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モノと体験の力で新たな行動を生み出す 2024年グッドデザイン賞受賞「お守り型ミニポーチ」

エスエス製薬株式会社様のお守りEVE「お守り型ミニポーチ」が、優れたデザインと機能性を兼ね備えた製品に贈られる2024年度グッドデザイン賞を受賞しました。このプロジェクトは、痛みを我慢しがちな生活者が痛み止めの意義を正しく理解し、必要に応じて常備する行動を後押しすることを目的とし、新しい生活を迎える人々を応援するために実施されました。

 

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今回の記事では、お守りEVEプロモーションで配布されたお守り型ミニポーチのデザイン・製作を手掛けたインセンティブプロモーション事業本部の齋藤慎一郎とMDビジネス事業本部の野本貴恵に制作時のエピソードを聞きました。

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【目次】
 ■ 応援する気持ちを託し、エールを届ける「お守り型ミニポーチ」
 ■ それぞれの柄にストーリーがある100種の「デザイン×カラーバリエーション」
 ■ カスタムオーダーで実現する特別な体験
 ■ モノが飽和している時代だからこそ、価値あるモノづくりを

 

 

応援する気持ちを託し、エールを届ける「お守り型ミニポーチ」

 

お守りEVEのキャンペーンビジュアル

 

齋藤:「EVE(イブ)」はエスエス製薬株式会社様の解熱鎮痛薬ブランドです。夢に向かって頑張る人が、痛みに邪魔されることなく最大限に力を発揮してほしいという思いから、新生活に向けて頑張る大切な人にお守り型のミニポーチを贈るキャンペーンを実施しました。

 

特設サイトでは、贈りたい相手を思い浮かべながらいくつかの質問に答えることで、おすすめのデザインが生成されます。その中から贈りたい相手に合わせたカラーを選び、入れたい言葉を入力すると、パーソナライズされた独自の「お守り型ミニポーチ」をメッセージとともに贈ることができます。

 

私たちは、ミニポーチのデザインと、キャンペーン期間中のカスタムオーダーにおける生産・配送フローの構築と管理を担当しました。

 

インセンティブプロモーション事業本部 プロダクトプロデューサー 齋藤慎一郎

 

それぞれの柄にストーリーがある100種の「デザイン×カラーバリエーション」

 

お守り型ポーチ10種のデザインバリエーション

デザインパターン10種類×カラーバリエーション10種類=計100種類をカスタムできる

 

野本:10種類のデザインとそれぞれ10色のカラーバリエーション、計100種類のお守り型ミニポーチのデザインを担当しました。

 

―デザインのこだわりポイントを教えてください。

 

野本:デザインには日本の伝統的な文様である和柄を採用しました。文様には見た目の美しさだけでなく柄ごとに意味があることを踏まえ、EVEに通じる意味を持つ紋様をセレクトし、それぞれのお守りとストーリーを考えました。そして、そのストーリーに沿った文様の組み合わせでオリジナルの柄をデザインしています。「見た目先行」ではなく「意味合い先行」とし、組み合わせた文様の持つ意味とEVEに通じる意味合いを条件に柄を描きました。

 

お守りのデザイン例「集中守」の写真

 

野本:例えば「集中守」は、もののけや邪気を払うために古くから玄関先に置かれていた「籠目」という文様と、的を射る・矢がまっすぐ進むことから縁起物として使われる「矢絣」という文様を組み合わせ「余計なことに惑わされず物事に全集中できますように」という想いを込めたオリジナル柄です。それぞれのデザインに意味があり「柄から語ることができる」表現を目指しました。

 

また、100種類全ての柄にブランドカラーであるブルーを配色しています。使用する色は商品パッケージから10色を抽出し、100種類のデザインそれぞれが同一化しないように検証を重ねました。テキスタイルデザインを専門としていた経験を生かし、隣り合う色の組み合わせによってくすんだ色が鮮やかに見えるなど、色の持つ力を最大限に引き出しました。

 

 

お守り型ポーチが多色並んだ様子

 

 

カスタムオーダーで実現する特別な体験

 

齋藤:ポーチの仕様や縫製時の品質管理に加え、キャンペーン期間中に応募いただいたお守りポーチの製作からお届けまで責任を持って行うカスタムオーダーのスキームを構築しました。

 

お守り型ポーチの企画をいただいた際、モチーフが持つ安心感と持ち運ぶという習慣がブランドの価値に合致しており、痛み止めを正しく理解し、常備する行動を促進することに大きな魅力を感じました。同じモノを配るのではなく、カスタムオーダーで自分好みや相手をイメージしたお守り型ポーチを贈ることで、贈る側も受け取る側も特別な体験を共有でき、ブランドを通じた体験価値が高まる点も魅力です。

 

お守り型ポーチを持ち運ぶ人

 

―お守りEVEに応募された方からどのような声をいただきましたか

 

齋藤:約64万人がサイトを訪問し、約34万人がプレゼントキャンペーンに参加してくださいました。SNS上では、お守りを受け取った方々が写真とともに多くの投稿をしてくださり、コメントや写真から自分や大切な人を応援したいという気持ちが伝わってきてとても嬉しかったです。受験を応援する親から子への贈り物や、推しのキャラクターをイメージしたカラーを選んで応募してくださった方もいました。デザインがかわいいという声も多く寄せられています。

 

ノベルティやプレゼントキャンペーンは従来からあるプロモーション手法ですが、そこにブランドの持つ価値と新たな体験を融合させることで、顧客体験を向上させるトリガーになると考えています。カスタムオーダーやデジタルギフトなど、モノと体験を結びつける新たな仕組みを導入することで、自分だけのオリジナルアイテムを届けることができ、従来のインセンティブを超えた体験を提供することもできます。

 

グッドデザイン賞では「このキャンペーンのおかげで、痛みから解放され、大切な場面で本体の力が発揮できる人も増えるという、商品本来の目的を多くの人に実感してもらえたのではないだろうか」と光栄なコメントも頂戴しました。お守り型ミニポーチが多くの人の手に渡ることで、医薬品において大切な、正しい知識や取り扱いの理解にも繋がっていったことも評価いただいており、この度の受賞を大変嬉しく思います。

 

モノが飽和している時代だからこそ、価値あるモノづくりを

 

野本: 私たちプロダクトデザイナーは、アイデアをカタチにすることに情熱を持っています。「これでいいか」という妥協はしたくない。モノが飽和している現代だからこそ、クライアントが「なぜこのモノづくりをするのか」を大切にしています。

 

また、特定のアイテムだけをつくっていればいいという線引きはなく、今日はパッケージのデザインを、明日は機械のデザインをすることもあります。初めてデザインするモノも多く、楽しむ姿勢をチームメンバーも大切にしています。

 

私たちはモノづくり領域のプロフェッショナルですが、つくって終わりのモノづくりだけではなくWeb施策やビジュアル撮影、イベント実装など博報堂プロダクツの各事業本部と連携し、様々なクリエイティブを横展開することでひとつのゴールに向かいながらプロモーション施策を展開しています。

 

MDビジネス事業本部 プロダクトデザイナー 野本貴恵

齋藤:プロダクトプロデューサーやプロダクトデザイナーは非常にやりがいのある職種です。プレミアムをはじめとするモノづくりには守るべき基準や制限がありますが、それを乗り越えた先には大きな喜びがあります。実際に手に取ることで伝わるメッセージや、使うことで生まれる行動や感情の変化も生まれます。

 

環境負荷や情報過多の時代において、無駄なモノづくりは淘汰される一方で、形あるものが持つ力は依然として強力です。この力を活用し、ときにデジタルの仕組みを取り入れることで、クライアントやその先の生活者にとって価値ある体験に繋がるモノづくりが可能となります。

この度のグッドデザイン賞受賞を励みに、今後も人々の心を動かし、記憶に残るモノづくりと体験を生み出し続けることで、インセンティブプロモーションの可能性を広げていきたいと考えています。

 

 

【プロフィール】
齋藤 慎一郎
インセンティブプロモーション事業本部 プロデュース部 プロデューサー
2016年入社。プロモーションプロデューサーとして、プレミアム領域におけるキャンペーン設計からプレゼント景品の企画から制作実施までをプロデュース。飲料・食品・自動車・嗜好品・通信など多岐に渡るクライアント業務に従事。

 

野本 貴恵
MDビジネス事業本部 プロダクトデザインチーム デザイナー 
大学卒業後、生活雑貨メーカーに入社し、店舗運営、生産管理、商品企画デザイナーを経験し、2022年、博報堂プロダクツに入社。ファーストフード、テーマパーク、製薬会社、小売店など、幅広い業種のアイテムのデザインを担当。