。

 

臼井:コンサルティングのみ、データ分析のみ、BPOのみといった部分的な導入から、一気通貫の体制構築まで柔軟なカスタマイズに対応しています。まずはカスタマーサクセスそのものについて詳しく知りたいといった場合には、勉強会やワークショップなどの開催も可能です。ご興味があれば、ぜひお気軽にご相談ください。内容や形式はご要望に応じて柔軟に対応いたします。

 

大きな可能性を秘めたデータ資産
顧客の声をLTV向上の武器に変えるVOC

――カスタマーサクセスの施策設計において重要な役割を果たすのが、VOC(Voice of Customer)の分析だ。担当する杉林正浩は、VOCマーケティングの可能性を語る。

 

杉林:VOCとは、顧客からいただく意見や感想、要望、不満といった“顧客の声”を収集して可視化する手法です。たとえばコンタクトセンターに届く顧客のご意見はまさに「お客様の声」ですが、VOCが対象とするのは音声通話に限りません。メールやチャットでのやり取り、アンケートへの回答、ホームページでの商品・サービスの評価コメント、さらにはSNSの投稿といったテキストを含む幅広い“声”が対象となります。

 

VOCマーケティングフローの画像

 

――分析には生成AIをはじめとする独自の分析エンジンを搭載したツールを利用する。

 

杉林:主に用いるのは形態素解析からのテキストマイニングの手法です。ツールによって文章を分解し、重要な単語の抽出や、頻出度の数値化、話題のカテゴリ化などを行います。ただ、ツールは顧客の声を可視化することに長けてはいるものの、クライアントの課題に対する示唆や仮説を導き出し、どのような施策に落とし込むかは、最終的に人の判断が不可欠です。

 

――VOCにおいて焦点が当てられるのは、認知のきっかけや購入後の評価といった定性的なデータだ。ファーストパーティデータをはじめとする定量データに顧客のリアルな声を組み合わせることで、取るべき打ち手が浮かび上がってくる。VOCの真価は、打ち手とセットで発揮されると杉林は強調する。

 

BPSプロデュース事業本部
チーフカスタマーコンタクトディレクター 杉林 正浩

 

杉林:定量データでは顧客の行動や傾向を把握できますが、「なぜそうなったのか」については、定性データとしてのVOCの分析が必要です。「なぜ」がわかれば、予測と対策につなげることができます。例えば、解約率が高いという課題があった場合に、「サービスの継続を迷っている予兆」を顧客との会話から見つけ出し、先回りしてアプローチできる。過去の結果を示す定量データに対し、VOCは精度の高い予防策を立てるヒントになるのです。

 

――その活用幅は広く、様々な施策の最適化に役立つ。

 

杉林:VOCはマーケティングをはじめ、生産性の向上やカスタマーサクセスなどあらゆる領域の施策に役立ちます。たとえばコンタクトセンターであれば、対応が不十分だった問い合わせを洗い出してFAQを改善するといった活用例が考えられます。マーケティング視点では、顧客の反応からお申し込みの導線がわかりにくいという課題を特定し、UI/UXの改修につなげるなど、施策の最適化を図ることができます。また、サブスクリプションサービスにおいては、顧客の不満やその予兆を早期に察知できれば、離脱防止のチャーン対策にも役立てることができます。どのような活用方法であっても、私たちは診断から運用までをワンストップで提供しており、課題の発見から施策の実行までを一貫してサポートします。

 

――様々な場面で役立つ顧客の声だが、実際の活用に至っていない企業は少なくない。

 

杉林:VOCそのものは知られているものの、うまく使われていないという印象です。各部署がそれぞれにVOCを蓄積しているものの、組織を横断して活用できていないケースもあれば、そもそも課題の特定に必要なVOCが不足しているケースもある。この場合、データ基盤の整備やデータを収集するためのチャネル設計から、私たちにお任せいただくことも可能です。

 

――眠れるデータ資産ともいえるVOCを活用できれば、顧客の理解が深まり、より的確な施策が打てる。施策を通じて顧客ロイヤルティが高まれば、新たなVOCが集まる。企業と顧客のコミュニケーションを深化する手段として、杉林はVOCに大きな可能性を見出している。

 

杉林:VOC活用の伸びしろはまだまだ未知数で、非常に面白い領域です。近年は生成AIの登場により、大量のテキスト分析が無理のないコストで実施できるなど、技術面での追い風も吹いています。VOCは単体でも有用ですが、分析結果をカスタマーサクセスに活用することで、より大きな効果を発揮します。顧客のLTV向上とクライアントの事業成長を強力に推進する手段として、ぜひ活用してもらいたいです。

 

 

博報堂プロダクツ 公式YouTubeチャンネルでは、今回登場した3人のインタビュー紹介動画も公開しています。こちらもあわせてご覧ください!

 

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