データからエグゼキューションへ【Vol.1】  10年以上に及ぶデータビジネス支援の経験をいかして

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左:菊地友幸(博報堂プロダクツ データビジネスデザイン事業本部長/執行役員 )/右: 瀧山孝平 (データブリッジ 代表取締役)


博報堂グループの一員である博報堂プロダクツは、10年以上前からクライアントのデータ活用を支援してきました。そのパートナーであるデータ分析事業会社、データブリッジが、2021年3月に博報堂プロダクツと資本業務提携を結び、博報堂グループのメンバーに加わりました。博報堂プロダクツでデータビジネス支援を担うデータビジネスデザイン事業本部とデータブリッジ。そのタッグはクライアントにどのような価値を提供できるのでしょうか。連載対談「データからエグゼキューションへ」の第1回は、同事業本部長の菊地友幸とデータブリッジ社長の瀧山孝平が、提携の経緯やパートナーシップがもつ強みについて語りました。

 

 「実行力」をデータによって強化していく 

──博報堂プロダクツとデータブリッジは10年以上前から協業してきたそうですね。博報堂プロダクツのデータビジネスデザイン事業本部は、その頃からあった部署なのですか。

菊地
データビジネスデザイン事業本部ができたのは3年前です。それ以前は別の部署でデータブリッジと連携していました。博報堂プロダクツの強みは「エグゼキューション」、つまり施策の実行フェーズを担う力があることです。その実行力をデータによって支え、より強化していくのがデータビジネスデザイン事業本部の役割です。


──博報堂プロダクツは、「プロダクツ」と社名についていることもあって、制作などのアウトプットを専門とする会社というイメージがあります。データビジネスを手掛けるようになったのは最近なのですか。

菊地
データ活用にはすでに10年以上の実績があって、社内にも50人を超えるデータマーケター、データエンジニアやデータサイエンティストがいます。エグゼキューションの力はデータ領域でもいかされていて、データの収集や分析だけでなく、データを具体的なアクションにつなげ、継続的に運用していくことを得意としています。


──データブリッジの事業についてもお聞かせください。

瀧山
データブリッジは、データ分析事業会社から5年前にスピンアウトしてできたベンチャー企業です。博報堂プロダクツとのパートナーシップは前の事業会社の頃からのものです。社員は30人ほどで、そのおよそ8割がデータエンジニア、残りがデータサイエンティストという構成になっています。


──データエンジニアとデータサイエンティストの違いについてご説明いただけますか。

瀧山
一般に、データサイエンティストには、「統計・データサイエンス」「エンジニアリング」「ビジネス/コンサルティング」の3つのスキルが求められると言われます。そのうちのエンジニアリングに特化しているのがデータエンジニアです。多種多様なデータを活用できる基盤をつくり、運用するいわば職人集団です。
データ活用にはPDCAサイクルを回す作業が欠かせません。データを分析して施策を実行し、それを検証しながらデータ活用のレベルを高度化させていくことをデータマネジメントと言います。データエンジニアはそのデータマネジメントのプロです。データブリッジのエンジニアは、これまで幅広い業種のクライアントのデータマネジメントを経験し、スキルを磨いてきました。その経験と能力が私たちの大きな強みです。

 

 人材活用を促進し、広範なニーズに対応する 

──資本提携の狙いをお聞かせください。

菊地
データブリッジは、私たちにとって長年一緒に仕事をしてきた大切なパートナーであり、データマネジメント、データ分析業務には欠かせない存在です。そのパートナーシップをさらに強化することがこの提携の大きな目的でした。


瀧山
私たちにとっては、博報堂グループの一員になることによるビジネスの安定化や、営業力の強化というメリットがありました。また、これまでにおつき合いのなかった広範なクライアントの案件に携わらせていただくことで、知見を広げることもできると考えました。
もう一つ、大きな理由として、グループ企業になることでリソースの配分を最適化できることが挙げられます。これまでは、主にプロジェクト単位の連携だったので、メンバーもプロジェクトごとにある程度固定されていて、業務の繁閑の差などに柔軟に対応することが難しい部分もありました。しかし、グループになれば人材の適材適所の活用を柔軟かつ迅速に実現し、クライアントのさまざまなニーズに対応することができます。クライアントメリットを最大化することを目標にした提携と言ってもいいと思います。

 

──現在の協業のモデルはどのようなものですか。

瀧山
7割から8割の案件を博報堂プロダクツ、あるいは博報堂DYグループの皆さんとご一緒させていただいています。一方、提携以前からの独自商流もあります。そこで得た最新の知見を博報堂プロダクツとのプロジェクトにいかしています。


菊地
案件ごとに協業の形はさまざまですが、多くのケースでは、プロジェクトマネジメンやクライアント対応を博報堂プロダクツが担い、技術領域をデータブリッジが担うという座組みになっています。


──資本業務提携の現時点での成果をお聞かせください。

菊地
人材育成やスキルの共有が急速に進んでいることが挙げられます。データ領域はご存知のように世界的な人材不足で、データビジネスに携わるプレーヤーにとって、人の採用と育成が喫緊の課題となっています。データブリッジには、統計やBI(ビジネスインテリジェンス)のプロがいます。そのスキルを博報堂プロダクツ側でも学ばせてもらい、データ活用のレベルを向上させる取り組みを進めています。データに関するクライアントのニーズは非常に多様化しています。人材を厚くすることによって、あらゆるニーズに対応していきたいと考えています。


瀧山
データブリッジはこれまで、医療や金融などいわゆる非マーケティング領域のデータマネジメントも手がけてきました。例えば、疫学、与信、投資運用などのデータです。そのデータ分析や運用のロジックの多くは、マーケティング領域への応用が可能です。非マーケティング領域のデータ活用スキルをこちらから提供し、一方で私たちはマーケティング領域のデータ活用を学ばせてもらう。そんな双方向的な「学び合い」の関係が生まれているのが、提携の一つの大きな成果だと思います。

 

 エンジニアリングとサイエンス、その2つの力を提供していく 


──このパートナーシップによって、クライアントにどのような価値を提供できるのでしょうか。

菊地
博報堂プロダクツの主なクライアント支援領域は、CRM、セールス、流通・小売、店頭展開、イベントなどに分けられます。そのそれぞれの領域におけるデータ活用をこれまで以上に高度化できると考えています。
また、データ活用のしっかりした基盤をつくる力も格段に向上しました。業種や業態、あるいはビジネス課題が変わっても、データ活用基盤は多くの部分が共通しています。その基盤づくりは非常にたいへんな作業なのですが、そこをより安定的に担わせていただけるようになりました。

 

瀧山
データエンジニアリングによってデータ活用と運用の基盤を強化する一方で、データサイエンスの力によってこれまでになかった課題解決策を提示していくことができる点も、このパートナーシップの強みです。

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データの専門家の役割の一つは、クライアントの課題に対して、的確かつわかりやすい解決策を示していくことです。例えば、グラフや数値などで解決の方向性を可視化し、「何をすべきか」がひと目でわかるようにする。そんな役割です。しかし、課題に対する変数が多くなると、わかりやすい解決策がすぐには出てこない場合があります。そこで役立つのがデータサイエンスです。エンジニアリングの力とサイエンスの力。その両方をクライアントに提供できるのが、この協業の大きな特徴だと考えています。

 

菊地
データ活用の基盤づくりから、分析、コンサルティング、エグゼキューションまでを一貫して支援できる座組みと言っていいと思います。


──データビジネスを手掛けるほかのプレーヤーやコンサルティングファームと比べた場合の強みはどこにあるのでしょうか。

菊地
クライアントの事業成果に直結するエグゼキューションを継続的に担わせていただける点ですね。例えば、コンサルの皆さんは事業戦略の立案を得意としていて、広告会社は広告を始めとするマーケティング・コミュニケーションを専門としています。私たちの専門領域は、その間の「事業レベルでの持続型エグゼキューション」であると定義しています。


瀧山
そのエグゼキューション領域におけるデータの専門家であるというのが、私たちの立ち位置です。エグゼキューションは一回で終わるものではなく、PDCAを回しながら継続していくものです。その継続的な運用力があるのも、この協業ならではだと思います。

 

 ファーストパーティデータの「接着剤」になる 

──今後の見通しをお聞かせください。

菊地
CRMやDX(デジタルトランスフォーメーション)支援のご依頼をたくさんいただいています。まずは、このチームを中心にしてそれらにしっかり対応していきたいと考えています。

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そのうえで、プラットフォーマー、流通・小売、クライアント企業、あるいは公共団体など、さまざまなプレーヤーの間に入って、データをうまく結びつけていく役割を担っていきたいですね。私たちの強みの一つが、企業やプラットフォーマーが保有するいわゆるファーストパーティデータを活用して成果に結びつけていくお手伝いができる点にあります。異なるプレーヤーがもつファーストパーティデータをうまくつなげることができれば、成果はさらに大きくなります。データエンジニアリングやデータサイエンスの力を駆使して、そのいわば「接着剤」になることがこれからの目標です。

 

──データの取り扱いは非常にセンシティブになっています。その点での取り組みも進んでいますか。

菊地
もちろんです。博報堂プロダクツは、個人情報保護の第三者認証制度であるプライバシーマークをとっていますし、物理的なデータルームを設けて、その使用権限を厳格に定めています。また、昨今のテレワークに対応するために、在宅のスタッフが徹底したセキュリティのもとでデータを取り扱える仕組みづくりも進めています。ファーストパーティデータの取り扱いは、その保有者であるクライアントなどとの綿密なご相談が欠かせません。その点でも万全のワークフローを構築しています。


──今後も、人材活用が大きなポイントになりそうですね。

瀧山
そう思います。データ領域の技術はたいへんなスピードで進化しています。それにキャッチアップしていくのは、比較的若いメンバーの役割であると考えています。一方、年長のメンバーの役割は、これまでの経験をもとにしながら、現在の仕組みを安定的に運用していくことです。そのような役割分担を基本としながら、今後もクライアントの要望に柔軟に対応していきたいと考えています。
人材不足はこれからも続きそうです。私たちは今年から東南アジアなどのグローバル人材の獲得にも注力しています。人材力を課題解決力のベースにする取り組みをこれからも続けていきます。

 

菊地
人材の獲得と育成によって、リソースの質と量を確保し、そのつど最適なチームを形成しながら、幅広い案件に対応していくこと。それがこれからの私たちの重要な取り組みとなります。資本業務提携からの半年強の間にその基盤が整いました。今後もお互いに成長しながら、クライアントのビジネスの成長に寄与していきたいですね。

 

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菊地 友幸
博報堂プロダクツ データビジネスデザイン事業本部 本部長/執行役員
2004年の博報堂グループ入社以来、データを活用するプロジェクトワークに専門従事。金融、自動車、通販、製薬、通信、消費財、流通業界など、幅広い業界で経験を積む。
クライアント様の1stPartyData活用により価値・成果創出を共にするパートナー組織として、各種データビジネス/データ活用サービスを提供、推進中。

 

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瀧山 孝平
データブリッジ
代表取締役
広告会社で約10年勤務後、情報通信サービス事業会社経営戦略室にて投資先企業の事業統合・サービス開発等を担当。
2002年にポイントメディア運営事業会社を設立。データ分析事業会社を経て、2017年3月にデータブリッジ株式会社を設立。

 

博報堂DYグループ 生活者データ・ドリブン・マーケティング通信より転載

 

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