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博報堂プロダクツの各コア事業が追求している専門技術を駆使した新しい取り組み、
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博報堂プロダクツとSpiral.AI、コンタクトセンター事業領域における生成AI技術導入・活用を目指した共同プロジェクトをスタート

2023年8月22日

株式会社 博報堂プロダクツ

 

総合制作事業会社の株式会社博報堂プロダクツ(本社:東京都江東区、代表取締役社長:岸直彦)は、Spiral.AI株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:佐々木雄一)と共同で、生成AIを活用した次世代型コンタクトセンターの事業領域の開発に向けた共同プロジェクトを開始いたしました。

 

 

世界中で巨大言語モデル(以下LLM)を中心とした生成AIの活用検証が進んでいる中、当社の事業領域のひとつでもあるコンタクトセンター領域においても、生成AI技術の早期の導入・活用が求められています。本プロジェクトでは、現状の生成AIが抱える「正答性」、「情報セキュリティ」、「ユーザー体験価値」の3つの課題を解決すべき重点対策領域と捉え、技術開発と継続的な精度改善に取り組むことで、コンタクトセンター事業領域における生成AIの社会実装を目指していきます。

 

本プロジェクトは、業務システムとカスタマーインターフェースにおいてそれぞれ開発フェーズを設け、ソリューション開発を進めてまいります。

業務システム開発フェーズでは、主に現状のコンタクトセンター内の業務生産性改善を主軸に、オペレーター向けの研修・応答方法の提案など、直接的に生活者に関わらない部分でのAIの導入を推進し、これらの運営を通じてAIの強化学習および精度検証に取り組みます。カスタマーインターフェース開発フェーズでは、生活者がいつでも直接AIと応答し、必要なコミュニケーションを行える環境の構築を目指します。

 

博報堂プロダクツでは、本プロジェクトを通じて既存のコンタクトセンター業務におけるクライアント・生活者、それぞれが抱えている課題解決に取り組むことで、AI時代の新しいコンタクトセンター像の実現を目指します。また、生活者一人ひとりに寄り添う顧客体験の向上を通じて、クライアントの事業成長にも貢献してまいります。

 

【本プロジェクトにおいて取り組む生成AIの3つの課題】

①正答性

LLMが抱える最も大きな課題とされる「事実に基づかない回答を行うことがある=Hallucination」は、正しい情報を直接的に生活者に届ける必要があるコンタクトセンター業務において致命的欠陥とも言えます。本プロジェクトではファインチューニング※1・インデックス構築※2・人的応答へのシームレスな連携など、多面的なアプローチで正答性向上に取り組みます。

②情報セキュリティ

生活者の個人情報を取り扱うコンタクトセンターの業務において、情報漏洩を防ぐ情報セキュリティの担保は必須です。一方、現状の生成AIはまだ情報セキュリティ面が検証されきれておらず、一部でジェイルブレイク手法※3を用いた個人情報データの抜き出し結果などが報告されているなど顕在化している課題もあります。本プロジェクトでは提供が始まっている個別クラウド環境のセキュリティ検証に加え、オンプレミス※4へのモデル導入なども視野に技術検証を推進します。

③ユーザー体験価値

コンタクトセンターにおける応答は、情報精度のみならず、いかに生活者に寄り添い、安心と納得を醸成できるかといった、属人的かつ機械化が難しいスキルが必要とされていました。本プロジェクトでは一義的に正しい情報を返すだけのロボットではなく、生活者に寄り添うAIを目指し、独自の応答手法開発を進めます。

※1:AI学習の手法の一つで、既に大量のデータで学習したモデル(事前学習モデル)を、新しい特定のタスクに適応するために追加学習させる方法。
※2:データを検索可能な形に整形して保存するための手法。
※3:本来製造者が意図しない手順で、システムの制限を回避する手法。
※4:AIシステムをオフィスやデータセンター内に設置・運用する方法。クラウドベースのモデルと対比し、データのセキュリティ・プライバシーの面で優れています。

 

【本プロジェクトにおいて取り組む技術開発】
・情報検索技術の精度向上

チャット型の文章検索エンジンとしての基本機能に加え、検索精度を高めるために、独自アルゴリズムの開発や、独自領域へのモデル特化を進めます。一般的に用いられるベクトル検索を上回る精度を出すための各種工夫を盛り込み、顧客からの幅広い質問に対して的確な回答を迅速に絞り込むための基盤として活用します。この技術は、オペレーターが情報を探す負担を軽減すると共に、多くの企業で共通する課題である情報検索を効率化する基盤技術となります。

・音声入出力インターフェースのシームレス実装
音声入出力インターフェースをコア技術として活用します。ChatGPTの場合、ユーザーが頭を悩ませながらプロンプト作成を行う必要があり、利活用を妨げる理由の一つになっていました。本取り組みでは、顧客とオペレーターの通常会話の中から問い合わせ内容を抽出するアルゴリズムを活用し、更に高度化していきます。この技術は、言語モデルを使った高度な処理能力を持つソリューションが、日常生活の様々な場面で人々を自然な形で支援し、コンシェルジュのように寄り添う世界を実現するための基礎技術へと繋がっていきます。

 

■Spiral.AIについて

Spiral.AIは巨大言語モデルの社会実装を専門とするAI企業であり、かつて社会インフラ向けの高品質AIの開発実績を持つメンバーから構成されています。

自然言語に対応した定量的な精度評価システムを中心とした精度改善サイクルの構築や、各種データ処理の独自アルゴリズム、高品質な学習データ作成ノウハウなどを組み合わせることで、持続的な精度改善とそれによる社会実装を強力に推進可能な体制を提供しています。

 

社名    Spiral.AI株式会社 / Spiral.AI Inc.

URL     https://go-spiral.ai/

所在地   〒101-0041 東京都千代田区神田須田町2丁目1−1

代表者   代表取締役 CEO 佐々木雄一

設立    2023年3月1日

 

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本件に関するお問合せ

株式会社博報堂プロダクツ 広報部 旗本・兵頭

MAIL:hp.koho@hakuhodo.co.jp