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データで顧客を理解しアクションへつなげる分析思考力の基本【2】

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分析とアクションを立案する視点について、基本の「き」を整理する連載の2回目です。
企業内に蓄積しやすく「お客様の顔が見えやすい」、1st Party Dataに重きを置いた内容となります。

連載1回目 では様々なデータが企業に蓄積され、分析力を武器にする企業が増加の一途であること、それにより起こり得るコミュニケーションの変化の一端を整理のうえ、データドリブン観点でコミュニケーションをプランニングするポイント例を記しました。

  • データから生活者一人一人の価値観を捉える。 コミュニケーションはよりパーソナルに。
  • 「タイミングをつかむ」が、ますます重要な因子となってきた。
  • Push一辺倒ではない、Pullの観点も(≒UXUI)整備したい。

また、そのために課題解決の方向性(仮説)をしっかりと持ち、効率良い分析設計やKPIの定義も求められます。データ活用の目的は多様に存在しますが、理想的な顧客の状態(優良顧客)を定義し、顧客生涯価値(LTV)を高めていくことは特に重要と考えています。

 

アクション(施策)へとつなげる4つのポイント

データ分析だけでは意味が無く、目的が達成できるアクションへとつなげる必要があります。「優良顧客」を増やすことを目的とした場合の4つのポイントを以下に整理してみました。
※ここでは顧客IDと購買履歴が紐づく1st partyデータを活用した場合となります。  

 

1.顧客を構造化し、購買動向を理解する。

一般的には上位約2割の顧客が、売上全体の5~8割を支えると言われます。誰がより多くの購買をしているのか? 誰が1回のみの購買で留まっているのか?等々、購買の状況と顧客特性を構造的に理解することは重要です。

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図表1. 顧客を構造化し理解するために(例)

今、為すべきテーマは、優良を維持することなのか?
離反を防ぐことか?
1回のみの購買顧客を、より定着させることなのか?
購買の状態を分類すると、おのずと今、優先的に果たすべき課題も明快になります。
加えて、優良顧客とnot 優良顧客においては、「隔てる何か」があるのでしょうか? 把握を試みることは施策立案のために大きな意味を持ちます。「隔てる何か」は、属性(性年代・世帯特性・居住エリアなど)であるかもしれません、あるいは購買体験そのものに見出せるかもしれません。
とあるセレクトショップの場合「最初の購買時に買い物カゴに、とある商材が含まれるか否か」が、その後優良顧客になるか、ならないかに強く影響していると判明したこともありました。このように購買回数を増やしたい顧客層(≒まだそこまで至っていない層)に足りていない経験は何か、把握することは施策の立案に役立ちます。

 

2.顧客を価値観・タイミングで捉える

施策PDCAを運用していくためには、持続性も大切です。1回のみの実施で課題を解決できるものではありません。顧客の価値観や嗜好性を把握することは、施策設計の幅を広げることに役立つことから、持続的に情報を届けるべく多様な施策を策定することにつながります。

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図表2. 顧客を価値観や嗜好性で分類(例)

顧客の価値観や嗜好性の把握は、「購買商品の習慣」や「サイトの閲読内容」「開封したメール」「アンケート回答内容」などから得られるデータを活用します。

例えば・・・

購買態度の観点なら、「新しモノ好き派」「機能重視派」「クーポンLover」「デザイン重視派」などが考えられますし、商品体験や行動の観点なら、「朝活派」「スイーツLover(など特定カテゴリ好き)」「健康志向」「高カロリー反応」などのような分類を行うことができます。 このようなグループをもてると、「朝活派」には特定の時間帯の回数券を発行したり、「新しモノ好き」には、新商品情報を誰よりも早く伝えてあげるなど、企画やメッセージの検討、商品選定がしやすく、また持続的なシリーズ感のある企画検討のよきヒントを得ることができます。

 

3.商品選定ロジックを策定する

※本稿では、商品数やカテゴリのバリエーションがある程度存在するケースのビジネスを前提として記します。
課題テーマに対し、ターゲットの特性を理解できたとして、課題を解決するために有効な商品の選定視点を持つことも大切です。分析を通じて、例えば、商品それぞれが有する「買われ方」という性格を与えるイメージです。購買データから、例えば以下のような商品の特定ができれば、選定すべき商品群も自ずと絞られそうです。

  • 初回購買と相性が良い商品: はじめての購買時に含まれやすい。含まれていると、年間のLTVが高い。
  • リピートされやすい習慣性を有する商品:この商品さえ買ってくれれば、その後リピーターになってくれる。
  • 優良顧客にこそ良く買われる商品:優良顧客になるほど、高倍率高まる(≒好まれる)傾向にある。

4.施策を設計する

顧客を購買特性や状態がわかった。伝える情報をリッチにするための価値観・嗜好性も分類できた。課題テーマに応じてレコメンドすべき商品もわかった・・・次に何をすべきか?
持続的なPDCAに耐えられる施策の具体的な立案と体系、及びKPI設計が求められます。整理のポイントとして以下の2点をあげたいと思います。

  • push型施策:購買履歴に基づき、タイミングや状況に応じて先回りして、最適な情報を届ける
  • pull型施策:行動が沸き起こった時に、「選びやすい」「探しやすい」「買いやすい」環境・仕掛けで迎える

連載第1回でも触れていましたが、上記push・pullの観点と課題テーマを掛け合わせて、打ち手を豊富に用意します。もちろん実効性のあるPDCAを推進しながら、手法に不足は無いか、確認をしながら体系化していくことが求められます。
もうひとつ、施策の立案にあたって基本の「き」として頭に入れておきたいポイントは、ターゲットに対し「メッセージ」「タイミング」「オファー」「チャネル」がしっかりと考慮されているかどうかです。「優良維持」「新規定着」などテーマに応じて4点の検討が為されているか、確認をしていくべきです。

以上までのデータドリブンなアクション(施策)へとつなげるプロセスを整理したのが下記の図表3です。商材やデータ条件によっては、あてはまらないケースもあろうかと思いますが、基本の「き」として、良い打ち手をそろえるための参考にしてみてください。

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図表3. 顧客を価値観や嗜好性で分類(例)

点を線でつなげる。顧客との関係構築

裏側でデータが統合され、顧客の行動が一本の線として捉えられるようになりました。デジタル・アナログの垣根も越えてデータはつながりさえしています。そんな中、施策の駆動装置としてのマーケティングオートメーション(MA)は注目を集めています。本稿の結びに、顧客との関係を強化していくうえでこれからますます大切になる基本の「き」を整理しました。

 

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図表4. 点ではなく、一本の線で施策を整理(例)
  • 一人一人の顧客が今どんな購買状況にあるのか?
  • 最近アクティブなのか、否か?
  • ニーズは沸き起こっているのか?

これらの条件を定義し、MAに設定することで、機動的に施策が展開されることになります。繰り返しになりますが、ここでもやはりタイミングが重要な要素であることは間違いありません。前述のデータドリブンな観点からアクションへつなげるプロセスで生み出された施策群を一本の線でつなぎ体系化する。最初のうちだけでなく、持続的にPDCAを推進でき、中長期的に顧客との関係が最大化できるよう、常に心がけておきたいと考えます。

 

連載第2回は、ここまでになります。
最後までお読みいただきありがとうござました。

 

“生活者データ・ドリブン”マーケティング通信 | 博報堂DYグループ より転載

 

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