#明日へのエール プロジェクト
オンラインエール授業 ー いまとこれからを一緒に話そう ー

大塚製薬ポカリスエット

OUTLINE

失意の底にある高校生たちに、プロのアスリートがエールを贈る。

2020年に開催予定だったインターハイが、新型コロナウイルスの感染拡大によって中止になりました。そこで失意の底にある高校生たちに向けて、プロのアスリートがエールを送るオンライン授業が大塚製薬さんのポカリスエット協賛のもと、開催されました。
全30競技ごと、それぞれにプロアスリートが登場し、高校生アスリートたちの気持ちに寄り添ったメッセージを届けた、オンライン授業企画の全貌をご紹介します。

INTERVIEW

-まずは今回の仕事の概要と、携わったきっかけを教えてください。

瀬木大塚製薬さんはポカリスエットを通じて、スポーツインターネットメディア「SPORTS BULL」のインターハイ応援サイト「インハイTV」に長年協賛してきました。こちらの案件はインハイTVというインターハイの全競技をライブ中継するというものです。
昨年、新型コロナウイルスの蔓延によってインターハイが中止になったことから、オンラインで何らか高校生を応援するコンテンツを配信できないか、と大塚製薬さんからご相談をいただきました。

-開催までの時間がなかったと伺っていますが、最初のお話から準備、プレゼンまでの期間はどれくらいだったのでしょう。

瀬木最初にご相談いただいたのは2019年の年末でした。
当初はインターハイ開催の予定で進めていましたが、新型コロナウイルスの影響で開催、中止、規模縮小、それぞれのケースをあらかじめ想定して、提案させていただいたのが2020年の3月末です。当時は選抜高校野球が中止になったので、インターハイ中止もあり得るなという感覚がありました。そしてインターハイが4月26日に正式に中止になったことを受けて、一気に「オンラインでやっていこう」という流れになりました。

-そのタイミングでは、まだ国内におけるオンラインイベントの実績がほぼない時期だったと思います。初めての取り組みに対する不安などがあったのではないでしょうか?

瀬木オンラインでコンテンツを配信すること自体はテレビ中継と同じなので、特別難しいことではありません。
また、既存のリモート会議のシステムを使えば物理的に実現することは可能なのですが、クライアントに対して私たちの「商品」として、提供できるレベルのクオリティーまでに引き上げられるかには不安がありました。

-クオリティーを追求していくとなると、それなりの体制を構築する必要があるという判断のもと、イベントチームも加わってきたわけですね。

瀬木はい。ライブ配信については当初からデジタルプロモーション事業本部のメンバーが参加してくれていましたが、オンラインといえどもイベントであることには変わりはないので、運営が大事だという話になり、リアルイベントの実績もあり、得意先からの評価も高いイベント・スペースプロモーション事業本部の前田さんに声を掛けました。

現場の温度感に合わせた対応力の必要性

-初めてのオンラインイベントということで、苦労したことや気を遣ったことを教えてください。

前田アスリートの自宅や参加する学生の自宅、学校など場所によって配信環境がバラバラな中、全国の複数拠点をつないで、ミーティング用の既存リモート会議システムをイベントで使う方法を、模索しながら進めていくのは大変でした。
こちらがいくら環境を整えても、生徒たちの視聴環境は当日、その瞬間までわからない…。
その点が常に全体を通しての懸念事項でした。
それでもいくつかのパターンかを想定し、その対応策を事前に準備しておくことで、リスクを最小化することに努めました。

-インターハイ中止で気落ちしている高校生への対応も、気を遣ったポイントだったのではないでしょうか?

前田同じ高校生でも10人いれば10人とも感じ方が違います。また、インターハイ中止というセンシティブな状況下におけるイベントということを踏まえて、彼らの共感をいかに育んでいくか、を常に考えながらのアプローチが不可欠でした。
そのうえで観ている人に感動や勇気を与えられるコンテンツにするためには、台本の演出などでも細部に渡ってケアしていく必要もありました。
さらに高校生の気持ちに真摯に寄り添って語りかけてくれるようなMCを選びました。私達もその方の経験値に助けられた部分が多かったと感じています。
事前に学生たちにアスリートに聞きたい質問を募ったのですが、集まったのは前日だったので台本に落とし込めませんでした。そのため、当日は台本にはない生の会話になった部分もあり、現場の温度感に合わせて常に調整をしていく必要がありました。

背中を押す側から共に歩んでいくスタンスに変化

-オンラインイベントとリアルイベントの最大の違い、または難しさはどういう点になりますでしょうか。

前田最大の違いはイベントの醍醐味であるリアルな反応が、その場で瞬時に感じられないところです。
それでも毎回、高校生たちと一緒に共感の気持ちを作り上げられたことにより、制作側である自分たちも励まされる場面が多々ありました。アンケートでも「頑張りたい」「参加してよかった」などのコメントをもらえましたし、視聴している人に感動を伝えるという使命も果たせたと思っています。そして、それは自分たちの力だけで果たせたものではない、ということをいま改めて感じています。

-高校生の想いに応えたいアスリートの真剣さや、それに頼りたい高校生と我が子を応援する親御さんの気持ち、そのすべてが集結したということでしょうか。

溝口アスリートたちが思い悩んで言葉に詰まるシーンは、もしかしたら台本を元に作り上げるリアルイベントよりもコンテンツとしてはリアリティがあったと思います。
なかでも私自身が一番驚いたのは、イベントを始めた当初と終盤では、高校生たちの状況や新型コロナに対する捉え方が変わり、それと共に私達の気持ちも変化したことです。

-どのように変わっていったのでしょう。

溝口元々は、目標を失ってしまっている高校生に「前に進んでいいのだよ」というステイトメントを持たせて、背中を押してあげようというのが、私達にできることだと考えていました。
でも、彼らがどんどん前を向き始めた中で、自然と私達が背中を押すのではなく、共に歩んでいくという柔軟な対応になっていったのです。
今回のように、世の中の雰囲気や参加者の気持ちの変化にも寄り添いつつ、自ら状況判断していくイベントはあまりないと思います。
イベントはいくら準備をしていても現場では何が起こるかわからないものではありますが、一番難しい「気持ちの内側を読む」ということを、常に求められたのは今回が初めてでした。

それぞれが培ってきたノウハウを最大限に生かした、今回のケース

-イベントへの申し込みはどのように対応されたのでしょう?

田島基本的に先生からの申し込みのみとしました。応募しやすいようにテンプレートを作って、生徒の顔がズームで生配信されることに、親御さんの同意を得るための案内文も添えました。
デジタルプロモーション事業本部の方で、オンライン上で手書きのサインが書ける、という仕組みを作ってくれたのでオペレーションがスムースに行えました。
先生が入力するデータ、生徒が記入するデータ、それらをリスト化し開催前日に、営業の皆さんに「サイトアップOK」の連絡をするというプロセスを都度行っていました。それを毎週行うのですが、293校、延べ1449人、一切ミスはなく完璧に遂行することができました。

-物理的なところでは、既存のリモート会議のシステムとライブ配信を使い分けたと聞いています。

田島通常のライブ配信では、視聴者向けに作った映像を流しますが、今回は参加する人の会話を既存の会議システムで撮影し、それを大塚製薬さんが所有しているプラットフォームを使って配信するというものでした。

-今回は営業チームがアスリートのキャスティングを担当した言うことですが、一番苦労されたことは何でしょうか?

瀬木大塚製薬さんも我々にとっても初めての取り組みだったため、アスリートに対する適切な報酬を判断する指標がなかったので見積の説明がとても難しかったのです。オンラインの方が移動等もないので、費用を抑えられるという印象があるので、実際に現場を見てもらって、説明しながら理解をいただくしかありませんでした。その点では大塚製薬のご担当の方々に早期にご理解をしていただきましたので、こちらとしても大変助かりました。

プロとして仕事に誇りを持ちこだわり続けた結果

-今回はオンラインを担当しているデジタルプロモーション事業本部と、オフラインに知見を持つイベント・スペースプロモーション事業本部、それぞれが持っているノウハウを融合し、積極活用したケースだと思います。

砂川スピードと同時に高いクオリティーを求められている中で、全社の知見連携で成功に導くことができました。
私は転職組ですが、前職の会社は対応人数が少なく、社内連携が少なかったため、このような大きな企画のお話をいただいたときはゴールのイメージがつかない部分が幾分ありました。今回は大塚製薬の方はじめ、社内の大勢の方々と強い団結力で臨むことでき、最後までやり切ることができて本当に嬉しい気持ちでいっぱいです。

瀬木実績がない初めての取り組みでしたが、いま世の中に出ている他のオンラインイベントのクオリティーに比べてみても、かなりのレベルのものが作れたと自負しています。

スピード対応が求められる中でも、クオリティーを絶対重視したこと、そして、今まで培ってきたプロダクツのアセットの中にあるものが、余すことなく存分に発揮できたことが大きいと思います。顧客満足の部分でも、得意先はもちろん、参加する高校生や観ている関係者に高い水準で満足してもらえたと思います。

プロダクツは「プロとプロが協業しながら、それぞれの専門性を出し切る」というスタイルが強みであり、今回はそれが全面的に発揮された仕事だと思います。それぞれがプロとして逃げずに、ブレずに、こだわり続け、お互いに認め合い、徹底的に話し合いながら作り上げていったところが成功のポイントだと思っています。

プロジェクトメンバー

プロモーション事業本部
瀬木 宏幸
砂川 真人

イベント・スペースプロモーション事業本部
前田裕希乃
溝口修平

カスタマーリレーション事業本部
田島亮太郎