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熱い長い想いを博報堂プロダクツ 中部支社がカタチにする~全長約45メートルに敷き詰めた「感謝」~

 

 

2022年3月21日から27日まで、三重県鈴鹿市の「鈴鹿サーキット」の広告が阪急電鉄大阪梅田駅構内に掲出されました。その内容は、B0ポスター60枚分、幅約45メートル高さ約2メートルにわたる広告枠をレーシングコースに見立て、その背景を無数の「感謝」の文字で埋め尽くすというもの。
この広告はブレーン(宣伝会議刊)2022年7月号でも取り上げられました。
本記事では今回の交通広告を手掛けた、中部支社プロモーションプロデューサーの上野篤志さん、デジタルプランニングディレクターの村田正貴さんにお話を伺いました。

 

 

     左から
      中部支社・プロモーションプロデューサー   上野篤志さん
      中部支社・デジタルプランニングディレクター 村田正貴さん

 

 

伝えたいのは「感謝」

 

ー本案件のきっかけを教えてください

 

上野)
三重県鈴鹿市に「鈴鹿サーキット」というF1日本グランプリを開催する世界的にも認知された施設があります。鈴鹿サーキットが今年で開業60周年を迎えるにあたり、今までご来場いただいたファンやステークホルダーの皆様に感謝を伝えたいとのことで、1年間かけて「60」という数字に関連する様々な企画を行っていました。
我々からも「60」に関連する様々なアイデアを提案したのですが、その中に、阪急電鉄のB0サイズ60連張りの交通広告枠がありました。「60」に関連し、なおかつ幅45メートルとインパクトのある枠で感謝を伝えたいとのことで採用していただきました。

 

村田)
東海地方の方々には鈴鹿サーキットは知られているのですが、ユニバーサルスタジオジャパンを筆頭に競合の施設が多い関西地方の方々に対しても鈴鹿サーキットが60周年を迎えたことを知ってもらう、感謝を伝えるきっかけを作りたかったというのはありますね。

 

上野)
名古屋でも実施できるとなお良かったのですが、実は鈴鹿サーキットのお客様の多くは関西から来てくれています。ですから、大阪で広告を出し、感謝を伝える意味は大いにありました。

 

 

ー広告の内容はどのように決まりましたか?

 

村田)
企画は何もない中で「60」という数字に関連する交通広告のスペースだけが決まっていました。ここで何ができるのかと考えたときに体験施策や一枚モノの絵を掲出する企画もありましたが、クライアントからは、感謝のメッセージが伝わる場所にしてほしいという強い想いがありました。

 

上野)
鈴鹿サーキットは、子どもがモビリティを通して、成功体験を得られ、成長できるテーマパーク。子どものときに車やバイクを好きになってもらい、大人になってもそれが続いてサーキットに戻ってきてもらいたい想いがある。そのため、60年分の感謝を表すことはあらゆるお客様に対して、非常に重要だと考えていたんです。
そうしてクライアントと話し合いを重ねていく中で、シンプルに「感謝」という漢字を交通広告のスペースに敷き詰めることになりました。広告掲出の場所が大阪だったこともあり、シンプルだけれども、実は大掛かりな仕掛けにはツッコミ待ちの気持ちもありました。

 

 

ー大変だったことを教えてください

 

上野)
デザイン上の配置にとても苦労しましたね。開場日である1962年9月20日から2022年9月20日までの60年間は数えると21915日になります。「感謝」という二文字の数を21915個にして、合わせようと。「60年分の数えきれない感謝を込めて。」というコピー部分や鈴鹿サーキットのロゴなどで隠れている部分はカウントせず、本当に見て数えられる部分だけで数を合わせました。

 

村田)
そこにもクライアントの熱い想いを感じました。鈴鹿サーキットのファンには、熱狂的な方たちも多いので、本当に数えられた場合のことを考えて、ガッカリさせたくなかった。広告自体に「60年分の数えきれない感謝を込めて。」と書いてあるので、逆に数えたくなるんじゃないかとも考えていました。
しかし、実際に確認のために自分たちで数えるときは大変でしたね。アシスタントにも手伝ってもらって、チーム一丸となって、地道に21915個を数えました。

 

 

 

 

仕事の結果、そしてこれから

 

ー広告の反応はいかがでしたか?

 

村田)
広告の内容で伝えているのは「感謝」のみ。実際に公開されるまでどんな反応が来るのか、本当に数えてくれるのか、私自身不安でした。ふたを開けてみると、「自分は60年分の何日間行ったんだろう」と自分事として捉え、好意的に60年を考えてくれているメッセージを何人もの方からいただきました。SNSで何件もリプライが続いたり、「県外からようやく見に来れました!」など、鈴鹿サーキットのファンの方の熱意を実感することができました。

 

上野)
掲載期間は7日間のみでしたが、どうしても見に行きたいという方もいて、本当にファンの方の熱量を感じられましたね。
クライアントには各業界からも賛辞が送られ、「よかった」と言ってもらえましたし、60周年記念での展示会ブースにも今回作成したビジュアルが展示されました。また、エリア限定にはなりますが新聞広告にもリサイズした広告が掲出されました。

 

(実際の新聞広告のビジュアル)

 

 

〈中部支社長 平井 重樹 コメント〉

先ずは、このようなお仕事をさせて頂く機会を与えてくれた、鈴鹿サーキット様に「感謝」申し上げます。
最初、60周年のプロモーションを考えて欲しいという話を頂いた際に、「実現可能かどうかは後からの判断で良いので、いろんなアイデアをください。」とのことからスタートしたプロジェクトでした。様々な案を出して、ワイガヤしていくなかで、鈴鹿サーキット様で直接やられた方が良いと判断したものや、これは面白いから詰めてみてと宿題をもらったけれど、実現出来なかったものもあります。
そんな中、このOOH(交通広告)は中身次第で絶対面白いものになる!という鈴鹿サーキット様の妥協しないスタンスもあり、実施、成功させることができました。私どものプランナーやデザイナーだけでは出来ない仕事でした。