SNSの普及、テクノロジーの進化により、「個人」が影響力を持つ時代となりました。企業やブランドが、生活者からの信頼を勝ち取り、つながり続けていくためには、企業としてだけではなく属人的な本音ベースの関係構築が不可欠です。しかし、企業コミュニケーションの主戦場がSNSになりつつある近年においても、SNS運用の収益化に成功したチームはそう多くありませんでした。
昨年度、博報堂グループの先陣をきってプロダクツがソーシャルビジネスの収益化に挑戦し、立ち上げ初年度にも関わらず、社長賞を受賞するほど圧倒的な成果をあげた裏側にはどんな創意工夫があったのか。さらに新メンバーも加わり、大きくパワーアップした新生SNP(ソーシャルネットワークプランニング)チームをご紹介いたします。
(上段左から)デジタルプロモーション事業本部 長濱湧汰さん/大場良太さん/見學達樹さん/松永風馬さん(下段左から)仙波一郎さん/長尾舞夢さん/小川宗紘さん/滝沢晴香さん
ーーー収益化に成功した3つの要因。
大場:SNS領域のマネタイズについて、実はこれまでHDYグループで何度かトライしたものの、うまくいかなかった経緯があり、誰もやりたがらない領域となっていました。そんな中、覚悟を持って立ち上げたプロダクツのSNSチームが初年度から成功を収めた一番の要因は、SNSの肝となる「運用」「プランニング」「キャスティング」の3要素を全て内製化したことです。
長尾:まずは「運用」。はじめに注力するのは立ち上げ時、クライアントとの握りです。そこでコンセンサスをとった後の作業も全て自分で行いますが、うまく効率化しています。運用していく中で、信頼関係を形成しながら、得た情報をフックに、イベントやキャンペーンの追加施策提案をして継続的に予算を獲得し続けてきました。
見學:次に「プランニング」は、従来のプランニングとは一線を画して、SNSライクに仕立てることを意識しています。地道に実直にフォロワーとの関係構築を図るケースと、炎上も辞さない覚悟で盛り上げていくというケースうまく使い分けながら面白いことを仕掛けていこうという意欲を持ち続けることや、SNSやデジタルに閉じない広い視野を持って、イベントや動画も絡めた統合プランで付加価値をつけることを大切にしています。SNSをベースにしながらも、サイト制作、イベント企画、テクノロジーを活用した話題化施策など、統合プランニング知見が活かされています。
大場:最後の「キャスティング」。SNSのインフルエンサーは、タレントキャスティングとは全く違い、クラスターが複雑で、マネジメントも大変なのですが、チーム独自ネットワークを開拓し続けたことで、プロダクツにしか提案できないインフルエンサーのキャスティングが可能となりました。
松永:また、通常メディアと違い、twitterやfacebookなどのプラットフォーマーは仕様をコロコロ変えるので、できなことを提案してしまうというトラブルを招きがちですが、各プラットフォーマーと綿密に情報交換し、最新の仕様をキャッチアップするようにしています。SNS領域で「これまでと同じことをしていれば安心」ということはなく、常に新しいチャレンジの連続です。
ーーープロダクツが有する、ふたつの「ソーシャル」が融合し、博報堂グループのデジタルPRを牽引する存在に。
松永:なぜPRにSNSが?と思われる方もいるかもしれませんが、今期、PRチームに合流したのには理由があります。PRでよく使う「ソーシャル」は、広い社会そのものを指していましたが、いつの間にか「ソーシャル」というとソーシャルメディアを指すようになってきました。そしてPRは露出換算という時代もありましたが、本来は社会とつながり評判形成する(=パブリックリレーション)のが目的です。旧SNSチームがやっていた、ソーシャルメディアを媒介にして、企業やブランドが社会とつながるというのは、
まさにPRのど真ん中にある考え方。これまでパブリシティのチームと思われていたPRチームが、旧SNSチームと合流したことで、マスメディアとソーシャルメディアの両輪で、企業やブランドが社会とつながる構造を作ることができました。SNP(ソーシャルネットワークプランニング)というチーム名は、そんな想いで名づけました。
見學:個人ができることと、チームだからこそできることを見極めて、最適解を提案できることがこのチームの強みだと思います。人材不足に対してSNSを活用したり、新規開拓の際に、新しい切り口を求めている方は、SNSを入り口にすればこれまでと少し違ったアプローチができるはずです。今の時代、話題化のKPIとしてSNS拡散は必須なので、手法としてのSNSではなく、何かやった結果としてSNSで拡散されるという考え方で提案していきたいと思います。
松永:さらにチーム員ひとりひとりが個性と専門性を磨き、掛け算でチカラが発揮できるようになれば、博報堂グループを牽引するような、新しいデジタルPRのカタチが作っていけると考えています。今後、博報堂PR戦略局に常駐しているチームとも密に連携を取りながら、リソースを組み合わせて、旧来メディアとは全く異なる、新たなコミュニケーションのあり方を作る原動力になりたいです。
ーーー個性豊かすぎるSNPチームメンバーとソリューションを一挙ご紹介!
小川:ソリューションについては、昨年から提供しているソーシャルリスニングのサービスが非常に好評だったこともあり、今期はAIを導入してさらに精度を上げています。 SNSはもちろん、ブログやニュース、レビューサイトまで、豊富なメディアに対応して、さまざまな切り口・角度から「ネット上に溢れる声」を抽出・検証することができるので、新規クライアント開拓の際などにもぜひご活用いただければと思います。
松永:ホンネリサーチの他にも、「インフルエンサー独自ネットワーク」や「人事担当向けSNS採用活動支援」などの新サービスを今期中にリリースする予定です。ご期待ください!
ーーーPR部 仙波一郎部長よりコメント
SNSという新しいメディアの台頭によって、特に若者を中心に情報接触や価値判断の回路が大きく変わりました。それに伴い、メディア(=第三者)を通じて、広く評価・支持を得るというPR手法も、これからは大きく変わっていくでしょう。今は、SNSという新しいでデジタルメディアを使えば、今まで巨大な資本が必要であった、「全世界に声を届けること」が個人でも可能です。
ただし、可能であるということと「何もしなくてもSNSを使えば声が届く」ということはまったくの別の話です。SNPチームは、SNSという新しい可能性を秘めたメディアを、もっともっと有効に使える方法を考えていきたいと思います。先日も、若者に対して音楽・映像カルチャー界で影響力を持つ「りるはに」とアライアンスを結びました。彼女自身もインフルエンサーでありながら、周辺のインフルエンサーネットワークも非常に強い人間です。「りるはに」だけでなく、個性豊かなメンバーが常に新しい挑戦をしていきますので、ぜひSNS周辺業務について困ったことがあればSNPチームまでお声がけください!
ーーー取材後記
今回の取材を通じて、チームメンバーひとりひとりの話を改めて伺ってみると、PRプランナー、WEBマーケター、先端テクノロジスト、エクセル世界大会出場者、振付師、グルメレポーター、知る人ぞ知るインフルエンサー、虫を食べる美女など、本当に個性豊かすぎる8人でした。全くバックグラウンドが異なるにも関わらず、常に笑い声が絶えず、ちょっとした時の雑談力がものすごく高いということにも驚きました。
変化し続ける社会の中で、個人が力を持つ時代のコミュニケーションを切り開くためには、プロダクツという組織の中においても、強い個人のパワーを育てながら、それが混ざり合うようなチーム作りが大切なのだと感じました。ふたつの「ソーシャル」が融合し、松永TLを中心に大きくパワーアップした新生SNPチームは、今年も新しい前例を作ってくれそうな予感がしました。取材にご協力いただき、ありがとうございました!!