ハイブリッド・イベントの可能性と未来

ーBLIZZAK 新商品発表会

株式会社ブリヂストン/ブリヂストンタイヤソリューションジャパン株式会社

OUTLINE

イベントのオンライン開催が加速する中、博報堂プロダクツでは2021年7月、3つのコア事業本部とプロモーションプロデュース事業本部の連携によって、ブリヂストンタイヤBLIZZAK新商品発表会をハイブリッド形式にて実施。オフラインとオンライン両方のイベント開催に携わるメンバーが、事業本部の壁を超えてチームを組んだことで得た新たな気付き、今後の可能性や展望をメンバーに語ってもらいました。

INTERVIEW

各事業本部のプロフェッショナルによるチーム編成が実現

ー今回の新商品発表会の実施・運営にあたり、皆さんそれぞれ、どのような仕事を担当されたのか教えていただけますか?

田島プロモーションプロデュース事業本部は、プロデューサー的立ち位置でプロジェクトの全体統括や、クライアントとスタッフの橋渡し役を担っていました。

島田私はイベント・スペースプロモーション事業本部でイベントとDXを促進するチームのリーダーをやっているのですが、今回は制作責任者という立場でイベントの制作と運営、演出、進行など全体を見ながら事業本部を横断したハブの役割を担当しました。

狩野私は3年ほど前に開催されたブリヂストンさんの新商品発表会にも携わっていたのですが、今回も声を掛けていただいて参加することになりました。そういう意味では、私だけが残留メンバーですね(笑)。業務としては、マスコミ各社に案内を送り、一部の方は会場で、また一部の方はオンラインで発表会をご覧いただいて、より多くのメディアで報道していただくためのプロモーションを担当しました。

助川今回の新商品発表会が、会場で行われるオフラインとオンラインによるハイブリッド開催となった中で、私は配信用に使用する映像を制作し、配信を担当する平岡さんにその映像をパスするまでを担当しました。

平岡デジタルプロモーション事業本部の私のチームは、配信を担当しました。配信の設計にはさまざまな手法があるのですが、やり方によって映像の画質が低下することもあるんです。クライアントもその点を心配されていたので、助川さんの映像チームと私たち配信チームとで連携をとりながら、音質も含めてどうきれいに見ていただくかに尽力しました。また、オンタイムのライブ配信だったので、オンライン視聴者の参加管理や質疑応答などのオペレーション対応も担当しました。

ー今回の新商品発表会は、当初からハイブリッド開催で予定されていたのでしょうか?

島田最初はリアルなオフラインのみで開催したいというお話だったんです。と言うのも、クライアントが新商品の高性能タイヤにすごく自信を持たれていて、ぜひリアルで見てほしいという思いが強かったんです。しかし、コロナ禍でのリアル開催を危ぶまれて、無観客で行うなどの話も出たのですが、最終的にハイブリッドでの開催が決まりました。

狩野クライアントとの打ち合わせの中で「ハイブリッドでやりたいんだけど、できるかな?」という声が上がって、博報堂プロダクツの事業本部連携で実施が決まった感じですよね。

コロナ禍におけるベストな開催を目指して

ー今回、オフラインの現場では新型コロナウイルスの感染予防対策が、大きな課題になったのではないかと思うのですが。

平岡そこは島田さんが一生懸命取り組んでくれました。もう、コロナ対策隊長みたいな感じで(笑)。

島田細かいことを挙げたらきりがないんですが、弊社には感染予防対策のマニュアルがありますので、それをベースにしながらクライアントの要望やプライオリティに応じて変えていきます。会場内の動線や人の立つ位置などに関して、クライアントがすごく慎重に考えられていたので、図面上だけではなく、実際に人を使って会場内でスペースを確認したりもしましたね。

助川当初、会場フロアの半分しか使えないという話だったんですが、本番ではフロア全体を使えるようにしてくれました。私たちからすると「カメラ位置は、ここがベストなんです」と思っていても、会場のスペースやお客さんの位置を考えると必ずしも希望通りにはいかないんですが、今回は社内の事業本部連携だったこともあり、そのあたりの意見交換がスムーズにできたのが良かったですね。

平岡イベントチームは大きな会場でのリアルイベントを数々仕切ってきた経験がありますが、新型コロナウィルスが流行し始めてからは、通常の動線作りではなく、コロナ対策的にどうなのかという視点からも細かくチェックされていました。小規模なイベントならばデジタルプロモーション事業本部だけでも対応できますけれど、今回のような大きな規模になると場の仕切りをしっかりできる人がいなければ難しいんです。そこもイベント・スペースプロモーション事業本部が担ってくれたことが大きかったと感じています。

ー発表会終了後、クライアントからどのような評価を受けましたか?

田島コロナ禍ということもあって、なかなかリアルでの打ち合わせが行えず、本番を迎えるまでクライアントの方も不安を抱えながらの開催となったのですが、結果的にたくさんのメディアに取り上げてもらうこともでき、商品の良さが多くの生活者に届けられたので、すごく満足していただけました。上層部の方からもお褒めの言葉をいただくことができました。

平岡それもあって、配信だけですが仙台と札幌でのエリア限定のオンライン発表会の運営もお任せいただけることになりました。

事業本部連携で見えた博報堂プロダクツの強みとは

ー今回の事業本部連携によって、どんなところに博報堂プロダクツの強みを感じることができましたか?

田島ハイブリッド形式というオンラインとオフラインの2つの立ち位置だったこともあり、実施当日の直前までさまざまな課題が出てきました。その中で、オフラインの現場であればイベントチームであったり、配信関連であればデジタルチームと映像クリエイティブチーム、メディアパートであればデジタルプロモーションチームが、各課題に対して早急に向かい合い、解決して進めていただけました。時間がない中ではありましたが、全体の進行が乱れることもなく無事に本番をを終えることが出来た理由として、各チームにプロフェッショナルが存在しているので、全員で立ち止まって解決を目指すのではなく、与えられた課題を専門の人たちが各々の事業本部の中で最良の解決策を導き出したからだと思います。その早さと正確性が博報堂プロダクツの強みだと感じました。

狩野同じ会社に所属する仲間同士だからこそ「こいつのためだったらやってやるか」という気持ちにもなれますからね。私は前回のイベントに携わってはいましたが、配信のこともわからないですし、コロナ禍におけるイベントの運営に詳しいわけでもありません。そのあたりは若い方たちに教えていただけましたし、このプロジェクトの雰囲気がすごく良かったことが成功につながったのではないかと思っています。

助川スタッフが一堂に会してリアルでミーティングができれば、話が通じやすくてスムーズに進むのですが、今回オンラインでも意思疎通できたのは、長く同じ環境で過ごしてきた仲間同士だったからかもしれません。それと準備中、イベントチームの方たちは会場に来ている人たちのリアルな視点をすごく大事にしながら進行していると感じました。それは映像作りに関してもそうだと思うんです。でも私はパソコンなどのモニター越しに見ている人たちの視点を重視して映像を作っている。そこにこだわりを持っているんです。今回は、今まで別々にやっていた部署が一緒にイベントに取り組むことで、お互いを高めあえるような関係が作れたのではないかなと思っています。

島田強みということでは、みんな会社の看板を背負っているので、良い物を作るために妥協をしないんですよ。だからこそ良いプロジェクトチームになれたんだと思うんです。また、私の場合は映像や配信に関して、そこまで詳しいわけではないんですね。だから、わからないことは遠慮なく聞けますし、安心してお任せすることもできる。もし自分に足りない部分があれば、ちゃんと指摘してもらうこともできます。個人的には、何かと気付きを与えてもらえるのがありがたかったですし、博報堂プロダクツならではの強みだと感じています。

平岡それぞれの分野にプロフェッショナルがいるので仕事がスムーズに進む。そこが強みであり、今回のイベントの評価につながったのではないかと思います。

イベントの未来像と博報堂プロダクツの役割とは

ー新型コロナウィルスが終息してもオンラインイベントがなくなることはないでしょうし、ハイブリッド形式という新たなカタチも生まれています。みなさんはイベントの未来像を、どのようにイメージされていますか?

島田リアルなイベントが無くなることはないと思うんですよ。「やっぱり、リアルがいいよね」という声をよく耳にしますし、音楽ライブに出演するアーティストにしても「無観客だとレスポンスがないからモチベーションを保つのが難しい」とも聞きます。だけど、新型コロナウィルスが終息したなら前の状態に戻るのかと言えば、そうではないと思うんです。リアルにイベントを行うにしても、そこには絶対にデジタル要素が掛け算されているので。間違いなくプラスアルファの要素が出てくると思いますが、それがどんなカタチになるかはまだボヤッとしか見えてないんですけどね。

助川オンラインイベントに関して言うと、現状は1チャンネルの映像を参加者は見ているわけですよね。それは、私たちが見せたいものだけを流しているとも言えます。視点が固定された一方通行の情報発信ですよね。そうではなく、カメラを何台も使って色々なポジションからの映像を流し、参加者が好きな映像を選ぶとか、360度見渡せるようになるとか。ただ、それを実現するには予算と技術が必要。伝送スピードもアップしなければ難しい。でも技術は常に進化していくので、その流れに遅れずについていく。むしろ、博報堂プロダクツが先頭に立って引っ張っていけるようになるといいですね。

狩野カメラの精度はどんどん向上していますし、例えば何かを持ち上げた時の感触を伝送できるような技術も完成するでしょうから、オンラインでしか体験できないようなコンテンツも生まれてくると思うんですよ。だからと言って、オンライン一辺倒になるわけではなく、オンラインも楽しいけれど、リアルも楽しいよと。博報堂プロダクツなら、その両方に対応できます。ということになっていくのではないですかね。

田島そうですよね。オンライン、オフライン共に参加者が同じような温度感で楽しんでもらえるようなコンテンツが、どんどん生まれていくのではないかと思います。

平岡デジタルでも、リアルでもそれぞれのよさがありますよね。でも、コロナ禍でこれまでリアルがスタンダードだったものがオンラインイベントとして実施されるようになったり、ハイブリッド形式が生まれたりと、いろいろなスタイルが融合するようになりましたよね。そんな世の中の状況の少し先を行くことを目指すのが博報堂プロダクツだと思うんです。そこは妥協せずに、やり続けたいと思います。

プロジェクトメンバー

映像クリエイティブ事業本部
助川 和範

デジタルプロモーション事業本部
狩野 広

デジタルプロモーション事業本部
平岡 美生

イベント・スペースプロモーション事業本部
島田 一樹

プロモーションプロデュース事業本部
田島 大輔

※所属は取材時のものです。