博報堂プロダクツが目指す、サステナビリティの実装化サイクルって?

押本 押本

今回のクロストークでは、
サステナブルエンジン主要メンバーの皆さんに
「サステナビリティアクションの実装化サイクル」について
詳しく伺っていきたいと思います。
まずは、自己紹介をお願いします!

松永 松永

じゃあ僕から。
この会社のPRチームに入って、もう20年目になります。
4、5年前からSDGs関連とか、サステナブルに関連するような
仕事が増えてきて、今、何らか関わってるって意味では
9割以上がサステナブル系の仕事ですね。

村田 村田

私は2006年にプレミアム事業本部(現インセンティブプロモーション事業本部)に入りました。
プレミアムの中の部署は、いろいろ渡り歩いたな。
入社当初はアニメタイアップのフィギュアをつくる仕事などが多かったんですが、最近はエコバッグやタンブラー、エコ素材を採用したグッズの提案なんかが増えてきて。ここ3年ぐらいで一気にサステナブルに本格的に取り組み始めていますね。

日髙 日髙

私は2012年入社です。
新卒で入って、10年以上になります。
この領域に興味を持ったのは、エシカルファッションの告知物を作りたいから、ちょっと手伝ってくれないかと声をかけられたことがきっかけで。その時にいろんな本を読んで、どんどん興味が広がっていったんです。
今はサステナブルパッケージのリニューアルなどもやってます。
最近はデザインだけじゃなくて、素材のことにも興味が湧いてきています!

村田

あ、それじゃあプレミアムもライスレジンなんかやってますし、
これからプレミアムとの連動もしていきましょうよ。

日髙

ぜひ!

押本

みなさん、サステナビリティ業務に取
り組んでいて、
課題に感じていることは
ありますか?

松永

大企業のサステナブル推進室の人はよく勉強しているけど、そうじゃない部署にはまだまだ浸透しきれてないこともありますよね。

日髙

たとえばエコな再生紙のパッケージを出しているブランドが、
別のラインではプラスチックの新商品を出していたり。
商品の売り上げを伸ばさなきゃっていうのもあるから、
バランスが難しいんだろうなとは思いつつ…。

村田

環境にいいものをつくろうとすると、
値段が上がるのが課題ですからね…。
もちろんコストを抑える努力もしなきゃですが、
サステナブルな商品の魅力を生活者にどう伝えるのかが、
僕ら広告会社の、腕の見せ所なのかなと。

押本

たしかに。
企業がちゃんと真剣に取り組んでいても、
生活者に伝わらないのはもったいないですよね。
環境にいいものより、安いものを買っちゃうとか。

松永

そうなったときに、じゃあ生活者の意識の方を、
どうやって変えていくのか?ってところも、僕らの得意分野だし、やりがいなのかなあと思います。

プロダクツの
実装化サイクルについて

押本

サスティナビリティ​に取り組まなければならないことはわかっていても、まず何から始めれば良いかわからないというお悩みもよく聞きますが、この実装化サイクルはどこから始まるべきという決まりはなくて、どこがスタートでもいいんですよね。

松永

そうです。大事なのは、サイクルがきちんと回っていくこと。
たとえば「パーパス構築」という項目がありますが、
パーパスってつくりっぱなしじゃダメだと思うわけです。
それをどうやって社員の血肉にしてもらうかが大事。

村田

例えば僕のインセンティブプロモーション事業本部とMDビジネス事業本部はこの図で言うと「具体化アクション支援」がメインだと思うんですけど。この図のこのサイクルをまるっとセットで提案できちゃうっていうのが、僕らのチームの強みですよね。

日髙

たとえばパッケージなどの素材が関係するデザイン業務で、
素材から提案したいと思った時に、素材の領域なら
あの部署のあの人が詳しいらしい!というように、
部署をまたいで同じ目線でつくれるのが、すごくいいですよね。

松永

僕らを起点に、どんどんこのサイクルを回していって、
サステナビリティ業務を増やしていきたいです。
まさにそのためのエンジンに、僕らがなっていきたいですよね。

生活者を巻き込むための
ポイントって?

押本

サステナビリティは、認知理解から行動フェーズへと移ってきている中、企業はもちろん、生活者も変えていくことが重要になると思います。生活者を巻き込んでいくために、みなさんそれぞれの専門性を活かして工夫ができることって何でしょう?

松永

PRはファクトに基づいていることが一番大事ですね。
サステナブルな世界を語るときに、ともすれば「女の子が草原に立っていて…」みたいなキラキラした世界観をつくりがちだけど、そこに中身が伴ってないと、生活者に見抜かれちゃう。

押本

イメージじゃなくてファクトで語らなくちゃいけないんですね。

松永

そのファクトをどう魅力的に伝えていくか?と考えた時に、
初めてぼくらの出番になる。個人的な気概としては、一緒にファクトづくりから並走していくぞ!くらいの熱量でやってます。

村田

プレミアムグッズや販売商品の場合は、実際にその物に触れて遊ぶとか、長く手元に残って使ってもらったりとか、そういう体験をつくれるのが魅力なんですよね。

押本

小さい頃にもらったマグカップ、しばらく使ってたな、とか。
そういうことから企業に対して好感が湧いたりしますよね。
最近は、修理しながら長く使える「リペアラブルな製品」にも注目が集まっていますよね。

村田

そうですね。今、安易にプラスチックのプレミアムをつけたりすると、ご指摘の電話がかかってきたりして、その施策が逆効果になる可能性も出てきています。
だからバリューチェーン全体の視点で、細部まで配慮してプレミアムをつくっていくことが、すごく大事だと思います。

日髙

デザインの話で言うと、サステナビリティって堅苦しいイメージがまだまだあると思うんですけど、もっと、ワクワクする!
参加してみたい!というきっかけを作ることが大事だなと思います。そこでデザインの力が発揮できると思うんです。

押本

日高さんが作ってくださったプロダクツのサステナビリティサイトも、まさにそうなのかなって思います。

日髙

このサイトも、アクセシビリティという観点がありつつも、
イラストが魅力的
だったり見やすさにこだわったりすることで、
興味がない人も、ちょっと見てみようかなと思ってもらえると良いなと
思って作りました。
むやみに「エコなんです!いいことなんです!」と一方的に言うってだけじゃなくて、デザインとしてわかりやすくて魅力的なものにすることで、積極的にアクションしてもらえるんじゃないかな思っています。

プロダクツの
“掛け算” の可能性

押本

プロダクツにはいろんな事業本部がありますが、
それぞれの強みを掛け合わせれば、
より良い社会にするための原動力になれると思うんですよ。

松永

サステナブル云々の話の前から、プロダクツの専門性の高さってすごい強みですもんね。ただ、それが目に見える形で横串になることって、今までなかったんじゃないかな。
僕は「サステナブル」が、その串になってくれるんじゃないかと思ってます。みんなで、「サステナブル」という北極星に向かっていける感じっていうか。

村田

やったことない部署の人と何かやってみたら、面白いことが出来そうだなと。例えばそれこそデザインの力で付加価値がついて、素敵な体験やストーリーがのっかっていけば、プレミアム自体はちょっと高くても、生活者が積極的に手にとってくれるものができるかもしれませんね。

押本

まさに今って、商品のスペックだけじゃ売れなくて、ストーリーや背景が見えて初めて売れるっていう時代ですよね。再生プラを何%使いました!だけじゃない企業努力をきちんと見える化した上で、生活者が共感できる価値をどうつくってあげられるか?が肝で。

松永

そこにコピーとか、PRとかが乗っかっていけるんですよね。
プロダクツってそういう意味で多様性があるから、良い化学反応が起こせるんです。この30分ですでにもう、いろいろ気づかされてますもん。

日髙

デザイナーとしてデザインをいいものにしたい!っていう頭になってる時に、たとえばこんないい素材ありますよとか、イベントならこういう空間の使い方どうですかと、どんどんブラッシュアップしていくことで、思いがけない新しい可能性が広がりそうですね。

押本

いいですね、なんだかワクワクしてきました。みなさん、今日はありがとうございました!