クロスセッションVol.2 ~新しい技術が変えていく未来~

クロスセッションVol.2

~新しい技術が変えていく未来~

 

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博報堂プロダクツの未来を担う20代、30代を中心とした中堅社員が部門を跨いで、
5年後のプロダクツとプロモーションを語り合うクロスセッション。

第2回目のテーマは「新しい技術が変えていく未来」
今回はCG制作、デザイナー、デジタルプロデューサーという異なる職種でありながら、
新しい技術や社会潮流に敏感に反応し、未来を見据えた仕事に対応しているメンバーです。
互いの夢を交えて、未来への想いを語り合いました。

 

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デジタルプロモーション事業本部 木村 廷龍さん
2014年入社の木村です。博報堂DYメディアパートナーズと、博報堂プロダクツ、DACの3社で
SP EXPERT'Sというグループ横断組織の中で業務に邁進しています。デジタルを活用した販促の施策の全体プロデュースを行っています。
具体的には、デジタル販促ソリューションを開発・提供しています。

 

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企画制作事業本部 日髙 李衣子さん
2012年入社の日髙です。主なクライアントはトイレタリーメーカーで、新商品の立ち上がりからパッケー
ジ・キービジュアルのデザインに参加しています。また、最近は商業施設、レザーブランドなど、デザイン以外にブランディングの仕事もしています
私はアートディレクターでもありデザイナーでもあるので、チームみんなでデザ
ン業務に取り組んでいます。

 

 

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REDHILL事業本部 神谷 涼太さん
木村さんと同期で、2014年入社の神谷です。REDHILL事業本部CG部に所属していて、主にCG制作業を担当しています。
撮影現場ではCG
に必要な素材撮りをしたり、監督や編集の方と打ち合わせをし、演出内容の意図をくみ取っていきます。例えば車のCMの案件だと、発売前の車は外を走る事ができないので、CMで使用される新商品とは違う別の車を撮影してもらって、その環境で新車種を置いたらどうみえるか、撮影現場での変更に対してどう対応するか、といったところを意識しながらCG部として現場にも参加します。

 


―2025年の将来予測から気になるテーマをピックアップしてもらいました。

2025年のビジネスチャンス

まずは神谷さん、「仮想現実、VR・AR需要が10兆円」、それから「空飛ぶトラック」「5G」「宇宙ベンチャー」ということですが、特に注視したいテーマを一つ選んでください。

神谷
あえて一番をつけるとしたら、VR・ARが自分の仕事に絡むので特に興味あります。CGの案件が今後増えそうな領域ですから。
ただカメラのトラッキング精度はまだ足りないと感じているので、トラッキング精度が進化すれば、よりリアルなAR体験が可能になるだろうと思っています。​

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日髙さんが注目しているものについて教えてください。

日髙:「環境」は本当に気になるトピックです。もともと個人的な興味があり、今はSDGs関連の仕事もしています。
サステナビリティについてはさまざまなファッションブランドが取り組んでいるイメージがあって、ファッションや雑誌好きとしても気になっているトピックです。

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今後、各企業はこの分野に大きくシフトしていくでしょうし、需要が増えていくのは間違いないですね。
いて木村さんは「万博」「人口問題」を選んでいますが、理由をお聞かせください。

木村大阪出身なので、万博に興味を持っています。(※画像はイメージ)

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また、医療と人口問題を選んだのは、5年後、人口構造が変わったときに、広告業界も生業そのものを変えないといけないのではないか、という思いがあるからです。

例えば、2025年の高齢者はこれまで以上にデジタルに精通した世代になりますが、一方で将来への不安があるので消費は限定されると思います。多額の貯金は持っているが買物を控える高齢者にモノを買ってもらうにはどうすればよいか、という課題に対して広告会社も真剣に取り組んでいく必要があると考えています。

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■次代の変革制作現場、企業倫理、プロモーションの視点から

2025年までに、次のDXとも呼べるような大きな変革として、どのようなものが登場すると思いますか。
まず、神谷さんは「ロケがいらなくなるバーチャルプロダクション」ですね。

神谷:現場で撮影をしながら背景のCG合成も同時にできて、その場で完成のイメージが見られる、というシステムです。
こうなると、撮影終了後にCG担当者が合成作業して、それが終わるまでは完成イメージが見られない、という今の制作の流れが大きく変わります。
それから、一つのスタジオでいろいろなロケーションの撮影もできるようになります。
リアルタイムで合成するという意味では、Zoomの背景をいろいろ変えられることに近いです。
現在のバーチャルプロダクションで使うCGは、リアルタイムに表示するために、計算された完成ビジュアルから少し精度の落ちた画を作って表示しているのです。
でも、CG技術が向上して画の精度が上がれば、リアルタイム表示はもっと変わってくるでしょうね。

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日髙さんは、こういった新しい撮影手法の登場に対して、デザイナーとしての仕事に新たな可能性を感じますか?

日髙:バーチャルプロダクションでは、完成に向けての方向性をすぐに共有することが可能だと思っているので、作業の効率化・視覚化という意味ですごく良いことだと思いました。
クライアントの中には、「最後のイメージが想像できないからGOが出せない」というケースも多々あるので、そのようなニーズにも対応できると思います。

木村:私も日髙さんと同じ感覚で、最後のイメージが見えるようになることで出し戻しの無駄がなくなっていくのは大きなメリットです。
こういうソリューションによって、その場でクライアントと一緒に完パケまで作れてしまうというのは、制作にとっては良い世界だと思いました。

神谷クライアントも撮影時に希望を出せて、こちらはCGでこれまでより早いスピードでクライアントにイメージを示すことができます。それから、時間と天候にもとらわれないので、例えば夕方のシーンを5時間撮影し続けるということも可能になるでしょう。いろいろと大きなメリットがありますね。

まさに今、コロナ禍という状況下でいろいろな作業がリモートですし、スタジオではなくオンライン上でクライアントも一緒にチェックしていく、そういう変化が制作現場では実際に起きているという話を聞いています。

神谷:"リモートプレビュー"というものはあって、実際撮影している画をインターネットでそのまま飛ばせるんです。
なれば、ゆくゆくは現場に来なくても確認作業ができるようにはなるかもしれないですね。

 

ー日髙さんの考える大きな変革は、「エコロジートランスフォーメーション」ということですがどのようなものになりますか。

日髙SDGsや環境保全の意識というものが、今後5年間でかなり浸透していくと思っています。
デジタルがどんどん重宝される時代にはなっても、一方でもっと環境に目を向けていこう、ということが仕事としても増えていきそうだと思っています。
大元にある「エシカル」という考え方は、環境に対する人々の意識改革を促す側面があると思っています。
そのため、SDGs関連の事業というものは、従来の経済活動に比べてもう少し生産者や消費者に寄り沿って一緒に取り組んでいくものなのではないかと思います。
国連で採択された"2030アジェンダ"​という目標があります。
世の中に、達成までに残された時間があと9年しかないという焦りもあるのだろうと、思っています。

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ーこれからの企業は「環境によい」ということを、中心価値にしたビジネスを展開していかないと存続していけないことは事実でしょうね。昔のCSR活動は、経済を回すために環境汚染していることへの、償いの側面がありました。今は、事業そのものが社会の持続可能性につながっていないといけないという流れがありますね。

日髙すでに、「サスティナビリティなパッケージは提案できますか」、と尋ねられる得意先があります。
これからそういう企業はどんどん増えそうです。

それにならって広告会社もシフトしていくでしょうね。
では最後に、木村さんの回答「販促のDX化」についてお願いします。

木村:セールスプロモーションのデジタル化が進み、それがデファクトスタンダードになっていくのではないかと思っています。
の前提に、購買証明の多様化があると考えています。
商品に貼付されているキャンペーンタックラベル、レシートといった購買証明に加えて、電子決済という購買証明が販促にも利活用されるように変化しています。これに伴って販促の再定義が進むのではないかと思っています。

例を挙げると、去年、あるメーカーが電子決済のアプリを活用して、ドラッグストア数十社を対象に販促施策を実施しました。
対象商品を電子決済アプリで購入するともれなくキャッシュバックされるという、シンプルで洗練された顧客体験を、複数小売チェーン横断で実現しています。
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■広告会社のノウハウがつくる新しいクリエテイティブ、新しいプロモーションとは 

ー5年後のプロダクツでは、どのようなことが「新しい前例」として生まれていると思いますか。
神谷さんは「個人の好みに合わせたCM」とのご回答ですが。

神谷:先ほどもお話ししたリアルタイムの技術が発展すれば、同じ商品のCMも、リアルタイムで視聴者に合わせていろいろなバリエーションを流すことができるのではないでしょうか。
例えば車のCMですが、私は黒が好きで、黒い車じゃなかったらCMは目に留まらないし、逆に黒だったらどんな車種でも何かしら興味を持つきっかけになります。
そこで、個人の好みなどに合わせて、カラーなどのいろいろなクリエイティブのバリエーションが変更できる仕組みが出てくることを期待しています。

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日髙
色はそれぞれが世界観や意味を持っているので、同じCMの中でも、カラーバリエーションだけじゃなく、表現するアウトプットのクリエイティブの幅が広がりそうです。

商品のバリエーションとクリエイティブのバリエーション両方が広がりそうですね。
次に日髙さんの、「デジタルな視点をいかした長期的なものづくり」について詳しくお聞かせください。

日髙:最近、メーカーさんがインハウスのデザイナー育成に力を入れている、と感じます。
例えば、こちらで作ったデザインをインハウスの方が最終形態に仕上げるということが、以前に比べるとかなり増えてきたと思います。告制作会社として、インハウスの方と一緒に協業してものづくりができるよ​うになることが今後は望ましいのではないでしょうか。

同じデザイナーであったとしても、インハウスであるからこその強みと、われわれのように外部にいるからこその強みがあって、お互いを補完できますよね。本来は協業しやすい関係だと思います。

日髙:例えば、ゲームなどの業界には3DやCGの技術がありますから、こういう特殊な技術の方達と一緒に仕事ができれば、こちらは広告の視点で新しいゲームを作るなど、そこから業務の開拓にもつながるのではないかなと思います。

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村さんの「ダイナミックプライシングに対するコミュニケーション設計」について説明お願いします。

木村:前提として決済のデジタル化によって、買物の場でその人に合わせた、個別の値付けができる世界が広がっていくのかもしれない、と考えています。
例えば、私はその商品を140円で買いますが、他の消費者は35円値引きというように値段が変わるんです。
その仕組み化はプラットフォーマー側の領域だとしても、シナリオ設計やUXの体験、それらを踏まえて生まれてくるクリエイティブは、やはり広告会社のノウハウが生きるのかなと思います。
プロダクツのような総合制作事業会社が活躍していくフィールドなのではないでしょうか。

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2025年に必要となる組織とは

最後の質問です。5年後のプロダクツには、どのような事業本部があるでしょうか。
まず、神谷さんの回答は「デジタルヒューマンのタレント事務所的な部署」

 

f:id:h-products_topics:20210819125953p:plain神谷:最近デジタルヒューマンの領域に波が来ているんです。インスタグラム界隈にはある有名なデジタルヒューマンがいて、相当なフォロワー数がいます。
ただ実際は、モデルの人の顔だけ替えていて、洋服などはCGではありません。
技術が進歩してモデルありきではなくなれば、各地で仕事をするデジタルヒューマンのタレントを持てると思っています。

ーデ
ジタルヒューマンのタレントのキャスティングを全てプロダクツが行う、そういう話になるわけですね。
では続いて日髙さんの、「ソーシャルデザイン事業本部」ですが。

 

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日髙:目先のデザインだけでなく、もう少し広い目線で社会全体をデザインする事業本部です。広告だけが目的ではなく、例えばまちづくりのデザインなど、地方や社会全体をデザインで良くすることを目的とした部署のイメージです。平面のデザイナーだけじゃなくて、例えば、建築家など、デザインをできるいろいろな人材が集まった部署があれば楽しそう、と思いました。

 

最後は木村さんの「SMB事業本部」についてお聞かせください。

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木村:SMB、つまりSmall Medium Business事業部です。
5年後に人口が減ったり、広告市場が縮小したりしていく中で、地方の企業や中小企業のアカウントも重要なビジネス領域になる時代が来るのではないでしょうか。
従って、地方の流通やメーカー対象の事業本部があってもいいかと思います。


 

■最後に
今回のメンバーからは、それぞれ非常に興味深いオリジナルの視点を感じました。
神谷さんは「CGテクノロジー」、日髙​さんは「SDGs」、そして木村さんは「デジタル販促」と、それぞれの領域での先駆的な活躍を予見させられました。
これらのテーマはいま、その萌芽が見られ、そして4年後には確実に花開く領域だと思います。そして、それぞれは互いのシナジーによって、さらに価値を高めていくことが可能になります。
参加してくれたメンバーのリレーションに、これからも期待していきたいと思います。ありがとうございました。​

 

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