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博報堂プロダクツの各コア事業が追求している専門技術を駆使した新しい取り組み、
最新ソリューションおよびプロフェッショナル人材などを紹介します。

NFTがもたらす新しい経済圏でエンゲージメントを向上させる、サステナブルキャラクター『Recyclulun™』開発ストーリー

デジタルとリアルをつなぎ、新しい顧客体験を提供するNFTキャラクター

 

ブロックチェーン技術を活用したWeb3.0時代の到来によって、NFTへの注目が高まっています。しかし、NFTの可能性を意識しながらも具体的な施策を講じることのできない企業が少なくありません。そんなクライアントの課題解決に向けて発足したのが、NFTコンテンツの開発からプロモーション活用までをフルファネルで支援する新サービス「NFT Promotion LabTM」。その第1弾プロジェクトとして発表されたのが、独自開発されたジェネレーティブNFT『Recyclulun(リサイクルルン)TM』。プロダクトデザイナーと3DCGクリエイターとのコラボレーションによって誕生した、世界に一つだけのNFTキャラクターの開発と将来への展望について、プレミアム事業本部の内田成威、橋本千里、小比賀央、REDHILL事業本部の佐藤保寛にインタビューしました。

 

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これまで培ってきたコンテンツ企画開発力と映像編集・3DCG制作力を融合

 

―まず初めに「NFT Promotion LabTM」についてご説明いただけますか?

 

小比賀:クライアントには、話題となっているNFTに興味があるけれど、どう進めて行けばいいのかわからない。取り組んでみたけれど期待する効果が得られなかった、などの課題が多くあることがわかりました。そのような課題に対して、博報堂プロダクツがコンテンツ開発から顧客ロイヤリティの向上までフルファネルで支援する新サービスが「NFT Promotion LabTM」です。また、フルファネルを謳っているように、NFTの活用の幅に関しては、クライアントの要望次第でいかようにも対応できるものとなっています。

 

 

まだ世の中に事例が少ないため、なかなか活用イメージが湧かないというクライアントに対してご紹介できる、弊社ならではの強みを活かしたプロジェクトとして開発したのが、今回のジェネレーティブNFT『RecyclulunTM』(以下、『リサイクルルン』)です。

 

 

 

SDGs、環境問題の観点から生まれたサステナブルキャラクター

 

―『リサイクルルン』とは?開発されるまでの流れを教えてください。

 

内田:『リサイクルルン』は、NFTのプロモーション活用を具現化するためのオリジナルキャラクターとして開発がスタートしましたが、まず、キャラクターが持つ世界観を表現するためのメッセージ性やテーマについて、みんなで話し合うところからのスタートでした。

 

橋本:もう使われなくなった家電を動物に置き換えてNFTとして残すとか、絶滅してしまった動物をデジタルとして残すとか、いろんな視点で10案以上考案し、最終的にはアートとしてのわかりやすさ、誰もが可愛いと思えるものに絞られていきました。

 

 

プレミアム事業本部 プロダクトデザイナー 橋本千里

 

内田:その中で、会社が取り組んでいるSDGsや環境問題などの方向性から、リサイクルをテーマに動物をキャラクター化することが決まり、そこから私と橋本とでデザイン要素を絞り込んでいった感じです。

 

橋本:NFTでは立方体のボクセルが使われるケースが増えているので、そういうテイストを取り入れたいということになりました。その中でオリジナリティを出しつつ、かつNFTなので「自分だけのもの」感を出すのは、すごく難しかったですね。最終的に、四角いボクセル状の体に柔らかい質感の顔を組み合わせるアイディアをベースにした『リサイクルルン』が、できあがるまでに半年ぐらいかかりました。

 

内田:オリジナリティを意識する中で特に工夫したのが顔の設計でした。顔のベースは基本的に一緒なのですが、鼻と目のパーツを6種類用意して、それを組み合わせることで、いろんな表情が出来上がる仕組みをデザインしました。さらに、ボクセルの組み合わせで一つひとつが違うデザインになる設計になっています。そこまでがデザイナーの仕事でした。

 

プレミアム事業本部 クリエイティブディレクター 内田成威

 

 

 

ジェネレーティブデザイン技術を活用した世界に1つだけのNFTキャラクター

 

―プロダクトデザイナーが二次元のデザインを作り上げ、それを3DCGクリエイターがモデリングしていったわけですが、今回の制作で大変だった部分とは?

 

佐藤:ボクセルの集合体ということ自体が普通の作り方ではないので、そこが大変と言うか、面白い部分でしたね。まず、ベースモデルに対してパーティクルという3DCG上の粒子を配置し、モデルをボクセル化して、ガラスや木材、金属、プラスチックなどのマテリアルを、それぞれの領域に対して割り当てます。各マテリアルの中でもいくつかの異なったテクスチャをランダムに割り当てることができるので、大分類、中分類というように数千、数万のパターンが作れます。さらに『リサイクルルン』には複数の表情があるので、入力情報を元にデザインを自動生成し、いろんな複雑なパターンを作ることができるジェネレーティブデザインを採用しました。

 

REDHILL事業本部 プロデューサー 佐藤保寛

 

―ジェネレーティブデザインによって得られる効果や、プロダクトデザイナーと3DCGクリエイターのコラボレーションによる相乗効果はどのような点で生まれたのでしょうか。

 

佐藤:今回、ジェネレーティブに生成されているのは色の組み合わせの部分なのですが、ある程度デザイナーが色の組み合わせを設定し、それをジェネレーティブという要素、CGデザイナーのスキルを使ってスピーディーに自動生成することで、こちら側が予想だにしないような結果が現れるんです。これがジェネレーティブデザインの大きな魅力であると考えています。

 

橋本:ジェネレーティブデザインで100パターンほど生成した中から、素材と表情の組み合わせでキャラクターが違うものになっていく、魅力的に見える48体をセレクトしました。デザイナーが意図して作っていると、こういうバリエーションにはならないと思うんです。コンピュータによる自動生成に加えて、佐藤さんにブラッシュアップしていただけたことで、自分たちの想像を超えたオリジナリティが生まれた気がします。

 

内田:仕上がったCGを見た時は驚きしかなかったですね。例えば、鼻の形などはイメージしかお伝えしてなくて、細かいところはお任せだったんですが、パーフェクトに仕上げていただけて。目のパーツにしても生き物らしくちょっと膨らんでいたり、顔の形にしてもマシュマロのような柔らかい質感に見えるじゃないですか。そのあたりはクリエイター同士の以心伝心ができたような気がする部分でもあり、3DCG技術によってキャラクターの魅力がアップしたと思っています。

 

 

 

 

『リサイクルルン』の存在をきっかけにさまざまな企業とNFTを活用したプロモーションを目指す

 

―『リサイクルルン』の販売収益の一部は環境保護団体などへの寄付が予定されているそうですね。

 

小比賀:はい。開発の背景にSDGsの観点がありますし、リサイクル素材の体を持つというキャラクターアイデンティティを、単にコンセプトで終わらせるのではなく、リアルの世界でも環境保護活動に還元していくことができるという体験設計まで、一貫性を作り出していきたいと考えました。NFTはデジタル空間に閉じたものと捉えられがちですが、リアル空間における価値と組み合わせた顧客体験に昇華させることが活用のポイントと言えるかもしれません。

 

プレミアム事業本部 プロデューサー 小比賀央

 

―すでに企業とのコラボ案件の動きはあるのでしょうか? 今後の展開について教えてください。

 

小比賀:今後の活用イメージとしては、単に動画や画像のデジタルデータにとどまることなく『リサイクルルン』自体が証明書になったり、イベントの参加券で使えたり、メタバースのイベント会場で案内をするような役割を担うなど、さまざまな用途に使っていただきたいと考えています。また、「NFT Promotion LabTM」では、さまざまな企業とのコラボレーションで新しいキャラクターを生み出したり、企業が持っているアセットを活用したNFT制作からプロモーション展開までを支援していますので、ぜひお気軽にご相談いただければと思います。

 

 

 

 

 

 

プロフィール

 

プレミアム事業本部 プロダクトデザイン部
部長 / クリエイティブディレクター 内田 成威

2007年 博報堂プロダクツ入社。ビールサーバーのデザインから、オリジナルアイテムの企画開発まで、さまざまな製品の企画・デザインに従事。柔軟な発想力を活かし、ユニークなアイデアを形にするのが得意。アイテムの一部は、ギャラリーサイト「プロダクトデザイン部のアトリエ」(https://productdesign-atelier.jp/)にて展示中。

 

プレミアム事業本部 プロダクトデザイン部
プロダクトデザイナー 橋本 千里

2011年 博報堂プロダクツ入社。玩具から化粧品のデザインまで、あらゆるプロダクトデザインの実製作に携わる。自身のネットワークを活かし、様々なクリエイターを巻き込んで仕事を進めていくことが得意。キャラクター開発ユニット「Charat」の中心メンバー。

 

プレミアム事業本部 プロデュース部
プロデューサー 小比賀 央

2015年 博報堂プロダクツ入社。前職では中国・北京の芸能マネジメント会社にて、エンタメコンテンツを活用したプロデューススキルを磨く。博報堂プロダクツ入社後は、飲料・通信・外車メーカーなど多岐にわたるプレミアム案件をプロデュース。現在ではデジタル推進チームのチームリーダーを務める。

 

REDHILL事業本部 VFX部
プロデューサー 佐藤 保寛

2018年 博報堂プロダクツ入社。大学卒業後、CGを学び、制作会社にて数々のCM、MV、映画、企業VPなどのCG制作に携わる。博報堂プロダクツ入社後はCG映像のみならずインタラクティブコンテンツやプロジェクションマッピング、XR領域のプロジェクトなどに従事している。