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〜五感を揺さぶるシズル表現を映像で〜 フォトクリエイティブ事業本部のシズル専門撮影チーム「drop」が初めてのオリジナル映像作品「1/2」発表!

2019年に設立したシズル専門の撮影チーム「drop」。 現在、dropに所属するカメラマンは9名となり、その活動はますます活発化しています。多彩な個性とチーム全員で練るアイデア、技術を集約し、個人の力を超えた提案力と実行力を持つ撮影チームへと進化したdropが「映像は、連続写真だ!」をコンセプトに、初めてのオリジナル映像作品「1/2」を発表。何気ない日常のなかにある“不可視な世界”をハイスピードカメラを活用して可視化しました。 本記事では、その映像作品の紹介とともに、dropならではの映像制作にかける想い、見どころを制作メンバーに伺いました。

 

 

◾️ シズル表現は広告本来の価値である「人を動かす力」


dropは、グラフィック撮影を中心に、シズル感あふれる「究極の一枚」を求め、さまざまな広告ビジュアルの制作活動をしています。
最近、問い合わせが急増している映像領域でも、グラフィックで培った「最高の一瞬を捉えるシズル」を発揮した映像にチャレンジしています。

全てがオリジナルの本映像は、フォトクリエイティブ事業本部 dropのカメラマン5名、REMBRANDTのカラリスト、演出は映像クリエイティブ事業本部、デザインは企画制作事業本部と事業本部連携によって制作しました。

 

 

◾️ 人間の欲求と共感を想起させ、五感に訴え、行動欲求を生む


本映像作品「1/2」では、夫婦の夕食として料理していた2本のサンマが、あるハプニングによって1本になってしまいます。それでも夫婦は仲良く1本を分け合い、その一方でサンマを盗んだネコも仲間と一緒に美味しそうに食べています。これは、誰かのために行動する、誰かを想う、大切な人と一緒の食事はやっぱり美味しい。そんな「分かち合う喜び」をメッセージとして表現しています。

映像にはシナリオが必要ですが、あまり説明的になりすぎないよう「感じさせる」ことを意識しました。映像を見ると、焼きたてのサンマが美味しそう、サンマを食べたくなるという素直な欲求、実家を思い出すような郷愁、思いやりや共感、なんとなく優しい気持ちになるような映像となっています。広告ビジュアルでは、このように五感に訴え、行動欲求を生むことが、いちばん大切だとdropでは考えています。

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◾️ 高い技術と磨き抜かれた感性、新しいテクノロジーで肉眼で見えないものを可視化


本作品では、ハイスピードカメラを使い肉眼では見えない世界を可視化しています。新たな生命体のような水の動き、砕けるガラスの花瓶。日常生活のなかでは決して見ることのできない、ほんの一瞬の出来事をPhantomFlex4Kによって可視化しました。

PhantomFlex4Kを手持ちでオペレートするのは非常に難しく、外光とのミックスライティングを違和感なく見せるには、dropカメラマンの高い技術と磨き抜かれた感性が不可欠です。

高い技術力だけでなく、メッセージを映像でしっかりと伝え、見た人が共感できるような訴求力のある映像が、dropがめざす「五感を揺さぶる」シズル表現なのです。
「感じる」表現にするには何を撮影するのか、映像のもつメッセージは何なのか、制作チームでかなり長い時間をかけて話し合った結果、人の共感や記憶を呼び起こすようなことは、実は日常のなかにあるのではないかと気づきました。
何気ない生活の中で、ついカメラを向けたくなるような、日常のふとした瞬間に着目し、その瞬間を秒間 1000コマで捉える。不可視が可視化された世界に、驚き、共感し、そして心が動く。本作品は、テクノロジーを活用した高い撮影技術と磨き抜かれた感性による、心を刺激する新しいシズル映像になっています。

 

 

◾ 丸1日かけて12のシチューエーションを撮影


丸1日かけて、12シチューエーションを撮りきりました。シチュエーションごとにキッチン、リビング、庭など、最大4つのセクションで同時に撮影が進行。ハイスピード撮影には、大光量が必要となるため、ARRI 18KW HMIを使用しています。

 

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◾️ 担当した5名のカメラマンからコメント

 

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花瓶が落下して炸裂するシーンを担当しました。秒間1000コマのハイスピードカメラを使用し、大掛かりなライティングのもとで撮影しています。5人のカメラマンが、各々の手法と感性を織り交ぜつつ、日常を切り取っています。この映像から、新たなコミュニケーションができれば嬉しいなぁ、と思っています。

(辻 徹也)


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自分の記憶と重なることで、当時の風景や匂いを思い出すことがあります。今回は多くの人がそれぞれの夕飯時を思い出してもらえる事を テーマに撮影しました。 沸騰するお湯の音、台所に立つ湯気、居間に差し込む光、誰もが目にしたことのある風景にフォーカスすることで食欲だけでなく別の感覚も刺激できるのではないかと。「1/2」というタイトルには、共有したいという想いや共感する楽しさや喜びの意味が込められています。 こんな大変な時代だからこそ、誰かと共有するという日常の小さな幸せを感じ、生活の中にある不可視の世界を楽しんで頂ければと思います。

(島村 朋子)


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私が担当したシーンは、日常を描いた台所での調理シーンに対して、同じ台所が舞台でもハプニングからの非日常的シーンです。舞い散る鰹節、突進するカメラ、ヤカンから立ち上る湯気。日常ではありえない、視点の持ち主もわからないカットです。なにげない日常のシズルが作品全体のキーワードになっていますが、このカットは絵作りそのものも非日常です。ハイスピードカメラを通して不可視な世界や非日常な世界観を撮りたい気持ちが、鰹節が舞い散る台所のシーンに集約されているのかもしれません。(大津 央)


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湯のみのハイスピードカットと猫の主観カットの2シーンを担当しました。テクニカルになりがちなハイスピード撮影ですが、手持ちでアナログな味わいを持たせ、日常シーンとのつながりに違和感が出ない様に心がけました。猫の主観シーンに関しては、視点や動きだけで誰もが猫だと理解出来るようにカメラワークを意識しました。また数あるビデオカメラの中から、それらを表現出来る一台を選ぶことから準備が始まりました。今回はアナログとハイテクを違和感なく共存させているところも見所の一つだと思っています。(岩切 浩三郎)


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“シズル”で人々の心に「共感」を生み出したいという想いで、この作品を作りました。冷たい・温かい・美味しそうといった広告でよく見かける表現も、すべては人の心を動かすための手段であり、シズルにはそのチカラがある。我々dropはそれを武器に人々の行動欲求を起こし、購買意欲を掻き立てる仕事をしています。今回の「1/2」では、観た人がもう一歩先の読後感を抱けるようなストーリー性を作品に持たせ、「分かち合う喜び」というメッセージを映像に込めました。家路を急ぐ街の夕景、台所の柔らかい光、食卓に並んだ料理。普遍的な日常の光景がもたらす、郷愁、食欲、家族への想い。そういった心の機微も、dropが考えるシズルです。(大木 謙一)

◾️ 制作メンバーからコメント

 

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カラーグレーディングの役割としては、ビジュアルにトーンをつけることによって、映像がもっているストーリーやメッセージをより明確にしていくというところにあります。「1/2」はビジュアル表現によって、見る人の感情をいかに揺さぶるかがテーマでした。その効果をどうやって最大化するかを念頭に、チーム全員で議論し、トンマナを作っていきました。換気扇からもれる夕食の匂い。どこかはわからないけれど、どこかに帰りたくなる郷愁。そういったものを映像から感じてもらいつつ、最高の機材で撮影されたリッチなビジュアルを楽しんでいただければ幸いです。(カラリスト 浦田 淳)


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この「1/2」を観て感じること、それはなんでもない日常の中に実はいろいろな出来事や五感を刺激する鮮やかなシズルがあったこと。私たちがこの動画のタイトル「1/2」を制作するにあたって、映像から感じる懐かしさだけではなく、そこには鮮明な新しい感覚があり、古臭さだけが残ってはいけないということを意識しました。そしてこの動画のコンセプトである「2人で分け合う1つ」の「1つ」が「2つ」を超える価値に値することをデザインで表現しました。(AD 諸橋 裕子)


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食べ物が好きなため、シズル動画を演出できることはとても光栄で、刺激的でした。今回は演出だけでなく、音楽まで任せていただけて勉強になりました。単にシズルを見せていくのではなく、どこにでもあるような日常のシズルを最新の技術で切り取るという新しい試みに参加できたことでシズルの新しい可能性に気づけてよかったと思います。どこか懐かしく、温かみがありつつも派手なシズルシーンがある作品になっています。ご飯が美味しそうなので、食欲増進剤としても楽しんでいただけると思います。(演出&音楽 米内 華子)


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今回は主に編集で携わらせて頂きました。最初にお話を聞いた時に、日常の風景をdropチームならではの視点で美しく刺激的に切り取っていくことが大切なんだと感じました。そのため、そこをとことん突き詰めていけるようにハイスピードのかけ方やモノの一番美しい瞬間を切り取れるように意識し、編集を進めました。このように一つの作品として完成できて本当に嬉しいです。みなさんとつくれて本当に光栄でした。ありがとうございました。(演出&編集 杉本 奈々恵)


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杉本監督と米内監督の演出をサポートする立場として参加しました。撮影現場はカメラマン5名がそれぞれの担当パートを同時多発的に撮影するという壮絶な現場でした。カメラマンそれぞれのこだわりも出しながら、1本の作品としてまとめあげていくdropチームの一体感は素晴らしかったです。今後もdropのカメラマンと映像クリエイティブ事業本部のディレクターがコラボレーションを続け、それがプロダクツの強みのひとつになればいいなと思います。(演出 吉田 真也)

 

◾️ 最後に

 

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フォトクリエイティブ事業本部 dropが大切にしている日常性や普遍性をテーマに、シズルを満載した新しい切り口でショートムービー「1/2」を制作しました。dropカメラマンが数々の案を出し、日常で見逃してしまうような、なんでもない瞬間や光、細部に特別な眼差しを向けてチームとして一つの物語にした作品です。このムービーで我々dropの目指す世界感に触れていただき、少しでも心が動いて誰かと話すきっかになったり、これからみなさんと一緒に新たなクリエイティブが生まれる機会があると幸いです。(百々 新)

 



「日常×インスピレーション」をテーマに、
身の回りにある平凡でありふれた物事に対する視点に新しく、感動の瞬間を見つけ、
瑞々しい命を吹き込む、drop 初の映像作品「1/2」。
優しいストーリーのなかに、ハイスピードカメラによる驚きの映像の数々が
映し出される斬新な作品です。ぜひご覧ください!

 

 

drop 初のオリジナル映像作品「1/2」はこちらから
https://www.youtube.com/watch?v=FewDjKm0ZxY

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                  シズル専門の撮影チーム「drop」
                 https://photocreative.jp/drop/#/

 

もっと感触や匂い、音まで切り取れないか。
もっと躍動感や生命力まで捉えられないか。
めざすのは、五感を揺さぶる究極の1枚。f:id:hpr_sugiyama:20210624153940p:plain
個性あふれるフォトグラファーたちが、
磨きぬかれたその技を、知恵を、経験をかけあわせる。
競いあい、力を結集し、未知なる表現を創造する。
集団だからこそたどりつける“衝撃”へ。
個性を生かし、個性を超えていく。それが「drop」。

 

<スタッフリスト>
撮影:島村朋子、岩切浩三郎、辻徹也、大津央、大木謙一
演出:吉田真也、杉本奈々恵、演出/音楽:米内華子
アシスタント:渡邊竜輔、田安仁、下村恵太、重岡あすか、武田伊織、佐藤匠、
カラリスト:浦田淳、石井幹也 、音響効果:桐山裕行、
アートディレクター:諸橋裕子、デザイナー:佐藤翔吾、和久津桃子
コピーライター :原田絢子、広報:坂場真美、制作プロデューサー:高橋佑馬、依田知子、
撮影アドバイザー:児島孝宏、亀井友吉、プロデューサー:高橋秀行、百々新

製作著作:博報堂プロダクツ フォトクリエイティブ drop

 

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