博報堂プロダクツ 映像クリエイティブ事業本部 「ミニッツムービー」メンバー
写真上段左から時計回りに、中嶋駿介、吉田真也、右田朋広、幾世明訓、長塩希代、小山奈緒美、荒木苑子。
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視聴環境が整備され、マーケティングの決め手となりつつある動画コンテンツ。特に、生活者の購買プロセスにおける「ミドルファネル」に対して効果を発揮する「長尺動画」の影響力が増しています。そこで誕生したのが、博報堂プロダクツの長尺動画制作のエキスパート集団『Minutes Movie ™』(以下、ミニッツムービー)です。興味、好意、比較検討といったミドルファネルに、1~3分の長尺動画が効く理由や、「予想外に胸に刺さる」「つい何度も見たくなる」など、“魅せ切る”力を持った価値の高い動画制作のポイントを、ミニッツムービーのメンバーに聞きました。
【目次】
■エンゲージメントを実現する長尺動画のニーズが拡大
――なぜ近頃「長尺動画」がトレンドになりつつあるのか、動画マーケティングの変遷を簡単に教えてください。
右田:2005年のYouTube誕生の前後からWebムービーの流行が始まりました。2010年代に入ってスマートフォンが普及し、2015年頃から縦型フォーマットを前提としたコンテンツが注目されるようになります。この頃から並行して、コネクテッドTV(ネット回線に接続されたテレビ)の利用が増加しました。
一時期は数秒に要素を詰め込む「短尺動画」が動画マーケティングを牽引していましたが、コネクテッドTVの普及とコロナ禍による動画視聴の変化などの影響で、近年は再び長尺動画が見られるようになっています。ここ数年で“動画を見る習慣”が一般に定着したように思いますし、これまで、紙のメディアだったものもどんどん動画に置き換わってきています。
小山:数年前までは「動画でとにかくバズらせよう」という動きが目立ちましたが、それもやや落ち着いてきました。動画で「ブランドの世界観を伝える」などといった“役割”が付加されて、Webターゲティングとマッチする長尺動画が求められるようになってきたのです。さらにコネクテッドTVで配信される魅力的なコンテンツとコンテンツの間に差し込まれても見劣りしないクオリティの動画が求められ、SNSで拡散される仕掛けも必要になってきました。
賀内:そんな認知から購買にたどり着くまでの幅広いミドルファネルに対応する長尺動画制作のために、エキスパートである7人の映像ディレクターが集まったのが「ミニッツムービー」です。それぞれの得意分野を活かして、長尺動画のニーズにどんどん応えていくことが我々の使命です。
ミニッツムービーには、各専門領域に特化した経験豊富で多彩なスキルを持つ7名のディレクターが在籍。
ミドルファネルの課題を長尺動画で解決。
――そもそも、長尺動画が短尺動画よりもミドルファネルに効く理由はどんな点にあるのでしょうか。
右田:長尺動画の最大のポイントは“圧倒的な情報量の多さ”です。認知に留まらず、理解する、好きになる、選択する、といった感情的な価値判断まで踏み込めることが、長尺動画の強みです。
吉田:ターゲティングでインパクトを絞れば、長尺動画はエンゲージメントに対してより有利に作用します。ユーザーにとって近いと感じる動画、興味を誘う動画が流れてくるので、ユーザーは「長くても見たい」という気持ちになります。その中で、“多くの情報をいかにうまく伝えていけるか”を試行錯誤しながら制作します。
幾世:そもそもマーケティングに関するデータやノウハウを熟知して長尺動画を企画演出できる映像クリエイターの数は多くありません。しかし、CM制作の豊富な実績があり、映像制作以外にもさまざまな専門領域に特化した事業本部を持つ、我々だからこそできる演出があります。特に、マーケティングデータは近年バリエーションが増え、扱い方にも変化が現れてきました。リアルタイム視聴率やSNSでの反応なども加味する必要があり、UGC(ユーザー生成コンテンツ)に近い企画演出なども行っています。
小山:気軽に「いいね!」できるようになって、ユーザーの動画との向き合い方は大きく変わりました。ファン化やシェア数が可視化・数値化できるようになり、マーケティングの軸は拡大しています。ターゲットの幅はさまざまですが、長尺動画なら「これは“みんなに見せる動画“ではなく“あなたに合っている動画”です」ときちんと設計して伝えることができます。その上で、7人がそれぞれの得意な分野で文脈を設計し、丁寧に伝えていくことが我々の共通認識です。
ミドルファネルは、「興味・好意」、「比較・検討」により理解を深め、購入への力強いパスとなる中間プロセス。
短尺動画よりも1~3分の長尺動画が効果的。
■濃密で繊細なプロの技術とセンスで長尺を“魅せ切る”
――高い視聴完了率とエンゲージメントを実現する「ミニッツムービー」の“魅せ切る”方法について教えてください。
右田:大きく2つのポイントがあります。まず一つめが「マーケティング×エンタメ」です。課題に対してどんなエンタメを掛け算して、長尺動画に仕立てるかが“魅せ切る”ための大きなポイントです。例えば、見た人に何かを理解してもらいたい時には、クイズ番組やラジオのワンコーナーのような形式で見せたり、ブランドや経営方針を深く知ってもらうために、感情を揺さぶるドラマやシネマ風のムービーを作る手法などがあります。我々はクライアントの課題に合わせて、この「マーケティング×エンタメ」の最適な組み合わせを実現します。
多様な「マーケティング手法」と、「映像エンタメ手法」との掛け算で動画化。
“気づき”を喚起し、“知りたい”を促進し、長尺動画を飽きさせず“魅せ切る”ことで“買いたい”に繋げる。
右田:ふたつ目は「ストーリーテリング」です。長尺でも動画を最後まで見てもらい、理解してもらい、覚えてもらうには技術が必要です。ある種の“脚本術”とも呼べるかもしれません。豊富な制作実績や経験から導き出した技術や手法、センスも各分野において7人それぞれが備えています。
吉田:ストーリーテリングの手法は、これまで映画やドラマの脚本に活用されてきましたが、実は広告ではあまり活用されておらず、私たちはそれを長尺動画に積極的に取り入れて、さらに、時代性やトレンドも踏まえた構造に落とし込んでいくことにしました。
「興味・好意」を喚起するストーリーテリング例。
短尺動画にも用いられる離脱防止の方法論も活用し、ストーリーを時系列で企画からしっかり設計。
完全視聴を実現する。
小山:科学的にも人間が何かに集中できる時間はどんどん短くなっていると言われています。スキップされないようにポイントを押さえることで、数分の長さでも引き込んで離脱させない“波”のある展開が必要となります。
賀内:長尺動画ならではの“体験”をどう作るかが重要ですね。そのための技術やセンスにもディレクターの特技や個性、経験値や実績が活きてきます。
■「本音を引き出す」「普遍性に訴える」誠実さがカギ
――“魅せ切る”ための皆さんの意識や技術について、もう少し詳しく教えてください。
吉田:まず、商品について誰よりも詳しくなることがとても重要です。どんな商材でも、ユーザーがコアなファンなら作り手もそうなる必要があり、クライアントや技術者と対等に話せるくらいの知識をつけることが望ましいですね。対等に話せる要素が分かってくると求められるものが自ずと見えてきますし、制作する中でも手応えも感じることができます。
小山:好きにならないと良い動画は作れないと思うので、商材が電子機器なら説明書も全部読みますし、化粧品なら実際に必ず使います。ただ、内容やターゲットによっては動画に情報を詰め込みすぎるとマイナスに働く場合もあるので、情報や知識を全て頭に入れた上で表現するものを取捨選択し、目線の角度や立ち位置も柔軟に調整します。
荒木:私はコスメなどを担当することが多いのですが、アプローチにはユーザーの口コミのような視点や感覚が欠かせません。長尺動画の場合は、「良い商品です」だけを強く言っても、使った人に「そうでもなかった」と思われたら、むしろ裏切られるような気持ちにさせてしまい、結果的にブランドイメージを下げることになりかねません。良いものであることを伝えつつ、実際に使ってみた感想とのバランスをとるように注意しています。
長塩:SNSなどの一般的な口コミや感想ではよく「史上最高の○○!」といったオーバープロミスが用いられますが、それこそ“裏切り”や広告アレルギーの源になってしまう可能性があります。商品を本当に信じて購入してもらうには、リアリティがありつつ、理由や実証を含めて一番伝わるメッセージをベストなタイミングで伝える技術が必要だと思います。特にSNSに漂っている空気感や表現は、次々更新されていきます。その中で、今一番伝わる表現は何かという点を常に模索しています。
――商品をエモーショナルなストーリーの中に入れ込むことで、ブランド価値を高める長尺動画が得意な中嶋さんはいかがでしょうか。
中嶋:私の場合は、多くの人に届けたい内容でも、あえてターゲットを狭く決めます。例えば「20〜30代のいずれ住宅の購入を考えられる層にある住宅ブランドの良さを伝える」というプロジェクトでは、映画制作の手法を使って、“小さな子どもと愛犬の成長”といった普遍的なストーリーを組み合わせて、まず育児中のファミリーや愛犬家の方に深く刺さるように作りました。エモい動画から、商品への理解や好意を深めてもらい、拡散を生むことが狙いでした。
賀内:届ける相手は絞り、ペルソナも固めますが、自然と共感する人が増えるような動画ですよね。ユーザーも満足できるため、結果的に訴求効果が高くなり、長尺である意味も出てきますね。
長塩:“ペルソナを固める”という話の延長で言うと、荒木さんはユーザーボイスを深く掘り下げるインタビュー動画の制作に定評がありますね。
荒木:ありがとうございます。私は自由演技での撮影をよくやるのですが、実は3回撮影するんです。1回目はまず自由に話してもらい、“語り手が言葉にできていないけれど、思っていること”を探します。続けて、語り手の答えを想像しながら質問を変え、「それって短く一言で言うと何ですか?」といったやり取りを撮影2回目、3回目と重ね、嘘がなく、動画としても使いやすい言葉を引き出していきます。
長塩:語り手ですら気が付いていない本音や、素の表情を引き出す技術ですね。しかも語り手自身が「言いたい事はこれだった」と納得できる形で導き出せるところが素晴らしいですよね。
■熱を保ったスピード感で走り切り、実現まで着地させる力
――その他に「博報堂プロダクツのミニッツムービーだからできる」というポイントがあれば教えてください。
賀内:全員が企画に対して、撮影、演出、編集と、自ら一気通貫で関われることは大きな強みですね。ほとんどの場合、私たち自身がオリエンから参加して、クライアントからも直接お話を伺います。これは、プロダクションとしては珍しいことかもしれません。プレゼンや現場での取材もディレクター自身が担当します。
吉田:初期から要望を伺うことで、ユーザーに刺さるものが作りやすくなります。そこに、独自の経験やトレンド感を混ぜ込んでいくことで、確度が高まると考えています。
右田:「経営ビジョンを長尺動画で見せる」といったインナー施策なども、上層部と現場とでビジョンへの認識や温度感が違うことがあります。自分自身でしっかりと取材をしないとその感覚を掴むことができません。それにより、どのメディアで展開するか、別施策とのコラボ提案など、効果を高める提案ができる場合もあります。
幾世:社内メンバーで構成される「ミニッツムービー」だからこそ、他事業本部との自然な横繋がりがあります。例えば、データ活用やSNS施策、生成系AIを研究する別の事業本部の成果を映像に組み込むことなどの提案もできます。同じ会社だからこそ、一気通貫でクイックレスポンスできることも大きな強みだと思います。
――最後に、それぞれの目標ややりたい事などを一言ずつ教えてください。
幾世:移動データ、感情分析など、マーケティングデータは進化していますし、街頭や自動販売機のサイネージ、またXRデバイスなど、今後はより多くのインターフェースで動画が見られるようになると思います。その動向を常に捉え、最適な動画制作や、まだ誰もやったことのない新しいことができたら良いなと思っています。
中嶋:今後も、エモい動画をどんどん作りたいですね。エモいブランドムービーと思ったら、中嶋を思い出していただけると嬉しいです。
荒木:「広告だけどなんか信じられる」「長いけどなんか見ちゃう」と言われることがとても嬉しいです。その“なんか”の部分を長尺動画の中で言語化し、形にできると良いなと思っています。今後も新しい手法などを常に探していきます。
長塩:興味喚起やSNSでの話題化などは大前提として、「めちゃくちゃ売れる」という部分を強化した動画を作りたいと思っています。動画と購買の距離をただ縮めるだけではなく、見た人に満足度の高い購買をしてもらうことを狙っていく。そのための話題作りなどを含めて、動画マーケティングの良いサイクルを作っていきたいですね。
小山:ターゲットを分析して逆算してドラマやバラエティなどのエンタメ技術を掛け合わせ、課題解決しながら結果的に人の行動や感情を動かせるものを作りたいと思います。クライアントの納得度なども含めて、ポジティブなループを回せるような長尺動画を今後も作っていきます。
右田:長尺動画の時代になって、PV数やCTR(クリック率)といった指標に留まらず、人の心の内面にアプローチできるようになったと感じています。課題にマッチしたクオリティの高い動画を世の中に出していくことで、ユーザーもクライアントも、みんなが幸せになれるものを作っていきたいと思います。
吉田:固い内容だとしても、何回も見たくなるようなものだったら素敵ですし、かつ愛されるような動画制作を目標にしています。あわよくば、それを作った私のことも好きになってもらって、指名で仕事を頼まれるようになれたらと思います。やはり“愛される動画”を目標にやっていきたいです。
賀内:長尺動画制作に関するどのような課題にも絶対にアンサーできる自信があります。動画マーケティングについて何か課題があれば、ぜひご相談ください。今後は「ミニッツムービー」のメンバー全員で経験、知見をシェアし、後進の育成にも力を入れていきます。将来的にはより規模の大きい取り組みや、マーケティング以外のジャンルにもアセットを活かすことも検討し、動画制作全体への発展に寄与していきたいと思っています。
【プロフィール】
吉田真也(よしだ・まさや)/映像クリエイティブ事業本部 企画演出部 ディレクター
クライアントの技術力や商品特性などをユーザーにしっかり理解してもらうために、オリエンやクライアントへの取材から得た情報やストーリーテリングを駆使した構成・演出で描く。商品特性に紐づく、自動車や家電などのプロダクトの上質感のあるビジュアル作りが得意。
右田朋広(みぎた・ともひろ)/映像クリエイティブ事業本部 企画演出部 ディレクター
商品特性から企業の経営方針、社会課題まで、モノやコトのファクトをドラマ、MV、ドキュメンタリー等でストーリー化。ストーリーで感情を動かし、いつのまにか理解を通り越してファンにさせることが得意。
小山奈緒美(こやま・なおみ)/映像クリエイティブ事業本部 ONE★PUNCH ディレクター
ターゲットの刺さるポイント、視聴態度をしっかりイメージし、媒体の相性や動画そのものの役割も踏まえ、企画~演出まで手掛ける。ターゲットに最適化したコンテンツを幅広く分析し、動画の可能性を拡げる。クライアントの課題をベストなコンテンツにして伝えることも得意。KPI達成に定評あり。
長塩希代(ながしお・きよ)/映像クリエイティブ事業本部 企画演出部 ディレクター
いわゆる商品説明動画でも、ターゲットが好きなSNS文脈に合わせた演出を施すことで理解促進、好意醸成、SNSでのトレンド獲得など、デジタル施策の費用対効果の最大化を狙う。一本の長尺動画から媒体最適化したショート動画を切り出すことで、効果的な拡散や長尺への誘引も得意とする。
荒木苑子(あらき・そのこ)/映像クリエイティブ事業本部 企画演出部 ディレクター
「広告だけど信じられる」「広告だけど最後まで見ちゃう」を叶えるため、本音や素の表情を引き出すユーザーボイス系の動画制作のエキスパート。出演者のポテンシャルを活かした「本音引き出し戦術」で結果を出す。
中嶋駿介(なかじま・しゅんすけ)/映像クリエイティブ事業本部 企画演出部 ディレクター
ユーザーエクスペリエンスのストーリー化でブランド価値を上げることが得意。商品をエモーショナルなストーリーの中に自然と入れ込む事で、商品への理解と共に好意も高め、結果ブランド価値を最大化させる。
幾世明訓(いくせ・あきのり)/映像クリエイティブ事業本部 企画演出部 ディレクター
巧みな編集スキルと多彩な映像表現の引き出しで、情報を得ること自体が楽しみな「インフォテイメント」を実現する。SNSの時代に、ミニマムメンバーで作り上げる動画で、マーケティングコミュニケーションの可能性を拡張していく。
賀内健太郎(かうち・けんたろう)/映像クリエイティブ事業本部 企画演出部 部長/シニアディレクター
映像ディレクターは、総合的なクリエイティビティ(ビジュアル・音・言葉・時間・空間)と、高度な企画力・演出力・説明力を併せ持つアウトプットのプロであり、あらゆるジャンルで具体的なアイデアやソリューションを提供できる頼もしい人材です。ミニッツムービーには長尺動画のエキスパートが揃っています。ぜひ我々にご相談ください!
プレスリリース:
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