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2025年大阪・関西万博の閉幕前日に実施された公式式典「BIEデー」。万博の成果を称え、次回開催地へ想いをつなぐ国際的にも重要なセレモニーである。本プロジェクトでは、当社を含むレイ博報堂プロダクツ共同企業体が式典実施業務を担う中で、海外パビリオンの優れた建築や展示を表彰する「公式参加者褒章トロフィー」のデザインおよび製作を担当した。
トロフィーのデザインモチーフは、大阪・関西万博の象徴である「大屋根リング」。万博テーマ「いのち輝く未来社会のデザイン」を3つのリングで立体的に表現している。それぞれのリングには、「いのちを救う」「いのちに力を与える」「いのちをつなぐ」というサブテーマを込め、縦・横どちらでも展示できる造形によって、“多様でありながら、ひとつ”という思いを体現した。
制作工程では、国際式典にふさわしい品格を実現するため、伝統木工技法の採用をはじめ、木材の質感を生かした加工、金銀銅塗装や藍染めによる仕上げ、誰にでも識別しやすいカラーユニバーサルデザインなど、細部に至るまで精度の高い設計と仕上げを追求した。象徴的なトロフィーを高い完成度で具現化したことは、BIEデーの成功に大きく寄与するとともに、そのプロダクトデザインのクオリティは国内外の関係者から高い評価を得た。
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理念を実装する、プロダクトデザイン
BIEデー褒賞トロフィーの製作では、木材が持つ柔らかな質感と式典にふさわしい存在感を両立させるため、素材選定から構造設計、仕上げ工程まで一つひとつの工程の精度を徹底した。さまざまな表情を生むリング構造
大屋根リングのコンセプト「多様でありながら、ひとつ」を踏まえ、縦・横どちらでも展示でき、角度によって表情が変わる構造とした。
本体には木材を用い、リング側面には受賞カテゴリーに応じて金・銀・銅のメタリック塗装を施している。Sustainability Award の青は自然由来の藍染で着色し、深みのある色合いを実現している。
日本の伝統木工技法「蟻継(ありつぎ)」を取り入れた設計
構造には、日本の伝統木工技法「蟻継(ありつぎ)」を採用し、釘を使わず木材同士を強固に組み上げる精度を確保した。蟻継は、木材を強く、かつ美しく接合する技法で、家具や建築などで古くから受け継がれてきたもの。
製作にあたっては、大阪・関西万博の象徴「大屋根リング」の施工に携わった企業のひとつである清水建設と連携し、厳選した木材に伝統技術と独自のデザインを融合させた構造を実現している。
伝統的な「蟻継」を清水建設の技術力で応用し、共創したトロフィー製作体制
カラーユニバーサルデザインへの配慮
トロフィーの色名表記や梱包ラベルにはカラーユニバーサルデザインを取り入れ、色覚特性の有無にかかわらず直感的に識別できる情報設計とした。トロフィー本体には色名を刻印で表記し、色が見えづらい場合でも正確に認識できるよう配慮。
梱包ラベルでは、部門ごとに上下ラインのデザインを変え、金・銀・銅・青のマークを組み合わせて配置することで、色だけに頼らずトロフィーや台座の種類を判別できる仕様とした。素材表現、構造技法、情報設計を積み重ね、国際式典にふさわしい品質へとまとめている。
記事公開日:2026年4月21日
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