DXが加速する中、動画市場が急速に拡大しています。中でもエンゲージメントが高く、コンバージョンにつながりやすい「インタラクティブ動画」が注目を集め、活用の場は、Eコマースのみならず、OMOやオンラインイベント、バーチャルショップにも広がっています。これからの動画体験は、UI/UXの充実だけでなく、便利を超えた付加価値をいかに提供するかが求められます。動画を“タップ”するだけで情報誘導できる次世代動画技術「TIG」(ティグ)を活用した新しい動画体験について、パロニム株式会社 代表取締役 小林道生氏、博報堂プロダクツ 動画ビジネスデザイン室長 鍬形治氏、映像事業統括補佐 武内寛雄氏にお話を伺いました。
目次:
ー奥行きある情報をアクションに結びつける「制作力」×「データ解析力」
触れる動画「TIG」の魅力とは
—今、話題となっているインタラクティブ動画技術「TIG」を開発された経緯を教えてください。
小林: 前職で放送局向けの動画サービス事業に携わっていたことから、短時間で多くの情報を伝えることができる動画コンテンツの強さに惹かれていきました。現実世界で目に見えたものを自由に触って手に取るように、動画も触れることができるようになれば、もっと便利でおもしろい世の中になるはずだという考えからTIG開発を本格的にスタートさせました。しかし、これまでの動画は、動画視聴中に気になったことがあっても、ひとつひとつの要素を検索して調べる煩わしさから、次のアクションに移さずに視聴を終えてしまう経験を何度もしてきました。雑誌をめくりながら気になったページの角を折るような感覚で、もっと気軽に動画の中で出逢った商品やサービスをストックして、あとで気になったものだけ購入するというような一連の行動をシームレスにつなげる機能とUIにこだわったサービスとして改良に改良を重ね、現在に至ります。
パロニム株式会社 代表取締役 小林道生氏
—「TIG」を効果的に活用できる業種業態を教えてください。
小林:ひとことで「TIG」と言っても、動画からストックした商品をその場で決済完了まで行うことができる「TIG Commerce」、リアル店舗DXを実現するLIVEテック「TIG LIVE」、デジタルサイネージ内で気になる情報をさわってストックした情報を自分のスマートフォンで丸ごと持ち帰ることができる「TIG Signage」など、幅広いサービスをご用意しています。TIGは2018年のサービスリリースから現在まで、動画の視聴完了率やCTRが、通常動画の数十倍になった実績を積み重ねており、動画マーケティングを加速させるキードライブとして、業種を問わず、様々なマーケットで活用していただく機会が増えています。また、コロナ禍により、リアル店舗でのDX推進が急務となっている現在は、Eコマース連携でのTIG利用が増加しています。
—Eコマース以外の分野ではどのような領域があるのでしょうか。また、視聴者属性などに特徴はありますか。
小林:最近では「教育」や「観光」分野の引き合いも増えています。例えば観光動画の中には、その土地の「食」「文化」「イベント」「お土産」「施設」など様々な要素が含まれていますが、単に動画視聴するだけでは、各要素に直接アクセスできないため、、土地の魅力が伝えきれずに機会損失してしまうという課題がありました。TIGのストーリー分岐を活用すれば、パーソナライズ化された文脈の中で、気になったものをタップするだけで、周遊するための最短経路がマップ化できたり、その他、お土産の販売情報や祭事イベントスケジュール、問い合わせ先まで、自分が気になった情報へ直接アクセスすることが可能です。「行きたい」「買いたい」「楽しみたい」「もっと知りたい」といった様々な感情が沸き起こったその瞬間を逃さず、直接アクションすることができるようになりました。
<図1>観光動画のストーリー分岐例
視聴者属性でいうと、現在、若者やビジネスパーソンを中心に広がっていますが、直感的にストックしていくことができるので、検索に不慣れなジュニア層、シニア層にも受け入れられやすいUIとなっていますし、言語不要でアクションができるので、海外の方にもストレスなく使用していただくことができます。
奥行きある情報をアクションに結びつける「制作力」×「データ分析力」
—今回、パロニム様と博報堂プロダクツのパートナーシップ契約を機に、どのようなシナジー効果を期待されていますか。
武内:僕は映像制作グループを統括する中で、様々な種類の映像制作に携わってきましたが、TIGの仕組みは、どんな業種業態であっても効果を発揮できる機能が備わっていると思います。特に、情報の「奥行き」や「拡張性」があるテーマ・領域で、理解促進や行動喚起という目的を持つ動画への活用が期待されています。先ほどの「観光」という領域では、地方紙と組んだりすると面白いと思いますし、それ以外にも生態系を伝えるような生き物図鑑や動物園なども相性が良さそうです。TIGの機能と、僕たちが培ってきたコンテンツの強さや面白さを掛け算することで、非常に大きな効果を生み出すことができるのではないでしょうか。
博報堂プロダクツ 映像事業統括補佐 武内寛雄氏
小林:このたび、パートナーシップ契約に至ったのは、御社の「制作力」と「データ分析力」に魅力を感じたからです。映像の専門人材が多く在籍される御社の知見を取り入れ、より快適なUI/UXを追求していきたいです。また、今後、一番重要になるデータ利活用においては、TIGの機能と御社データアナリストの専門性を掛け合わせることで、高いレベルでのデータマネジメントを実現させ、カスタマージャーニー導線自体をイノベートし、新しい価値を生み出していきたいと思っています。
動画をサイエンスする、細部へのこだわり
鍬形:今期立ち上げた動画ビジネスデザイン室には、モーションデザイナーやビデオグラファーなど、あらゆる動画制作に必要なスキルを持つクリエーターが在籍し、オンライン動画をワンストップで企画・制作・量産・運用しています。PDCA運用からブランディング動画まで、幅広い領域の動画プロモーションを手がけてきた知見を活かし「TIG動画制作エキスパート」というチームを立ち上げました。TIG活用によるエンゲージメント効果を最大化するためのゴールから逆算し、奥行きのあるテーマ設計と映像表現への落とし込みを具現化する専門集団として、定例会などで知見共有しながら動画をサイエンスする取り組みを進めています。動画視聴におけるユーザー体験をより心地よいものにするためには、コンテンツの面白さに加え、動画マーカーのUI/UX設計も重要になりますので、マイクロインタラクションを得意とするモーションデザイナーのスキルを存分に活かした、クオリティの高い動画制作が実現できると思います。
博報堂プロダクツ 動画ビジネスデザイン室長 鍬形治氏
次回、DX時代の新しい動画体験<後編>では、エンゲージメント効果を最大化するための秘訣や、新しい買い物体験についてご紹介いたします。お楽しみに!
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