TOPICSプロダクツトピックス NEWSニュースリリース

博報堂プロダクツの各コア事業が追求している専門技術を駆使した新しい取り組み、
時代の進化と掛け合わせながらも手触りを宿らせるプロの仕事をご紹介します。

「作品の良さ」だけでは顧客化できない。博報堂プロダクツがBOVAダブル受賞で証明した「実装力」の正体。

 

動画マーケティングのゴールは、賞を獲ることや、バズを生むことだけではありません 。本質は、動画を起点に生活者との接点を設計し、確実に行動を起こさせて「顧客化」することにあります。
日本最大級のオンライン動画コンテスト「第13回BOVA(Brain Online Video Award)」において、博報堂プロダクツは『UMAMI BOOST AJINOMOTO』(味の素)で協賛企業賞を、『おはようをもう一度』(オハヨー乳業)で審査員個人賞(なかじましんや賞)を受賞し、見事ダブル受賞を達成しました 。対外的に高く評価されたのは、単なるクリエイティブの完成度ではなく、生活者を動かすための「設計」と「実装」です。

本記事では、受賞2作品の制作メンバーへのインタビューを交え、制作の裏側や映像制作にかける熱い思いと共に、当社の「顧客化実装」の考え方をご紹介します。

■受賞作品紹介 

協賛企業賞:『UMAMI BOOST AJINOMOTO』

(クリックするとYouTube動画に遷移します)

「味の素」を知らない若者が使ってみたくなる動画
企画・演出:齋藤力輝、コピーライター:平田花鈴、撮影(Bcam):粕谷匠

 

審査員個人賞(なかじましんや賞):『おはようをもう一度』

(クリックするとYouTube動画に遷移します)

オハヨー乳業/オハヨー牛乳シリーズを使って、日常にミルクを取り入れたくなる動画
CD・企画・歌:宮澤光南(博報堂)、企画・演出:吉田真也、プロデューサー:堀口悠

 

【FINDINGS】この記事のポイント

  • F1:動画は「バズを起こすもの」から、生活者との「接点を設計し、顧客化を実装するもの」へ
  • F2:「感情を動かすフック(違和感・共感)」と「行動を生む導線」がセットで初めてワークする
  • F3:受賞はゴールではない。生活者の行動変容を生み、次のマーケティング施策へ繋げるための通過点

 

■ F1:「作品の良さ」ではなく、生活者を顧客化する「接点設計」が評価された

1. 味の素を知らない若者が、思わず検索し売り場へ向かう導線

協賛企業賞を受賞した『UMAMI BOOST AJINOMOTO』の制作チームは動画コンテンツクリエイティブ事業本部の入社2年目(制作時)の同期メンバーを中心に結成され、企画から演出、撮影、編集までをワンストップで手掛けました。
味の素側から提示されたお題は、「味の素を知らない若者に対して、その魅力を感じさせること」。現代の若者は、「どのタイミングで、何に使うべき調味料なのか」を全く知らない、いわば“真っ白層”であるという課題がありました。

 

企画・演出を担当した齋藤は、「単に『面白い動画』を作るのではなく、味の素を知らない若者が、動画を見た直後に思わず検索し、売り場に足を運びたくなるような接点設計を強く意識した」と語ります。味の素が本来持つ「優しい、温かい、安心感」というイメージに対し、あえてSNSの潮流を意識したクイックなカメラワーク、エネルギッシュなダンス動画、そして一度聴いたら頭から離れない中毒性のある「音ネタ(歌もの)」をぶつけることで、若者のタイムライン上の手を止めさせる強烈なフックを実装しました。

 

 

2. 「一瞬で引き込む演出(フック)」と「価値理解(行動の動機)」の両立

本作の大きな勝因は、「UMAMI BOOST」という強力なコア・ワードの開発と、それに紐づく逆算型のクリエイティブ設計にあります。
齋藤は「『UMAMI BOOST』という、旨味をプラスして料理を加速させる言葉を先に開発し、そこから逆算して、リズムよく韻を踏める歌詞を自分で書き下ろしていきました。言いたいことをただ押し付けるだけの広告は見てもらえません。だからこそ、生活者がついもう一度見たくなるような中毒性と楽しさを徹底しました」と話します。

 

 

映像内では、主人公の女の子が突如現れた調味料に戸惑いながらも、味の素をかけた瞬間に美味しさに気づき、旨味がブーストしていく様子が描かれます。登場する食材は「タコス」「たこ焼き」「肉まん」といった、若者が日常でリアルに食べているストリートフードです。コピーライターの平田は、「私たち自身が普段食べるものから考えました。若者として共感できるものを入れたかったんです」と話します。

 

さらに、料理に味の素を振りかける調理シーンでは、画面に一瞬だけ「赤い枠」のフレーミングが表示されます。これは料理動画のUI(ユーザーインターフェース)をオマージュしたもので、「簡単にかけて、一瞬で美味しくなる」という味の素の独自価値(USP)を、テンポを崩さずに直感的に強調する接点設計です。

 

 

味の素をデコレーションした小道具、若者文化を感じさせるダンス、SNS的なテンポ感。こうした演出はすべて、「自分たちごと」として受け止めてもらうための工夫でした。

 

本作品は、実際のSNSキャンペーンや店頭連動といった「次のマーケティング施策へそのまま具体的に展開していけるイメージ(接続性)」が極めて高い点も評価され、見事受賞へと至りました。

 

■ F2:「広告を楽しませる余白」が、ブランドへの深い定着と行動を生む

1. 牛乳離れという課題を“失恋”に置き換える「解釈の余白」

審査員個人賞を受賞した『おはようをもう一度』は、「牛乳離れ」という課題を起点に企画された作品です。少人数で構成や歌詞の方向性を立ち上げたのち、演出の吉田が加わり具体化。吉田は「部活みたいでしたね。みんなでああでもないこうでもないって言いながら試しながらつくっていく、そんな楽しい現場でした」と振り返ります。役割にとらわれずに意見を出し合う進め方が、企画の広がりやスピードにつながりました。

 

企画の軸となったのは、“失恋ソング”という構造です。「昔は一緒にいたよね、という感覚を思い出してもらえたらいいなと思ってつくっていきました」と吉田は話します。映像ではミュージックビデオの構造を取り入れ、シーンごとに展開を切り替えることで、視聴者が飽きずに見続けられる設計に。ドラマのような導入から歌へと展開し、さらに牛乳パックが歌い出す意外性を重ねることで、複数の引っかかりをつくっています。

 

 

また、本作を特徴づける「コマ撮り」表現について、吉田は「アナログな手法だからこそ出せる手触り感があって、牛乳パックに人格が宿る感じが出る」とその狙いを語ります。

 

音楽制作も大きな山場でした。プロデューサーの堀口は「限られた条件の中で、どう成立させるかを考え続けていました。納品直前までやり直して、ようやく届いた感覚でした」と振り返ります。

 

クリエイティブを担当した博報堂の宮澤氏は、「実写パート×コマ撮り×音楽制作という大変な工程を、わずか一ヶ月の制作期間で実現してくださった。プロダクツの皆様のクラフトへのこだわりと推進力を強く感じました」と話します。

 

 

2. 広告らしさをあえて取り込む設計

本作では、牛乳の成分や栄養価といった情報も多く盛り込まれていますが、それらは説明にとどまらず、あえて広告らしさも含めた形で表現されています。吉田はこう話します。

 

「広告って、説明しようとすればするほど見てもらえなくなるじゃないですか。だからまず“好きになってもらう”ことを大事にしました。そのうえで、伝えたいこともちゃんと入れていく、という考え方です。愛らしい牛乳たちが自分で魅力を話している形にすると、不思議と受け入れられるんですよね」

 

パッケージの見せ方にも明確な意図があります。
堀口は「映像の中で印象に残って、店頭で見たときに思い出してもらえたらいいなと思っていました」と話します。

 

ミュージックビデオ的な構造やコマ撮りの表現で視聴者を引き込み、内容の理解や記憶につなげる。そして映像の中で印象づけられた要素が、実際の店頭での想起と購買行動に分断されずに結びつくよう、一連の流れが設計されています。

 

■ F3:受賞はゴールではない。どんな行動を生み、次にどう繋げるか

1. 「若手の機動力」と「ベテランの演出力」を自在に組み合わせるチームアップ

受賞2作品の裏側から見えてくるのは、博報堂プロダクツ独自の、領域にとらわれない柔軟な制作体制とその強みです。
若手主導で挑んだ味の素チーム(動画コンテンツクリエイティブ事業本部)は、1人で企画・撮影・編集までをマルチにこなす機動力を最大限に活かしました。
撮影を担当した粕谷は、「ビデオグラファーである自分たちの頭の中では、企画の段階から最終的なカメラワークや完成形が見えています。現場でもディレクターとカメラマンが瞬時に判断を下せるため、本来なら丸1日かかるような複雑な撮影を、朝のわずか2時間という限られた制約の中で成立させることができました」と話します。すべての工程を俯瞰して理解している「個」が強固にチームアップしたからこそ、低予算・短期間という制約のなかでも、圧倒的なクオリティを叩き出すことができたのです。

 

左:平田 花鈴(コピーライター)、中央:齋藤 力輝(企画・演出・編集)右:粕谷 匠(撮影・編集)

 

一方、オハヨー乳業チーム(映像クリエイティブ事業本部)のように、ベテランの確かな演出ロジックと若手の瑞々しい感性を融合させた布陣では、ブランド価値を生活者の心に深く定着させる、タイムレスで重厚な演出力が発揮されます。加えて、実写、コマ撮り、音楽、CGなど最適な表現手法を掛け合わせながら、ブランド本来の価値を魅力的な物語へと再構築できる点も強みです。

 

左:吉田真也(ディレクター)、右:堀口悠(プロデューサー)

 

博報堂プロダクツには、これら「若手の圧倒的な機動力・SNSターゲット捕捉力」と「ベテランの確かな演出ロジック」の双方が備わっています。クライアント企業の課題やバジェットの規模に合わせて最適な布陣をシームレスに組み、もっとも成果の出る体制を構築できる点こそが、当社の大きな強みなのです。

 

2. 公開で終わらせない。「次のマーケティング施策」への接続

今回のダブル受賞は、映像表現だけでなく、生活者を動かすための「実装力」が評価された結果です。動画は公開して終わりではなく、生活者との継続的な接点を生み出すための入り口でもあります。
博報堂プロダクツは、クオリティの高い映像制作にとどまらず、その後のSNS施策や店頭展開なども含め、動画のコアアイデアを軸にしたプロモーションの設計・実装まで一気通貫で支援します。
例えば、『UMAMI BOOST AJINOMOTO』では、SNS上で拡散(リポスト)されること自体を「BOOST」と捉え、ユーザーがリポストするごとに「UMAMI」が加速していくようなリポストキャンペーンでの活用といった具体アイデアまでを見据えて「UMAMI BOOST」という言葉を開発しています。
また、『おはようをもう一度』においても、ミュージックビデオ的な構造や愛らしいコマ撮りで視聴者の記憶に深く残すことで、生活者が実際にスーパーやコンビニの店頭に立った際、「あの健気に歌っていた牛乳だ」とパッケージを見て想起し、実際の購買行動へと分断されずに結びつく一連の動線が緻密に計算されています。
映像を「つくること」と、その先にあるSNSでのバズや店頭での「行動をデザインすること」を切り離さず、企業のビジネス成果に直結するマーケティング施策として一体で捉える。これこそが、当社の強みです。

 

■ まとめ:これからの動画マーケティングに必要な「実装力」

動画マーケティングの世界において、一瞬の流行や単発の「バズ」を狙うだけでは、企業の持続的なビジネス成果(顧客化)には結びつきません。いま求められているのは、生活者のタイムライン上で確実に手を止めさせ(フック)、コンテンツとして楽しませながら自分ゴト化させ(余白)、実際の購買やファン化という次の具体的なアクション(変容)へと導く、精緻な「顧客化接点設計力」です。

 

若手ビデオグラファーたちのエッジの効いたデジタル感性とワンストップの機動力、そしてベテランクリエイターが持つ深い演出ロジックを掛け合わせ、戦略立案から撮影・制作、さらにはその後のSNS運用や店頭連動、マーケティング接続までをワンストップで実装します。博報堂プロダクツはこれからも、映像を起点に生活者との接点を設計し、行動につなげる取り組みを続けていきます。

 

 

「UMAMI BOOST AJINOMOTO」

<スタッフリスト>
企画制作/博報堂プロダクツ
企画+演出+編集+作詞/齋藤力輝
C/平田花鈴、Pr/田中瑞穂、PM/深瀬大明(助手)、撮影/山﨑晃成、粕谷匠(助手)、照明/八森コオミ、録音/水瀬時帆、音楽/liyooha、フードST/八木彩佳、寺岡陽奈、出演/凪野海悠、奈良姫菜乃、夏生凛、神田橋悠花、井上アキラ、高良紗那、根来将光、朝陽舜、粒二

 

「おはようをもう一度」
<スタッフリスト>
企画制作/博報堂+博報堂プロダクツ
CD+企画+歌/宮澤光南、スーパーバイザー/波多野順、企画+演出/吉田真也、Pr/井上智寛、堀口悠、PM/篠﨑なつみ、撮影/堤悠貴、桐山築(助手)、渡辺康平(助手)、コマ撮り/鎌倉和久、菅波純、細山正幸(助手)、コマ撮り+アニメーション/オカダシゲル、美術/石本真代、上坂睦菜、尹慶樹、柳田淳之介(助手)、編集/重信健人、藤田雅奈、カラリスト/宮政太、録音/谷山一也、音楽/大本雅志、MA/脇田結花、歌/後藤陽太、Maito、野元空、ST+HM/蓼沼仁美、CAS/沢田裕真、出演/真雪