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博報堂プロダクツの各コア事業が追求している専門技術を駆使した新しい取り組み、
最新ソリューションおよびプロフェッショナル人材などを紹介します。

博報堂プロダクツ卓上カレンダーがカーボンニュートラル(※)仕様に! ―脱炭素社会実現に向けた環境配慮の取り組み―

昨今、環境配慮の視点から、紙の販促ツールがデジタルに置き換わるケースが増える一方で、紙だからこそできることも見直されています。当社が毎年製作している卓上カレンダーも、これからの社会にフィットするカタチにしていくために、2023年版よりFSC®森林認証紙に両面印刷することで紙使用量を削減し、製造過程で発生するすべてのCO₂をオフセットしたCO2ゼロ印刷を採用するなど、環境配慮仕様に生まれ変わりました。デザインや使いやすさはそのままに、原材料の調達から製造・物流までのプロセスを環境配慮型に変更したカレンダーの仕様やこだわりポイントについて、株式会社大川印刷の梶原緑様、プレミアム事業本部の杉浦大吾、総務部の大野直人の3人に語ってもらいました。

 

(※)印刷工場が所有する施設や車両の電力は、再生可能エネルギー100%(太陽光発電と風力発電)を使用し印刷しております。原材料調達、生産地から工場までの輸送・配送、印刷を除く製造、工場から豊洲、各拠点まで輸送・配送におけるCO₂排出量7,454kg/CO₂eをJ-クレジット(排出権)購入でカーボンオフセットしております。

 

プロダクツ卓上カレンダー2023年度版の仕様ポイント
・紙:FSC®森林認証紙を採用、両面印刷により紙の使用量を削減
・インク:石油系溶剤を含まない「ノンVOCインキ」を使用
・印刷:製造過程で発生するすべてのCO₂をオフセットした「CO₂ゼロ印刷」へ
・梱包:OPP袋(ポリプロピレン製)からFSC®森林認証紙封筒に変更
・綴じ加工:金属製のリングからFSC®森林認証紙のリングに変更

 

 

―卓上カレンダー製作において、環境配慮の取り組みを行った経緯を教えてください。

 

大野:今年、博報堂DYグループでサステナビリティ推進室が発足したことをきっかけに、我々もサステナビリティのことを考える機会がありました。そこで卓上カレンダー製作においてもサステナビリティの観点で何かできないかと、社内でサステナビリティのものづくりに精通しているプレミアム事業本部に相談したところ杉浦さんが担当してくれました。

 

博報堂プロダクツ 総務部 マネジメントディレクター  大野直人

 

杉浦:当初、素材、形状、使い方まで様々な角度から検証するだけでなく、そもそもカレンダー自体をデジタル化する話もありました。しかし、大野さんや事業本部内の人とディスカッションしていく中で今までの紙のカレンダーを気に入っている人が意外に多いことがわかってきました。そこで、デザインや使いやすさはそのままに、環境配慮仕様を実現するための調達や製造技術を駆使して、昨年とは全く違うものを作ろうという話になりました。

 

博報堂プロダクツ プレミアム事業本部 チーフプロデューサー 杉浦大吾

 

 

―今回の卓上カレンダーのどのような点が環境配慮につながっているのか、詳しく教えてください。

 

杉浦:わかりやすく変わったところと言えば、カレンダー自体が両面印刷となったところです。これにより、紙の使用量が半分になりました。使用する際は半年過ぎたら、逆から使用できる設計を当社プロダクトデザイナーが考案しました。

 

大野:原材料で大きく変わったのは、リング、印刷、梱包の3点です。リングは金属製のものから紙のリングに変更されています。これにより、材料全てを資源ゴミとして廃棄、リサイクルできる仕様になりました。

 

 

杉浦:梱包の部分では、従来のポリプロピレン製のOPP袋ではなく、今年から紙封筒に入れてお渡しするようにしました。封筒でカレンダーを直接送付することができますし、再利用も可能です。封筒の裏には仕様変更に関するメッセージも載っています。ちなみにこれらすべての紙が適切に管理された森の生産品であることの証明であるFSC®認証されたものを採用しています。

 

梶原:印刷の部分はノンVOCインキと呼ばれる大気汚染や化学物質過敏症の原因となる揮発性有機化合物を含まないものを使用しております。現場で働く従業員や製品のユーザー、地球環境に対しても負荷の少ない印刷です。

 

株式会社大川印刷 梶原緑様

 

 

―見た目が変わらなくても、原材料などが大きく違うのですね。その他、製造過程の面でも大きな変化があったと聞きました。

 

梶原:はい。製造過程に関して言うと、サプライチェーン排出量を意識した取り組みを行っています。サプライチェーン排出量とはScope1、Scope2、Scope3を合わせたものです。
Scope1とは事業者自らによる温室効果ガスの直接排出になります。わかりやすく言うと、大川印刷で行った燃料の燃焼、工業プロセスがそれにあたります。Scope2とは他社から供給された電気、熱、蒸気の使用に伴う間接排出になります。大川印刷では、Scope1とScope2のCO₂排出を自社の太陽光発電や再生可能エネルギーの風力発電による電気の使用によって、オフセットしています。つまり、計算上のCO₂排出量を0としています。

 

 

梶原:Scope3は原材料の調達や輸送、製品の仕様や廃棄に至るまでのCO₂排出に関して15カテゴリーに分かれていて、今回はカテゴリ1「購入した製品・サービス」、カテゴリ4「輸送、配送(上流)」、カテゴリ9「輸送、配送(下流)」まで含めた全ての製造工程でCO₂排出量を算定しました。全国のプロダクツの拠点にカレンダーを納品するまでにかかったCO₂排出量は7,454㎏/CO₂eでした。これは7,454人 の一日のCO₂排出量と同じ量になります。(人間が1日に吐き出すCO₂排出量を約1kgと換算。)

 

 

―製造過程にそんな工夫がされていたなんて、お話を聞くまで全く想像できませんでした。

 

杉浦:まだまだカレンダー製作において、改善できる余地はたくさんあります。例えば、Scope3の達成カテゴリを増やすことです。初めて大川印刷様のホームページを見たとき、今まで削減してきたCO₂排出量が出てきて、びっくりしました。こういうことをゆくゆくは会社をあげて行うのも面白いかなと思っています。プレミアム事業本部はSDGsに関連する協力先の開拓や脱炭素に課題をもつクライアントに対して、様々なプロダクト提供を進めていますので、お気軽にご相談ください。

 

大野:今回の卓上カレンダー製作においては、見た目や使いやすさはそのままに、原材料の調達や製造過程が全く違う、見えない部分のこだわりを実現することができました。製作数量についても、再度各所にヒアリングをして余剰が出ないような工夫もしています。来年、再来年とカレンダーの改良をしていきたいです。また今後、カレンダーに限らず、総合制作事業会社としてできることを考え続け、実行していきたいと思います。

 

 

 

プロフィール

 

株式会社大川印刷 営業部 企画営業リーダー
経営企画広報室室長 梶原 緑

2000年大川印刷入社。美大のスキルを活かし営業で活動中。「環境印刷で刷ろうぜ」のメッセージを掲げ、社会へのお役立ち・価値創造に邁進し、植樹祭などの運営にも携わる。2021年から経営企画広報室室長を兼任。

 

プレミアム事業本部 プロデュース部
チーフプロデューサー 杉浦 大吾
2002年博報堂プロダクツ入社。前職ではPMとしてCM制作における全体進行管理業務に従事。博報堂プロダクツ入社後は、様々なクライアント課題解決に向けた、プレミアムを中心とする企画立案、進行管理業務を担当。現在は、博報堂とのIoTデバイス開発プロジェクトに参画し、次世代ものづくりの推進担当として新たなビジネススキーム構築に取り組む。
 
総務室 総務部   
マネジメントディレクター  大野 直人
2005年博報堂アドダム(合併前の前身会社)入社後、2008年博報堂プロダクツ入社。入社後プロモーション事業本部、リテール事業本部でプロデューサーを経て、2019年本社総務部へ異動。現在はフードコート運営、社外交流活動、防災備蓄、BCP関連などに携わる。今後もサステナビティの視点から日々の業務を見直す。