DXが加速する中、動画市場が急速に拡大しています。中でもエンゲージメントが高く、コンバージョンにつながりやすい「インタラクティブ動画」が注目を集め、活用の場は、Eコマースのみならず、OMOやバーチャルイベント、バーチャルショップにも広がっています。DX時代の新しい動画体験<前編>では、驚異的なエンゲージメントを創出する話題のインタラクティブ動画「TIG」の魅力をご紹介しましたが、後編では、エンゲージメント効果を最大化するための秘訣や新しい買い物体験について、パロニム株式会社 代表取締役社長 小林道生氏、博報堂プロダクツ 動画ビジネスデザイン室長 鍬形治氏、映像事業統括 武内寛雄氏にお話を伺いました。
目次:
エンゲージメント効果を上げる「寄り道データ」
—「制作力」と「データ分析力」の掛け合わせによって、エンゲージメント効果が最大化するためのポイントがあれば教えてください。
鍬形:TIG動画の実装により、CTRや動画視聴完了率が飛躍的に改善されることは実績からも証明されているので、いますぐ運用型動画の効果を上げたいという課題に応えることができるのは言うまでもなくありません。それに加えて、ヒートマップ分析などより詳細な視聴データ分析が可能になるので、これまでのECサイトのレコメンド機能では明らかになっていなかった関連購買の傾向なども導き出せるようになるはずです。また、購買層ファネルに対する効果だけでなく、潜在層に対するブランディング動画、非認知層に向けた話題化動画など、動画領域におけるフルファネルで行動喚起型の新しい視聴スタイルが拡がっていくと期待しています。
<図2>ファネル対応図
武内:動画分析というと購買直結型の動画を思い浮かべがちですが、むしろブランディング要素の強い動画に対して、データ分析視点を組み込むことで得られるエンゲージメント効果のインパクトが大きいと思います。視聴者の行動をより深く詳細に理解し、パーソナライズ化していくことで、動画視聴による予想外の出逢いがもたらされて、そこからいい意味で寄り道ができる(興味を持ったものを気軽にストックできる)というのは、主流になりうる新しい動画体験と言えるのではないでしょうか。今後、一般的な動画遷移とは異なる「寄り道データ」と、行動経済学などのメソッドを組み合わせることで、TIGデータの価値をもっと高めることができると思います。
偶然の出逢いをものにする、新しい買い物体験とは
—買い物体験もこれまでとは違ったものになっていくのでしょうか。
小林:これまでネットショッピングは、検索が入り口になるため目的買いが9割と言われてきましたが、リアルの買い物でつい衝動買いをしてしまうような感覚を、ネットでも味わってもらいたいという想いを開発当初から持っていました。コロナ禍により、買い物行動が一変する中で、ネットショッピングの利便性を追求するだけでなく、便利を超えた楽しさや面白さが求められていると思います。
武内:これまでのカスタマージャーニーは一般的に、認知から徐々に購入意欲が高まり購買に至るというものでしたが、スマホ操作中に突発的に購買意欲が高まってそのまま購入完了してしまったり、検索行動と実際に購入したものが一致しないケースなど、従来の購買プロセスが必ずしも当てはまらなくなってきています。カスタマージャーニーも多様化する中で、「偶然の出逢い」を演出することができるTIGは、スマホからの消費行動が主流となるこれからの買い物行動に大きな影響を与える存在であることは間違いないと思います。
デジタルとリアルを融合させたCXプラットフォームへ
—今後の展望があればお聞かせください。
小林:TIGを世に送り出してから今月でちょうど3年が経ちます。試行錯誤の中で見えてきたことがたくさんありました。今後は、新規性だけでチャレンジするステージから、実用性やスケールが求められるステージに入るため、現在、トラフィックの多いSNS連携や雑誌タイアップなど、掲出面の連携にも力を入れております。さらにLINEの企業アカウント内でもTIG動画を配信できる新サービス「TIG for LINE」もリリースし、ユーザーは複数のTIG動画からストックした情報を一括で管理できる「マイTIGリスト」から様々なネクストアクションを選択できる利便性を備えていたり、企業側はそれらユーザーの行動をIDベースで解析し、有効な広告やプロモーションに活用できるなどのメリットがあげられます。また、今後は御社と一緒に大きな枠組でのタイアップや自治体連携などでも、さらにスケールさせていきたいと考えています。
小林:そして、偶然の出逢いをきっかけに商品サービスを購入するという新しいスタイルが広がりつつある中で、今後、出逢いの確率を上げて効果を最大化していくためには、やはりデータ分析が不可欠です。ビデオサイエンスから生成されたデータをCXに組み込んで、カスタマージャーニーをループさせながらエンゲージメントを深め続ける仕組みを確立したいと思っています。また、リアルストアのDX推進にも着手し始めており、今後はリアル領域とも連携強化した統合的なプラットフォームへと成長させていきたいと考えています。御社のリアル領域を扱う部門のみなさまとも積極的に協業させていただき、最後のアウトプットをいかに鮮明にしていくかというところにこだわりながら、様々なパートナー企業とともに、動画を基点とした楽しくて豊な暮らしづくりに貢献していきたいです。
—博報堂プロダクツの各領域を担う本部長より
◆イベント・スペースプロモーション事業本部 坂本昌 本部長
今後、展示会を中心としたイベントは、リアルとバーチャル併用のハイブリッド型が主流になると予想されます。その中で、TIGライブという機能を使うことで、リアルのイベントの模様をライブ配信でつなぎ画面の向こうの生活者に、リアルタイムで商品の魅力を伝えることなどが可能になります。さらにTIG動画を活用することで、ECサイトへの誘引、試乗会予約やサービス会員登録に繋げるなど、リード獲得だけでなくコンバージョンに繋げることができるため、イベントが果たすべき目的やKPI(KGI)に大きな変化が見られると思います。
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◆カスタマーリレーション事業本部 境千春 本部長
先日TIGる会のメンバーやパロニム社の小林社長に、当本部向けのウェビナーを開催していただきました。改めて、TIGの技術的な素晴らしさと活用の可能性を感じました。パロニム社の小林社長には「動画コマース」の事例を中心にTIGのユースケースをご紹介いただきました。今までは別のタッチポイントだった動画とECがTIGによってシームレスにつながり、UX/CXが各段に向上し、それがCTRやCVRの段違いの成果になっています。当本部でも今期よりECソリューション部を設立して本格的にECに取り組んでいますが、そのOPAの事例を見るとつくづくもう動画コマースの時代だと実感しました。これからも積極的にTIGの活用と動画コマースを推進していきたいと思います。
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◆データビジネスデザイン事業本部 菊地友幸 本部長
コロナ禍で企業のマーケティングDXが加速していますが、それに依らず5Gが到来するとトラフィックの70-80%は動画が占めると言われています。また、オンラインが常態化する中でイベントはバーチャルイベントに、セミナーはウェビナーに、店頭接客はライブコマースにと、デジタルコンテンツ化もどんどん進んでいます。それらのコンテンツは現在多くの企業が導入を進めているマーケティングクラウド上でのリードナーチャリングのPDCAに貢献すると思いますし、その意味でTIG動画はデータ活用を推進するための基盤のひとつになりうると感じています。
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Topics「DX時代の新しい動画体験<前編>ー驚異的なエンゲージメントを創出する話題のインタラクティブ動画「TIG」とはー」
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