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企業課題解決から社会課題解決へ 地域DXソリューションの提供による地方創生への取り組み

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カスタマーリレーション事業本部は、昨年度よりHAKUHODO EC+として、日本全国の地方自治体・事業者のDX・EC支援を行うための「地域DXソリューション」の提供を開始しており、様々な形での支援業務に携わってきました。

今回、山形県の公益社団法⼈寒河江⻘年会議所様より依頼があり、「地域DX講演およびワークショップ」を開催。同事業本部の菅 真輝、濱畑 麻希子にその開催背景や実施内容について話を聞きました。

 

 

──まずは、今回の地域DX講演実施の背景を教えていただけますでしょうか。

 

菅:2023年1月頭に、HAKUHODO EC+として「地域DXソリューション」という、日本全国の地方自治体・事業者のDX・EC支援を行うためのソリューション提供を開始しました。このソリューションは、これまで地方自治体・事業者に対して行ってきた支援実績をもとに開発された6つのDX・EC支援ソリューションで構築されているものなのですが、このリリースをご覧になった地方自治体の皆さまからの「勉強会」依頼の問い合わせを多くいただいておりました。その中で、リリース直後くらいの記憶ですが、寒河江青年会議所様より博報堂プロダクツのコーポレートサイトを通じてお問い合わせを頂いたのが今回の地域DX講演を開催するにいたったきっかけになります。

 近年世界的な環境改善に向けた取り組みや、⽇本における経済構造の変化、極端な⼈⼝減少の進む地⽅部など多くの変化が起こっている中で、自分たちが住む地⽅部において地域をより豊かにしていくためには、定住⼈⼝の流出を防ぎ交流⼈⼝を獲得できる魅⼒ある地域づくりを⾏っていく必要があります。そしてこのような変化の多い時代において寒河江青年会議所様が「魅⼒ある地域をかたちづくる⼈財を育む」ため、より質の⾼い学びの機会を地域の⻘少年と⻘少年を育む地域住⺠に提供することが必要だと考え様々な事業計画を立案・実施していく中のひとつということでした。

菅 真輝/カスタマーリレーション事業本部 本部長

 

それを受け今回は「地方のDX化」を中心にお話させていただきました。我々の事業支援の根幹は、ダイレクトマーケティングの知見です。これは、人口減少や少子高齢化、そして地場産業の衰退など多くの課題を抱えている地方自治体に対しても、大きく活かせるものだと考えております。

 我々の事業本部は、ダイレクトマーケティングの特性上、制作プロダクション的な動きではなく事業パートナー的な動きが多いのが特徴です。また広告効果の最大化ではなく、顧客LTV(顧客生涯価値)の最大化をミッションとするため短期的なキャンペーンマネジメントではなく、中長期的なPDCAマネジメントを生業としています。これまで「企業課題解決」としてきたこれらの知見が、「社会課題解決」にも活かせるのではと考え、「地域DXソリューション」のもと地域DXや地方創生に取り組もうと思っております。

地域でどのようにDXを活かして地方創生に繋げるのか、魅力的な地域づくりをしていくのか、などを考える際にお手伝いができればと考えております。

 

 

──今回の講演内容を簡単に教えていただけますか。

 

濵畑:今回の講演は、「To the future ~地域DXを考える~」というテーマで行いました。講演自体は約一時間程度で、その後ワークショップを行うという流れです。

「地域DXソリューション」の説明は簡単には行いましたが、メインは地方が抱える様々な課題とともに、DXの重要性や地方創生のメリットを身近な事例ともにお話ししました。普段から地方創生やDXに触れられている方々ではなく、高校生から地域住民の方まで幅広く参加されると聞いておりましたので、図解や事例など交えながら基礎的な内容を中心に極力わかりやすい資料としてとりまとめ、講演いたしました。

濵畑 麻希子/カスタマーリレーション事業本部 プロデューサー

 

この講演をふまえて「DXの視点を取り入れて、寒河江や慈恩寺のより良い未来についてのアイデアをまとめる」というゴールを設けたワークショップを行いました。年齢/性別/職業などシャッフルし5つのグループに分けての実施でしたが、高校生の参加者も年齢が上の方とのコミュニケーションに臆することなく自身の意見を積極的に発言していったのが印象的でした。「DX」への理解に戸惑う参加者もいらっしゃいましたが、グループワークとしたことでチーム内でも理解が深まったようで、ワークショップではどのグループも模造紙いっぱいのアイデアポストイットが貼られていきました。発表内容も、散らばった観光情報を集約したサイトを作って発信していきたい、寒河江市内で開催されるスポーツ競技をまとめ、ポイントでランキングを競うアプリを作り健康増進を目指したいなど、デジタイゼーションやデジタライゼーションに留まらない、ちゃんとしたデジタルトランスフォーメーションの発表内容には驚きを隠せませんでした。

 

また、今回我々が行った講演・ワークショップ以外に慈恩寺の散策というプログラムも開催されています。慈恩寺は寒河江市にある仏教寺院なのですが、寒河江地域の文化の中心的な場所で、国指定史跡にもなっており、また多くの重要文化財も納められております。したがって今回「寒河江のこれから」を考えるにあたり、切っても切り離せないものだと考え、ここにフォーカスしたテーマを設けた上で、ワークショップを行いました。

 

 

──実際に現地で寒河江の方々とお話されていくなかで、再認識された課題などはありましたでしょうか?

 

濵畑:寒河江青年会議所メンバーの方々を中心に、講演参加者の皆さまや地域住民の方々と短い時間でしたがいろいろなお話を伺うことができました。「DXと言っても高齢者にはなかなかハードルが高い。他の地域はどのようにやられているのか?」や「インバウンド対応の事例や施策を知りたい」など、質問も多く建設的な会話ができたと思っています。

人口減少によって文化や都市が将来消滅してしまうのではないか、若者がどんどん離れていってしまっている、など住民の方の温度感や危機感を肌で感じることができましたし、まだまだ我々がお手伝いできる領域が多いなとも思いました。当日の会話の流れから翌朝には、ある企業様への訪問も急遽決まり、地域に根ざした企業様の地域内での活動の認知向上、地域貢献の課題なども伺うことができました。地元大学と高校で取り組んでいるメタバースの話なども新鮮でしたし、慈恩寺も初めて訪れたのですがものすごく感動しました。

こういった地域の皆さまとお話することで具体化された課題に対して、人流の創り方や地場産業の事業支援などに対して、我々の「地域DXソリューション」は大きく寄与できるものと考えています。

 

 

──今後の地域DXソリューションの取り組みについて教えてください

 

菅:地域DXソリューションは、HAKUHODO EC+が提供する全国の地方自治体様や事業者様向けのDX・ECを支援するものです。既に多くの地方自治体からのお問い合わせも多く、様々な取り組みを並走させて頂いておりますが、産直ECモール構築や、ふるさと納税サポートなど、ニーズが高い項目については日々機能強化を行っております。単発の花火ではなく、中長期的にご支援できる体制も整った為、今後はより多くの自治体様への周知活動を進めていきたいと考えています。

 今回は、講演&ワークショップというプログラムで実施しましたが、まずは勉強会から始められる自治体も少なくありません。その中で本質的な課題を抽出して、予算感やスケジュールイメージ、そして優先順位をご相談しながら進めていく形ですね。

 

 

──今回の講演・ワークショップの主催者であります寒河江青年会議所青少年向上委員会の瀧川雄太委員長からのコメントをご紹介いたします。

 

瀧川 雄太様/寒河江青年会議所 青少年委員会 委員長

 

瀧川様:当団体の事業にご協力いただき誠にありがとうございました。

今回ご依頼させていただいた経緯を少しお話させて頂くと、依頼をさせていただいた当時私たちの住む地方においてもDXによる地方創生に取り組む自治体や組織が増えてきていました。ですが、私も含めて地域の大半はDXの本質的なものを分かっていない状況でした。そのような時に博報堂プロダクツ様がDXで地方創生に取り組まれている記事を拝見させていただいて、地方においても仕事や生活の中に大きく関わり、仕事としても需要が増えるDXを地域の方々に知ってもらい地域の発展に役立てて欲しいという思いから、DXの最先端で活躍されている博報堂プロダクツ様に依頼させていただきました。

 この度の事業では、皆様のご協力を得て、地域に足りないDXについて知る機会となったことや、グループワークでのディスカッションを経て参加者がともに学びを得ることができ、今後寒河江の発展につながる事業にすることが出来たと感じております。副市長もご参加いただき、市を運営するうえでDXやインバウンドの考えが足りないと感じていたというお話もありました。今回の事業を機に寒河江西村山地域の発展につながる活動を継続していきたいと考えております。この度は我々の活動にご協力いただき誠にありがとうございました。またお会いできることを楽しみにしております。

 

※本講演・ワークショップの紹介ムービー

 

 

※関連記事:地方自治体・事業社のDX・ECをフルファネルサポートー「地域DXソリューション」が提供する価値とはー

 

 

 

【プロフィール】

菅 真輝

カスタマーリレーション事業本部 本部長

2005年に博報堂プロダクツへ中途入社以降、長年制作営業に従事。飲料食品メーカー等を担当後、2020年よりEC領域を中心としたOMOセクションを兼務し、その後ダイレクトマーケティングを担う現事業本部へ遷る。EC事業対応をはじめダイレクトビジネスの拡張を推進し、コマース事業全般のプロジェクトマネジメント推進を行う。2023年より現職。

 

濵畑 麻希子

カスタマーリレーション事業本部DM一部 プロデューサー

2014年に博報堂プロダクツへ中途入社以降、各種メーカーの通販事業やデジタル領域を支援、大手食品メーカーや外資系家電メーカーにて、CRM領域を中心に戦略立案から施策設計、実施、顧客データ分析まで、長期にわたりプロデュースを行う。また得意先事業支援の中でも戦略策定時の課題抽出や社内勉強会の推進など、ワークショップ推進の経験も豊富。